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非行な少女とは苦労が絶えないんだが!?

初めまして月代刀名です、ちょっとした理由でこの物語を書くことになりました。まだまだ初心者で文章はあまり得意ではありませんが少しずつでもよい小説を書けるよう頑張っていくので少し暖かい目で見守ってくれれば幸いです。

唐突だか俺はモテ期なんてのは信じない、何故ならモテ期なんてのはドラマやアニメの中での出来事であってリアでそんな事が発生するのは普通にほぼありえないからだ。

二人の女の子からモテモテで修羅場ったり、二人の喧嘩の巻き添えでボコボコにされたり、家で休む時間もなく二人のトラブル(主に人間関係)に首を突っ込まされるなんて事は普通にないんだ。

だから普通に静かに生活すればよかっただけなのに…なの…に…


「さっきから私の手料理の邪魔すんじゃねぇ!」


「お前のような小娘にはまだ手料理など早い!」


(はは…まーたやってるよ…大人しく待ってろと言われたけど…)


キッチンに並ぶ二人の口喧嘩を呆れながらも諦めて見守る卯月雪広(うづきゆきひろ)、二人の女の子(約一名20代)が俺のために手料理を作ってるらしいんだけど、ちゃんとした料理がくるかとても心配、特に俺の胃へのだ。

一人は高校の制服をちらほら違反しつつもスタイルはモデルのような茶髪のロングヘアーの女子高生の獅子野琴絵(ししのことえ)

もう一人はカジュアルスーツをビシッと着こなし、女性が理想とする働くできる女性という感じでショートの黒髪が似合う高校教師の鷹瀬小夜子(たかせさよこ)

相反する二人がなんでこうなったかの説明は後々するとしてだ…それよりもいつの間にかガッ!ゴッ!という料理とは関係のない打撃音が聞こえはじめた。


(あー、そろそろくる…か…)


そう、二人はキッチンに並んで料理している、それ=肘や腕がぶつかる…そして二人は気が短い、つまりそういうことである。


「……………」


「……………」


おもむろに二人は包丁やピラーを置いた。


(さーて、始まるぞ…ラウンド1…Ready…fight!)


その瞬間、二人は料理を同時に止めてストリートファイターよろしくキッチンでバトルを始めた。


「さっきから私の邪魔ばっかしやがって!」


「それはこっちのセリフだバカ者!」


(あぁ…いつになったら夕飯食べれるのだろうか?)


泣きながら天井を仰ぎ、腹の虫がグーと鳴り悲しむ俺…なんで止めないのかって?それは巻き添えでボコられてまた病院送りになるのは勘弁だ。

しかしこのままでは近所迷惑になるので少しは止めに入ろう、少し怖いけど…


「ちょっと二人とも、あんまり喧嘩してると近所迷惑になるから止めよ…」


「うるさい!」


「お前は黙ってろ!」


二人からめちゃ怒られた。まあ、わかってたけど…これはもう止めようがないので二人が落ち着くまで待つしかない。


どうしてこう…俺の周囲の女子って不良(ヤンキー)しかいないのか?

さて、そろそろみんなに説明をしよう、そしてこれから始まるのはちょっとした3人のドタバタな恋物語である。



1・恋と嵐はいつも唐突に



運命の出会いとは?と聞かれたら「曲がり角でパンくわえた女の子とごっつんこ…」と大半の人はそう答えるだろう、それはアニメやゲームによっていつの間にか定番化したフラグなんだと思う、俺が何を言いたいのかっていうと曲がり角でいきなり女の子に殴られた。


