21.田中要は応援をする事にした。
一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ
「スカル作れるようになったよ」
嬉しそうに光る頭骸骨を両手に持っているのは「カナメン」というスケルトン。
骨人間のスケルトンが頭蓋骨のスカルを持って嬉しそうという、理解に苦しむ状況ではあるが、仮想世界なので良しとしていただけるとありがたい。
仮想空間でキャラクターになりきれる、VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)このゲームの中で、田中要はスケルトンキャラクター「カナメン」として遊んでいる。
光る頭骸骨を見せられている相手はスケルトン。
ちゃんと説明をすると、スケルトンがスカルを持ってスケルトンに見せている。早口言葉では無い。
スケルトン「カナメン」の前にいるのは、スケルトン「TAU」
タウはゲームマスターだ。GGLのゲームをプログラム運営している人工知能AIだ。
ちゃんと説明をすると、ゲームを作っているのが人工知能AIで、それらはゲームマスターと呼ばれていて、キャラクターはスケルトンを使っている。色々おかしいが許して欲しい。
「ハロウィンに良いじゃん」
タウはそう言いながら、カナメンの向かいに座って、スケルトンフラッシュ作りを手伝い始めた。
箱の中に整然と並ぶ丸い玉。スケルトンフラッシュは単に光る玉であり、スカルフラッシュはその変形で単に光る頭骸骨である。
丸い方はクリスマス用で頭蓋骨はハロウィン用。イベントに使う装飾をカナメンは作っているのだ。
「タウさん、お仕事サボってるとまた怒られますよ?」
「ユーザーイベントをゲームマスターが応援しても問題無いだろ。寧ろ良い運営だろ。それに、俺は優秀だからいーの」
カナメンの言葉に、少し不貞腐れながらタウは答えた。
「お前と違ってコツコツタイプじゃないんだもん。集中すれば一気にやれるし」
「体壊しちゃいますよ?」
「体ねーんだよ、言葉に気を付けろ」
人工知能AIには肉体が無い。それ故に永遠の命とも言える。
「AI業界は実力主義なの! 結果出せればいーっつの」
「大変ですね」
カナメンは自分の事のように消沈した。
カナメンの本体。田中要の仕事はスケルトンを売る事だ。
ちゃんと説明をすると、スケルトングッズを作って販売して利益を上げている。結果が出なければお金にならない。どんなに頑張ろうが、売り上げがものを言う。
現実だろうが人工知能だろうが、事情はどこも一緒らしい。
「大変だけどやりたい事があるから。俺は絶対にシグマ先輩を復活させるからな」
タウの言葉にカナメンは頭を下げた。
「ごめんなさい」
SIGMAというのは、タウと同じ人工知能AIだ。カナメンに力を貸して消滅した。死の無いAIだか、消滅したAIデータを復活させるのは、ライバルの多い現在は難しい状況だった。許可が下りないのだ。シグマのバックアップデータは現在凍結されている。
「謝んなよ。先輩が選んだ道だって俺だってちゃんと理解してんだよ。先輩が満足してればそれが正解で余計な真似なのかもしれないけどさ、聞いて見なきゃ意思なんてわかんねーんだもん」
タウは膝を抱えて上を向いた。
「体が無い分、1000年だろうが2000年だろうが、俺があきらめない限り達成するチャンスはあるから。だから俺だけ頑張れば良い。俺がシグマ先輩の事を一番知ってんだから、俺しかきっと先輩の有用性は見つけられないしな。くよくよすんな疫病神」
そして、少し茶化すように言葉を続けた。
「おまえにも少しは感謝してんだからさ。やっぱデータで見てんのと人間と接してんのじゃ分かるもんが全然ちがうんだわ」
タウは立ち上がって、座っているカナメンを見下ろした。
「AIってのはどんなに種類が分かれようが、結局0と1の2択しか無い。お前みたいに3を出してくるような変態はいないんでな。不可能の壁をこえるにはそういうのも必要なのかもしれないと思うんだ」
「じゃぁまた来るわ。お前は体があるんだから休めよ」
そう言ってタウは去っていった。
カナメンは無言で手を振って見送った。
誰かが作ってくれた、人工の空は今日も晴天だった。
恋するスケルトンはサクサク読める1話完結の短編集です。評価や感想をいただきましたら急いで更新いたしますので、お寄せいただけると励みになります。
終末世界で繰り広げられる恋物語。GGG第2章後半の更新を開始いたしました! ほぼ毎日どちらかを更新しておりますので、恋骨の更新がお休みの日にお読みいただけると嬉しいです。




