20.田中要は内職をする事にした。
一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ
「カナメンさん最近ずっとスケルトンフラッシュ作ってますね」
そう声をかけてきたのは七味だ。
仮想空間でキャラクターになりきれる、VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)ゲームの中で、田中要はスケルトンキャラクター「カナメン」として遊んでいる。
そのカナメンとよく遊んでいるのが、七味だ。中身が男子の美少女キャラクターだ。
「こういう作業好きなんですよ」
カナメンは手を動かしたまま答えた。
スケルトンフラッシュというのは、スケルトンキャラクターのスキルで、「光る玉」を作れるスキルだ。そのスキルが何に役立つのかは聞かない方が良い。ただ光るだけだから。
ただ光る玉をせっせと作っているカナメンは変態的なのだが、スケルトンでしかも男子のキャラクターを好きで選んだ女子で、それを満喫しでいる時点で、変態とか説明する必要性が無いぐらいおかしい。
スキルを使って光る玉を形作った後、色を加える。そんな地味な作業をずっと続けていた。というか、大好きでずっとやっていた。気分は内職のプロである。
夢と冒険に満ちあふれた世界で内職を極めようとさえしているのである。
「点灯時間延長と点滅のスキルが欲しくて頑張ってるんです」
「変なもんに貴重なポイントを消費すんなよ」
カナメンの望みに、呆れた声で返したのは赤色53号だった。
赤色53号は少年のキャラクターだ。カナメンや七味と仲が良いのだが、口は悪い。心根は良いのだが、態度は悪い。
「スケルトンランドの集客に必要なんですよ」
「TAUにやらせろよ、盛り上げは運営の仕事だろうが」
カナメンが言ったスケルトンランドとは、DSL (ドリームスケルトンランド)の事である。通称「骨壺」と呼ばれているダンジョンだ。
透明なガラス張りで100階建てのダンジョンなのだが、中に居るのは全てスケルトン。カナメンがゲームマスターのタウとの勝負で手に入れた夢の国である。他の人から言わせると、悪夢の国だが。
「あっ!!! 新スキル来ました!!!」
カナメンが喜びの声を上げた。
「じゃーん! スカルフラッシュ!」
手には光る頭骸骨が握られていた。
赤色53号の腹筋が笑いすぎで崩壊した。
恋するスケルトンはサクサク読める1話完結の短編集です。評価や感想をいただきましたら急いで更新いたしますので、お寄せいただけると励みになります。




