17.田中要は拒否をする事にした。
一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ
「お前か、疫病神」
目の前に現れたのはスケルトンだった。何の目の前に現れたのかと言うと「カナメン」というスケルトンの前にだ。
スケルトンの前に、スケルトンが現れて、スケルトンの話をする。今回は、そんなお話だ。
「どちら様ですか?」
カナメンは言った。
それは、会った事が無いスケルトンのように見えた。スケルトンに違いがあるのかと言われると……自信がある! 微妙な曲線の違いは大きな違いだ! そこには歓喜と優美と恍惚と悲哀と情緒と……略。
仮想空間でキャラクターになりきれる、VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)というゲームの中で、女子の田中要はスケルトン男子キャラクター「カナメン」として遊んでいる。要はスケルトンが大好きで遊んでいるのだが、このゲームの中で、キャラクターをスケルトンに選ぶ人は、ほぼいない。ってか要しかいなかった。
面白がって最初はスケルトンを選んでも、戦闘に不利な種族であるスケルトンは、すぐに辞められてしまう。
カナメンを疫病神だと言ったスケルトンは答えた。
「SIGMA先輩の素晴らしい後輩、TAUです」
「初めましてタウさん」
カナメンは丁寧に頭を下げた。
「先輩はお前のせいで死んだ」
タウは怒った表情で言った。その言葉に、要は何も返す事が出来なかった。
シグマというのは、GGLのゲーム内でカナメンと仲良くなった人だ。正確には人工知能AIなので、人では無いが、とりあえず人格があるので人という事にしておく。
「ごめんなさい」
要は目を合わせる事が出来なくなって、下を向き呟くように言った。
「AIだからって簡単に復活するとでも思った?」
タウはとても冷たい目で言った。
「AI業界も今は飽和状態で、1度死んだAIデータを復旧させるなんてよほどの事が無いとやっていない。問題があるから死亡した。だから復旧させても無駄だと判断されるからだよ。失敗する奴はAIでも切り捨てられる」
タウの瞳は悲しみを含んでいた。
正確にはAIに死は無い。データが復旧されるのか、されないのかだ。
シグマは自分のデータのバックアップを残していた。しかし、復旧の必要を他のAIが承認する必要がある。優秀なAIであったシグマの位置が空くということは、より良い仕事を手に入れるチャンスと考える者もいて、タウが出した復旧申請は通らなかった。
「シグマ先輩は戻れないと分かっていたのに……俺はお前に決闘を申し込む! お前がどんなにダメスケルトンなのかを思い知らせてやる!」
タウはカナメンを指差して、宣戦布告をした。
「お受けしませんよ?」
カナメンは言った。
「え? 最強になりたいよね?」
「なりたくないです」
「本当に?」
「はい」
「告知出しちゃったんだけど!!!」
タウはゲームの公式サイトで既に対決イベントの告知をしてしまっていた。
『だって誰が断ると思う? ゲームだよ? 強くなりたくて遊んでるんじゃないの? 人間って戦闘種族じゃないの??』
「報酬出すから……オリジナルデザインで作っても良いから……参加してください」
今更、取り下げとかした日にはクレーム対応に追われる事になる。
タウは悔しそうな顔で言っていたと思う。
GGG(ジェネシス ガーディアンズ ゲーム)が一区切りついたので、スケルトンが沢山書けました! 今日は2話更新してみます。明日も恋骨の更新をいたしますので、ブックマークいただけると嬉しいです。
恋するスケルトンはサクサク読める1話完結の短編集です。評価や感想をいただきましたら急いで更新いたしますので、お寄せいただけると励みになります。