「っ…………」


降り続ける雨の中、地面に倒れた俺はいきなりの出来事に戸惑っていた。バイト帰りに雨が降ってきたので近道にと走りながら路地に入って1分で起きた事だ。

そして俺の目の前に立つ女の子は制服を着ており、茶髪のロングヘアーにちらほらと服装違反している、すなわち非行少女(ヤンキー)だ。


「てめぇら…さっきからしつけぇんだよ!」


「……え?いや…俺は…」


すると俺の後ろからバシャバシャと誰かが走ってくる音が聞こえてきた。


「ようやく見つけたぜ?さあ諦めて俺の女に…グェッ」


その女の子は躊躇することなく、いきなり現れた男の腹を殴って倒した。


「うわ痛そ…」


「ったく、面倒だな…」


またバシャバシャと足音が聞こえて、今度は4人の男に俺たちは囲まれた。


「ちっ、リーダーが殺られたとなっちゃ俺らも黙ってられねぇな」


男の一人がやれやれといった感じで警棒を取り出した。


「あーあ、本当に今日は最悪の一日だ。6人で女の私を襲うとかどーゆー神経してんだてめえら?」


目の前の彼女は不機嫌そう…なんだろうか?楽しそうにパキポキと拳を鳴らしていた。


「………いや、俺らリーダー含め5人だけど?」


「…………」


その瞬間、全員の視線が俺に向いた。そっと俺は立ち上がり…


「やれやれ…最悪なのはお互い様だろうに…」


服はすでにびしょびしょに濡れており、服が肌にべったりで少し気持ち悪い、早く帰って風呂に入りたいと思った。


「悪りぃ、私の勘違いで殴ってしまった。大丈夫か?」


女の子は心配そうに言ってきた。


「ああ、大丈夫だよ…これぐらい慣れてる」


敵は通路の前後に二人ずつの計4人、やることはわかっている、俺は片方の二人と対峙した。


「俺はあっちの二人をやる、お前は反対側の二人を頼めるか?」


「え?あ…おう、大丈夫なのか?」


「大丈夫だよ、こういう事には慣れっこだ」


「ちっ、あの男の方はどうなっても知らんが、女の方は徹底的にやれ!」


男がそういった瞬間、他の3人は同時に俺達に襲いかかってきた。


「濡れてて少し動きにくいけど…!」


俺は襲いかかってくる男の警棒をギリギリ避けつつ振りかぶった腕を引き、腹や顎を的確に数回殴った。それにより男は「ぐへぇっ!」と脳震盪(のうしんとう)により地面に倒れる


(…あと一人!)


雨の中で奥にいる男が俺に向かって走ってくる


「てめぇ、よくも!」


もう一人の男が襲いかかってくるが、その動きは俺の予想を越えるものではなかった。


「くっ…!」


男のメリケンサックが付いた右拳を左腕で防ぎ、そのままの勢いで背負い投げを仕掛けた。


「のあ…!?」


ドシャっと地面に男は叩きつけられた。


「くっ!」


男は咄嗟に立ち上がろうとしたが、俺の追撃の蹴りを腹に受けぐってりと倒れる、二人を片付けた俺は女の子の方を見たが、加勢する心配はなかったようで容赦なく二人の男をボコボコにしていた。


「よーし、ようやく終わったな」


女の子は男をボコボコにしてスッキリしたのか、機嫌は良さそうだ。


「あんたは大丈夫…そうだな…、すまない、私の勘違いで巻き込んでしまって…」


女の子が俺に近づき、申し訳なさそうに言ってきた。


「まぁね、さっきも言ったけど、こういった事に巻き込まれるのは慣れっこだから大丈夫だよ」


「っ…あのくそ女、よくも…ってあれ?」


最初に現れたリーダーがノロノロと立ち上がり俺達と周囲に倒れている仲間を見た。


「………」


「………」


「………」


ちょっとした沈黙、すると…


「す…」


「す?」


「すみませんでしたぁぁぁぁっ!!」


脱兎の如く逃げた。


「………」


「………」


「なんだったんだろうね?」


「さあ?」


そして気がつけば雨は降ってなく、雲から少し夕暮れが見えていた。


「さてと、俺はそろそろ帰るよ、このままじゃ風邪になりかねないしな…」


「え、あ…ああ」


「こういった事はほどほどにしろよ、んじゃな~」


すると女の子は…


「あ…ちょっと!」


俺は歩くのを止め、少し振り替えると


「名前、あんたの名前は?」


「卯月…卯月雪広だ」


「私は…獅子野琴絵!」


お互いに名前を教えあった。一瞬の静寂、その時に感じたのはなんとなく心地のよい感情だった。


そして俺はまた歩きだした。


(なんか昔のあいつに似てるな…)


「卯月…雪広」


その背中を見送る獅子野琴絵は見えなくなるまでその背中を見送っていた。そして俺は予想してなかった。これが運命の出会いだったということに

 

