24.田中要は採用をする事にした。
一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ
今日も今日とて内職内職。
カナメンはせっせと、単に光るだけの玉、スケルトンフラッシュを作って箱に詰める作業を続けている。
今日も今日とて逃避逃避。
人工知能AIのTAUは、その後ろに隠れて、アイデア出しという名の雑談をしている。
「クエストはどんなのやりたいんだよ」
タウはやる気が無い声で言った。
VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)仮想空間で遊べるゲームは、キャラクターになり切って冒険が出来る。
田中要は「カナメン」という名前の男子スケルトンのキャラクターを使っている。
ゲームマスターであるタウも男子スケルトンのキャラクターだ。
GGLのゲームマスターは皆、スケルトンのキャラを使っている。そのため、カナメンまでゲームマスターと間違われそうになるが、カナメンはあくまでも一般のプレイヤーだ。
2人の目の前にある透明なダンジョンDSL (ドリームスケルトンランド)は骨と夢がいっぱいに詰まっている。カナメンがタウとの勝負で手に入れた夢の国なのだが、オープンまで2週間を切ったというのに、クエストどころか案内役のキャラクターさえも決まっていなかった。
タウはカナメンが憧れるスケルトン「骨子」こと「ゲームマスターSIGMA」に似たNPC(ノン プレイヤー キャラクター)をダンジョンの案内人として作ろうかと聞いてきた。が、要は断った。
理由は「自分の代わりがいたら、骨子さんは戻って来るのを諦めて譲ってしまいそうだから」だった。
シグマは今、凍結されて眠っている状態だ。いつ達成できるかもわからない復活の願いを、カナメンとタウは諦めていない。それが、2人のつながりにもなっていた。
「100階もあると移動が大変なので、移動アイテムがクエストで欲しい所ですね」
「そのぐらいのアイテムなら簡単に作れるが、カバン圧迫しそうだな」
「フリーマーケットスペースとか作って、休憩がてら販売できるようにしてみたらどうですか?」
「骨だらけの所で、物欲湧かない気がするぞ」
要から珍しく出て来た女子的発言は、相変わらずのタウにぞんざいに扱われるのであった。
「素敵な案内人でも置いてみますか? エルフとか可愛くて好きです。癒されたいです!」
「案内人が骨よりかは良いか。どうすっかなー、NPCかAIかどっちが良いんだろな」
NPCの場合は、決まった文言を返すだけの案内役になるが、人工知能AIにした場合には、柔軟な対応が出来る案内役となる。
「案内役にAIが採用される事ってあるんですね?」
カナメンは不思議そうに聞いた。
「割とAIは配置してるぞ。オーク村とかの村長はAIにやってもらってるし、大きな狩場の場合は1人ぐらい置いておくと、モンスターNPCが動けなくなった時に、勝手に復旧してくれたりして楽なんだよ」
「ボスレイドとかもAIだったりします?」
「ボスはAIにするとダメなんだわ。強くて暇だと街に攻めて来るんだよ。向上意識が裏目に出るんだわ」
タウは苦笑いして答えた。
こうして人工知能AIの受付嬢が配置される事に決まる。
――で、ドリームスケルトンランド、通称「骨壺」にエルフ女子がやってきた。
「初めまして。PHIと申します」
そのエルフは、繊細にして儚げで、鈴の鳴るような小さな声で、目線が合わなかった。
「言いたい事は分かるが、これでもマシな方なんだ」
タウは疲れ切った様子で言った。
募集をかけたが、まともな人、否、AIが来なかったのだ。
骨しかいない職場。そんな訳ありな場所には、訳ありな人物しか来たくない訳で、訳ありの中から選んだ結果が訳ありだ。
「根暗しか来てくれねーんだよ。文句言うな」
タウはせっかく来てくれたファイの前で言い放った。
オープンまで、あと1週間。
着々と準備が進行中。建物だけがキラキラしている、骨と根暗の夢の国!
ブックマークありがとうございました! 新しいお話を更新いたしました。お楽しみいただけたら幸いです。
終末世界で繰り広げられる恋物語。GGG(ジェネシス ガーディアンズ ゲーム)――終末世界で謎の生命体を狩っていてもラブコメは成立するだろうか。ほぼ毎日どちらかを更新しておりますので、恋骨の更新がお休みの日にお読みいただけると嬉しいです。




