23.田中要は雑談をする事にした。
一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ
「お前のせいでこうなってんだから手伝えよ」
ウサギの着ぐるみは言った。
「分かりましたよ。今日は何ですか?」
スケルトンは言葉を返した。
VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)ゲームの中で交わされているこの会話は、ウサギの着ぐるみを身に纏ったスケルトン、ゲームマスターのTAUと田中要のキャラクタースケルトンのカナメンのものである。
正直、単語多すぎで意味が分からないのでまとめると、骨と骨が会話している。骨TO骨。骨FROM骨。もういいや、骨。
ゲームの中で、ゲームマスターのタウが隠れている。決してそういうイベントでは無く、先輩ゲームマスターに見つからないように隠れている。
何故こんな所で、こんな服装で、寝転びながらプレイヤーと話をしているのかというと、サボっていて逃げているからだ。
タウに言わせると、席にいない時だって、仕事をしているんだ! クリエイティブとは青空の下でも生まれる! という主張になる訳だが。
「着ぐるみを着ただけで、見つからなくなる訳ないじゃん」とカナメンは思うのだが、これが意外にそうでも無いらしい。
選択肢として、あり得ない事の方が統計的に除外されるので、人工知能AIをまくのには良いそうだ。
GGLというゲームは人工知能AIがプログラムと管理をしている。ゲームマスターは皆AIなので、タウもまたAIという事になる。タウはすぐサボるので、それらしくは見えないけれど。
このゲームの種族が「人間」「獣人」「スケルトン」なのも、AIゆえの最良の選択らしい。
「エルフ」と「スケルトン」どちらにしようか検討した結果のスケルトンである。
完全に選択は間違いなのだが、独自性とか、他ゲームとの差別化だとか、ゲームマスターが使った時に目立つだとか、様々な要素を検討しすぎて斜め上にいってしまった結果こうなっている。
正に、頭が良すぎるための失敗なのであろう。
スケルトン大好きの要の心は掴んだが、スケルトンを使う人はおらず、現在は独自性だけが独り歩きしている。
「仕事したくねー」
タウの口から本音が漏れた。
「頑張ってドリームスケルトンランド作りましょうね」
カナメンが慰める。
DSL (ドリームスケルトンランド)通称「骨壺」は、現在建設中のダンジョンである。
タウとカナメンの勝負で、カナメンが勝ったために手に入れた「スケルトンによる、スケルトンのための、透ける塔」だ。
多分分からないと思うので要約すると、スケルトンがびっしり詰まっている透明な100階建ての塔だ。
これでも分からないとなると、骨密度が高い場所って言ったら分かって……もらえる?
「クエストに報酬に……ワールド全体のバランスだって取らなきゃいけないんだからな! こういうのは単に建てりゃ済む訳じゃないの分かって感謝しておけよ!」
タウウサギは吠えると、撃たれたようにぐったりと地面に倒れて動かなくなった。
新しい狩場が人気になり過ぎるのも、過疎過ぎるのも無駄になる。そのため、不満が良い意味でも悪い意味でも出てこないようにしないといけないのだ。顧客満足度を上げたうえで、バランスを取らなければいけない、多くの人の心を読むのは難しい事だった。
「スケルトンランド、絶対に人気出ますよ!」
カナメンの希望に満ち溢れた言葉に、タウはため息をついた。
「何でそんなに倒されたいんだか。俺にはスケルトンが、スケルトンを倒したい気持ちがわかんねーんだけど。好きなら守りたいもんなんだと思うがなー」
「大人の世界なんですよ」
「大人もわかんねーよ。変態の世界だろ」
オープンまで、あと3週間。
変態の世界は今日もガラスで、キラキラと輝いています。
恋するスケルトンはサクサク読める1話完結の短編集です。評価や感想をいただきましたら急いで更新いたしますので、お寄せいただけると励みになります。
終末世界で繰り広げられる恋物語。GGG(ジェネシス ガーディアンズ ゲーム)――終末世界で謎の生命体を狩っていてもラブコメは成立するだろうか。ほぼ毎日どちらかを更新しておりますので、恋骨の更新がお休みの日にお読みいただけると嬉しいです。