それから15分後、ようやくアパート「レオナルドット」の二階にある自室に帰りついた。時刻は18時、俺は早速濡れた服を脱いで洗濯機に入れて風呂に入った。


「ふぅ…」


湯船に浸かり、ゆったりとした入浴時間は俺にとっての癒しだ。


「あー…疲れた」


そしてさっき出会った女の子をふと思い出す


「獅子野琴絵か…」


殴られた左頬をそっと触る、少し痛むがあとで冷やそう


「さて…そろそろあいつがやってくる時間だな」


俺は風呂場から出て着替えるとすぐに夕飯の準備を始め、トントントンと包丁で野菜を軽快に切る音が部屋に広がる、一人暮らしを始めて数年になるが少しずつ生活に慣れてきた。

それにこのアパート「レオナルドット」は家賃も安く、フリーターの俺には助かる物件でアルバイト生活でもやっていけるのがいい、ちゃんとした仕事に就きたいけど今のところ就職難でなかなかいい仕事がなく、仕方なくフリーター生活をやっている状況だ。


「さてと、そろそろ時間かな」


時計を見ると19時10分、ガチャと部屋の玄関が開き、スーツを着た女性が入って来た。


「ただいま~」


「ああ、おかえり」


こいつは鷹瀬小夜子、産まれた時からの幼馴染みで今は近くの高校の教師だ。


「今日も疲れた~」


「お疲れ、はい緑茶」


俺は冷えた緑茶を小夜子に渡す


「おう、ありがとう」


小夜子は笑顔で受け取り、ごくごくと緑茶を飲み干す、高校教師の仕事は大変で毎日忙しくせかせかと働いているらしい、ちなみに小夜子は俺のアパートの近くのマンションに住んでいるがたまにこうして俺の部屋に夕飯食べに来る。


「ほら上がって、もう少しで夕飯ができるから」


「ん、わかった」


小夜子はすたすたと部屋に入り、座椅子に座ってテレビの電源を入れた。


「最近は学校が忙しくて敵わんな…」


「だろうね、どこも入学や入社で忙しいからね」


カチャカチャとキッチンで夕飯の仕上げをしながら返事を返す


「雪広はどうなんだ?新しい就職先見つけたか?」


「いんや、なかなかいいのないよ、求人とかネットで見てるけどね…まあ、贅沢は言ってられないのはわかってるけど…」


「仕方ないさ、ちょっとタイミングが悪かっただけさ」


小夜子が励ましてくれるのは正直嬉しい、けど現実はそう甘くはない、いずれ会社に入社して安定した生活を得て少しでも何か小夜子にしてあげたいと思う。


「そういや…雪広」


「ん?何?」


「その左頬はどうしたんだ?」


「いや、何でもないよ」


少し腫れていたみたいで俺はできる限りごまかした。ちなみに獅子野の殴られた左頬がちょっとヒリヒリするが我慢しよう、じゃないと殴られたのが小夜子にバレたらとんでもないことになる。


「そうか…」


「よし、夕飯できたぞ」


俺はできた夕飯をリビングのテーブルに並べていく、ちなみに小夜子は目をキラキラさせながら待ってましたと言わんばかりの表情で見ていた。


「今日は肉じゃがだな、また料理の腕が上がったんじゃないか?」


「まあね、作るなら美味しいのが食べたいしな」


「私も負けてられんな…」


(全く、昔から負けず嫌いや食いしん坊なところ変わってないな…)


