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恋骨!~恋するスケルトン~田中要はVRMMOゲームでスケルトンになって恋をする事にした。  作者: 熊谷わらお
第1章 スケルトンは恋の夢を見るのか? 1話~25話【完結】
22/83

22.田中要は溜息をする事にした。

一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ

「ミフネが落ち込んでいる」

 そんな馬鹿なと言いたくなるような事態が起こっていた。

 ミフネこと御船(みふね)健吾(けんご)はとても強い。美貌、才能、財力、人望、どれを見ても人並み以上であった。それは仮想世界の中だけではなくて、現実世界であってもだ。


 VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)ゲームの中で、ミフネはゲーム内で一番有名なギルド「ブロッサム」のギルドリーダーであり、優秀なプレイヤーである。


 現実世界でも、有名企業に勤める優秀な人間である。優しい雰囲気に気遣いの出来る仕事だけでは無い優秀さは、女子の引く手、数多(あまた)でありモテモテであり、挫折知らずであった。

 付き合った彼女と別れる時でさえ、恨まれる事も無く、(むし)ろ出会いを感謝されながら、私には勿体ないと振られるぐらいである。


 その異常事態を作り出しているのが、容姿普通、才色普通、スケルトン大好き、の田中(たなか)(かなめ)である事は信じがたい事だった。


「フネと何かあった?」

 GGLゲーム内で「カナメン」というスケルトンに話しかけたのは赤色(あかいろ)53号であった。

 赤色53号は名前である。人間の少年キャラクターである。現実世界では、(たちばな)瑞稀(みずき)という男子であるが、今はゲーム内なので、複雑な心境という表情をした少年という事になる。


「あったんだろうけど、俺が聞く事じゃ無いんだけど……お前の方は大丈夫か?」

 正直、赤色自身も混乱している。赤色は色恋沙汰(いろこいざた)が苦手なため、力になりたいが、双方が友達である場合の身の振り方がわからない。

 ミフネに聞いても、いつもの調子でヘラヘラとはぐらかされてしまった。明らかに変でも、相手が手を伸ばさない限りは、その手を掴むことができない。


 大丈夫かと聞かれれば、田中要は大丈夫であるが、何かあったと聞かれれば「御船健吾から申し込まれた交際を断りました」という事になるのだろう。

 しかしながら、交際はずっと断っているので、()えて言えるのだとしたら「完膚(かんぷ)なきまでに恋心を(つぶ)しました」という事になるのであろうか。


 何も言えないので、首を縦に動かして(うなず)くしかできなかった。


「そうか。フネに味方するみたいに見えるかもしれないが……連絡してやってくれないか? 無理だったら良いんだが、このままでってのも良いのか分からなくて」

 赤色の言葉に返せたのは

「考えてみます」という言葉だけだった。


 要も色恋沙汰が苦手だ。こんな時、どうしたら良いのか分からない。ついため息が出てしまい、それを(みなみ)桔梗(ききょう)に見つかってしまった。


「要ちゃんどうかしたの?」

 声の主、桔梗は要の勤める会社の社長だ。桔梗と要しかいない会社なので、桔梗が社長なのであるが、社長らしく振舞わないのが桔梗である。

 この会社はゾンビとスケルトンを売っている。誤解のないように説明をすると、ゾンビグッズとスケルトングッズを売っている。

 決してアンデッドを作っている秘密結社とかでは無いので安心して欲しい。


 ミフネこと御船健吾と出会ったのは、桔梗が主催する合コンに誘われて、要が参加した時だ。桔梗と御船は知り合いである。

 桔梗的には「付き合ってみたら良いと思うんだけどな」という意見であった。


「御船さんに、連絡をした方が良いのかと思って……」

 要は力無く言った。

「んー。止めておいた方が良いと思うな」

 桔梗からは意外な答えが返って来た。

 友達の御船に対して優しくしてあげて欲しいとか、今はその気が無くても(えん)をつないでおいたらとか、とにかく付き合うべきとか、波風立てず表面上でも穏やかに、なんて事を言われるのが普通だと思っていたからだ。


「振ったなら必要以上に優しくしちゃダメよー期待しちゃうもの。大丈夫よ要ちゃんがやることじゃないから、お友達に任せておきなさい。御船君は好きになった女の子と全員付き合って来たから、初めての挫折に心が追い付いていないのねー。要ちゃんが付き合うってのも違うんでしょー?」

「友達として何とかしたくて……」

「男女の友情って無いわよ?」

 要は桔梗の言葉に驚いてしまう。

「え? 御船さんは友達では?」


 桔梗は少し考え込んでから、ゆっくりと話し始めた。

「無いのだけれど作れるものだとは思うのよ。失恋の後に友情が生まれる。恋と認識する前に失恋しているから、だから恋とわからない」

 思い出すかのように言葉を続けた。

「私と御船君は同級生なの。子供の頃、私は御船君が好きだったのよ。だけど、御船君が誰かを好きになる前に、私はゾンビを好きになっちゃったから、私は自分で失恋したし、御船君もゾンビが好きな私を好きになる事は無かった。だから今、お友達になれているんだと思うな。同性の友情も同じ気がするのよねー。好きになる前にきっと無理だって自分で(あきら)めちゃうから、だから友情になる。ハードルを超えたら全部恋になるのだろうけど、人はそんなに強く無いと思うんだ。恋の強さでハードルを超えられる人が羨ましいよ」

 そう言う桔梗の瞳はとても残念そうに(うる)んで見えた。


 恋になる前に失恋して、恋では無くても好きなのが友情というならば……。


 私、田中要はみんなが大好きだ。それは友情だ。いつか私も、ハードルを超えたいと思う気持ちになる事はあるのかな?


 恋するスケルトンはサクサク読める1話完結の短編集です。評価や感想をいただきましたら急いで更新いたしますので、お寄せいただけると励みになります。


 終末世界で繰り広げられる恋物語。GGG(ジェネシス ガーディアンズ ゲーム)――終末世界で謎の生命体を狩っていてもラブコメは成立するだろうか。ほぼ毎日どちらかを更新しておりますので、恋骨の更新がお休みの日にお読みいただけると嬉しいです。

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