「よし、それじゃ…食べようか」


「そうだな」


「いただきます」


「いただきます」


二人は手を合わせ、いつものように夕飯を食べる。


「うむ、やはり雪広の作る飯はうまいな…」


開口一番に夕飯を食べた小夜子は幸せそうな笑顔で言った。


「そりゃよかった」


昔から母親の手伝いをやっていたので料理はできる方だ。ちなみに小夜子も少しは料理できるのだがあまりやりたがらない、というのも面倒だそうな

それから二人は夕飯を食べ終えて俺は食器を洗い、小夜子はそれを受け取って拭き取りつつ食器棚に片付けていく


「さてと…そろそろ帰るかな」


「ん?そうか、わかった。下の駐車場まで送ってくよ」


「おう、ありがとう」


時刻は21時、明日は土曜だが学校に行かないといけないらしく、教員の仕事は多忙だそうな


「大変だな、教員の仕事も…」


「ああ全くだ。だが自分が選んだ仕事だからな、ちゃんとやらないとな」


二人は階段を降りながら話している


「小夜子は昔は札付きの不良だったのによく頑張ったよ」


「それは昔の話だ」


そう、小夜子は中学と高校ではかなりの不良で毎日暴れていたがあるきっかけで真面目に学生として勉強するようになり、今や高校の教師である。


「そうだけどさ…っと、ここまでだな」


階段を降りてすぐに駐車場があり、そこには小夜子の愛車である黒の軽自動車が駐車されている


「たまには私の部屋にも来い、夕飯食べにな」


「おう、今度時間あったらその時は連絡するよ」


「べ、別に泊まっても…いいんだぞ?」


「え?なんて?」


「い、いや…なんでもない」


小夜子がちょっとしょんぼり気味に車に乗車する、なんとなく聞こえていたんだけど…少しアレだったかな?


「まあ、連休もらえたら泊まらせてもらうよ」


「そ、そうか!」


その瞬間、小夜子は笑顔になるが…


「雪広、お前…聞こえていただろ?」


「あんまり聞こえなかったけど…なんとなく…」


本当は何と言ったか聞こえなかったが、なんとなく小夜子の表情で俺は察した。


「お前には敵わんな」


「そんなことないよ」


「雪広…」


「ん?」


「帰るぞ」


「ああ、またな」


小夜子の車が走り出す、俺は車が見えなくなるまで見送った。


小夜子side


公道を走る小夜子の軽自動車


(変わってないな雪広は…)


ふっと少し笑うぐらいだ。


(変なところで察しがいいところや嘘ついて背負い込むところも…)


だんだん小夜子の表情が少し暗くなり、ステアリングを握る手に思わず力が入る


(まったくいつになれば私の想いに気付くのやら…)


小さい頃からよく遊んで一緒に勉強して…たとえ不良になっても見捨てずに私のそばに居てくれた雪広


(今さら悩んだってしょうがない、私はそんな雪広のことが…どうしようもなく好きなんだからな…)


そしてふと今日の雪広の左頬にあった腫れ、そして補助席に置いてある小夜子のスマホには一通のメール、それにはある生徒がまた問題を起こしたとの他の先生からの連絡だった。


(まさかな…)


小夜子の軽自動車は軽やかに夜の公道を走って行った。


小夜子side終


「予報は当たってたとはいえ…」


あれから一週間が過ぎ、バイトが終わった俺の目の前にはどしゃ降りの雨、一応傘は持って来てるが


(また近道するべきか…)


その時、殴られた左頬が不思議と痛む


「…………近道すっか、あまり濡れたくもないしな」


俺はまた路地裏に行き、近道することにした。


(そういや獅子野琴絵って言ってたっけ?昔の小夜子に似てるよな…)


一週間前にいきなり殴られた場所を見て思った。


「また会えるかな…」


「誰にだ?」


「うおっ!?」


いきなり後ろから声がしたのでちょっとびっくりしてしまったが、振り返ると制服を着た獅子野がいた。


「悪りぃ、そこらを歩いてたらあんたを見つけてな、話しかけようと近づいたんだけど…」


「いや…いいよ、ちょっと驚いただけだし…なんか俺に用か?」


「この前は悪かったな」


「ああ…そのことか…大丈夫だよ」


「そ、そうか…それとだな…」


「ん?どした?」


「………」


「………」


雨が降り続ける路地裏にお互い沈黙する、少しすると…


「あ、あのさ…付き合ってる人とかいるか?」


「ん?いないけど?」


何を聞くのかと思ったらそんなことか…と思ったが、その瞬間、獅子野はパァと笑顔になった。


(やっぱ小夜子に似てるなー、ん?あれ?この状況って…)


「あのさ…」


(もしかして…)


「私と…その…付き合ってくれないか?」


「……………」


その瞬間、雨が降り続ける路地裏で俺の思考が停止した。


「付き合うって彼氏彼女っていう?」


「お、おう」


「…………」


獅子野は未成年だ。その女の子と付き合うとなるとかなり苦労というか小夜子がどんな反応するか恐ろしいものがある


「やっぱ無理なのか?」


「そういや獅子野琴絵だったかな?何歳?」


「今年で18だけど?」


(ということは高校3年生か…)


どうしもんだと悩んでいると…


「私、嬉しかったんだ」


「?」


「今まで頼れる人がいなかったからよ、あんたが初めてなんだ」


「………(そういうところもか…)」


「だから…その、付き合ってくれないか?」


「そうか…」


「あんたの返事を聞きたい」


「………」


ちょっとした沈黙…


「ごめん…」


「………そうか、じゃあなんで無理なのか聞かせてくれ」


「そりゃ未成年だし、もし付き合ってるって知られたら知り合いが黙ってないだろうしな」


「私が聞きたいのはそんなことじゃねえ、あんたのちゃんとした理由が聞きたいんだよ」


「………」


俺はいつの間にか言い訳で逃げようとしていたことに気付き、どうしようもない自分自身に怒りを覚える、すると獅子野は自分の傘を捨てて俺の胸ぐらをぐっと掴み


「私は絶対に諦めない、私はあんたが好きになっちまったんだ!どこにいてもあんたの事考えちまって頭がいっぱいいっぱいなんだ!」


「………」


俺は唖然と獅子野の言葉を聞いていた。


「私はあんたが振り返らずにはいられねぇ女になってやる!」


雨が降り続ける路地裏に獅子野の声が響く


「………」


「………」


お互いに雨で濡れながら見つめあう、どれくらい時間が経っただろうか獅子野はパッと俺の胸ぐらから手を離して自分の傘を拾って帰ろうとした。


「どこに行くんだ?」


「帰るに決まって…へっ…くしょん!」


「はあ…ったく…獅子野、ちょっと待て」


「なんだよ」


「俺について来い」


そして俺は獅子野を連れて自分のアパートへと歩き出した。


「ここは?」


「俺が住んでるアパートだよ」


階段を上がり二階にある自分の部屋へと向かう、がちゃと扉を開け、入ると獅子野は…


「お…お邪魔します」


「おう、入れ入れ」


二人が部屋に入る


「獅子野、とりあえずシャワー浴びてこい、そのままじゃ風邪引くから…あと俺の服を貸すから制服は洗濯カゴに入れといて、それと貴重品とかも別にしとけよ?」


「わかったけどあんたはどうすんだよ?」


「俺はお前の後でシャワー浴びるからいいよ」


タンスの中から適当なTシャツとズボン(ジャージ)を渡した。


「ほら行ってこい」


「あ…ありがと」


うつむきながらも獅子野は少し照れ気味に言い、風呂場へと向かって行った。


(……可愛いなこいつ……)


俺は髪をタオルで拭いて部屋着に着替えた。

さすがに濡れた服のままだと俺も風邪引いてしまう、濡れた服を洗濯カゴに入れてベッドに座った。


(今日はもう雨が降りっぱなしだろうし、さて…これからどうしたもんかね…)


とりあえずなんとかなるだろう…そう思ったが…


(…あ、しまった。シャンプー詰め替えるの忘れてたな…)


それに気付いた雪広は立ち上がり、シャンプーの詰め替え袋を持ち風呂場へと向かった。


獅子野side


卯月から渡された服を手に獅子野琴絵は風呂場に向かった。


(どうしようどうしようどうしよう!)


獅子野琴絵動揺はしていた。予想外にも今さっき自身が告白した男性の部屋に上がっただけでなく、風呂や服まで借りたというのは獅子野にとって初めての経験である


(こ…これってどうなんの!?)


そして手に持っている服がプルプルと震えている、これは寒さからくる震えではなく、緊張からくるものだった。


「と、とりあえず風呂に入ろう…」


濡れた制服を洗濯カゴに入れて獅子野は脱衣場から風呂場に入った。


(風呂から出るまでなんかいい解決法見つかるだろ…)


そう思って獅子野は風呂場の扉を閉めようとしたら目の前の扉がガチャっと開いた。


獅子野side終


「悪りい、シャンプー切らしてたの忘れてた…んだ…けど…」


扉を開けた雪広の目の前には獅子野がいた…しかも全裸だった。


「………」


「………」


お互いにフリーズし、ボトっと雪広の右手から落ちる詰め替え袋が申し訳なさそうに主張してきた。


「………」


「………」


ちょっとした沈黙


「…えーと、はい…これ…」


俺は落ちた詰め替え袋を拾い、獅子野に渡す


「お…おう、ありがとう…」


「そ…それじゃあな…」


「…お…おう…」


そして雪広はそっと脱衣場から出て扉を閉めて思わずorzった。


(なにやってんだ俺はぁぁぁぁぁぁっ!?)


雪広の声にならない鉄血のような叫びが心に響く、そして目を閉じると思い出す、獅子野の高校生とは思えないモデル並みのスタイルが脳裏に焼き付いた。


(まずい!目を閉じたら思い出してしまう、目を開けてなるべく冷静に冷静に…)


ひとまず雪広は立ち上がってベッドに再び座る


(落ち着け…俺、落ち着いて年上の男としての冷静さを取り戻すんだ!)


その時、シャワーの音が雪広に聞こえてきたことによりあの光景がフラッシュバックする


(む…無理無理無理無理無理ぃぃぃぃぃっ!!)


ベッドの上でじたばたと自身の邪念と戦う雪広であった。


それから15分後…


ガチャという風呂場の扉が開く音、獅子野は渡された服に着替えて部屋に向かうとベッドの上でぐったりしている雪広を発見した。


(な…なんか泳ぎ疲れたアシカみたい…)


獅子野は自身の裸を見られたことに驚いていたのだが、普通というよりいつもなら拳の一発は入れるはずが不思議とそんな気分ではなかった。 


(恋というのは恐ろしいな…)


そして自身の邪念と戦ってぐったりしている雪広に近づき、まじまじと獅子野は雪広を眺める


「ん…」


「お、起きた?」


雪広が目を開けると目の前には獅子野がいた。


「悪い、寝ちまった。」


「いや、別にいいって」


雪広はベッドから起き上がって獅子野を見るがふとあの光景を思い出してしまい、顔をそらす


「その…さっきはごめん」


「え…あ、いや気にしてないけど…」


「そ、そうか…」


二人の顔は真っ赤だった。


「んじゃ、俺もシャワー浴びてくるけど適当にゆっくりしてて」


「わかった」


俺は風呂場へと向かい脱衣場で適当に脱いでシャワー浴びる、それだけで少し落ち着きを取り戻す


「よし、さっぱりした」


脱衣場で体を拭いて着替えてる時にガチャと玄関の開く音が聞こえた。


(ん?…小夜子が来たのか……ってヤバイ!!)


そう思って脱衣場からとっさに出たのだが…すでに小夜子が玄関にいた。


「今日は少し早く終わってな、それで来たんだが……」


小夜子の視線には俺の靴の横に置かれている女物の靴


「誰かいるのか?」


「お…おう、ちょっと友達がな…」


「そうか…」


小夜子は靴を脱いで部屋へと向かおうとすると…


「ん?誰か来たのか?」


獅子野が俺と小夜子の前に現れた。


「………」


「………」


「………」


またしても沈黙(フリーズ)、なんかもういろんな感情が俺の中でごちゃ混ぜだったがそれを他所に小夜子と琴絵はお互いに睨み付けていた。


「獅子野…なんでお前がここにいる?」


「鷹瀬先生こそ、なんでここにいるんですか?」


「あ…」


俺は気付いた。獅子野琴絵が着ていた制服は小夜子が教師やっている国明情報学校の制服、そして獅子野琴絵は不良で小夜子はそこの教師でお互いに知っているということになる


(ヤバイ…小夜子は今でこそ教師やってるけど…まだ不良時代の感覚というか喧嘩癖がある、加えて俺に対して昔から過保護だったからなおさら獅子野がヤバイ!!)


ゴゴゴゴゴゴゴゴ…という擬音が不思議と聞こえてくる、あれ?二人はいつのまにスタンド使いになってたのだろうか?それはさておき


「ちょっと…二人とも落ち着こう!ここはちゃんと話し合いで…ね?」


「それもそうだな、それに二人には聞きたいことがある」


「私も先生に聞きたいことあるからね」


雨がザーザーと降り続ける音が部屋に少し虚しく鳴り響いていた。




























































































 

















会社に行きながら少しずつ書いてようやく1話にこぎつけた。ブラック企業にいると毎日辛いぜ!残業やストレスで毎日疲弊しながらも頑張ってる…ので少しずつ続編書いていきます、ちなみにそれぞれキャラクターの名前には動物の名前を入れてますが、そのキャラクターの性格に合わせた漢字を入れて区別化と覚えやすさを重視しています、主人公の卯月雪広にヒロインの鷹瀬小夜子と獅子野琴絵というメインキャラですが、これからあと二人ぐらいヒロイン増やそうかなと思っています。ではまた次のお話でお会いしましょう~ではでは~

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