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夏休みが終わっても坂本の嫌みは相変わらずだった。


「あー忙しい忙しい……人気作家は感想返信で大変だ……どこぞの底辺はその辺楽でいいなー」


「ふふふ……大変だね」


「……なんだよお前?諦めたのか?」


「いや……子供ってかわいいな。坂本も大人になったらわかるよ……」


自分の作品が100ポイントもいかなくても坂本が嫌みを言ってもなにも気にならない。


俺は大人になったのだ。








夏休み。


俺は龍二に裏路地のさらに奥にある秘密のパン屋に案内した。

そこは江戸時代から続くパン屋で……ほんとかよ?


龍二はこのパンにいたく感動した。


「うおお!これはもうパンじゃねぇ!おパンパンだ!」


おパンパンはなにかヤらしいなぁと思っていたら


「こんなうまいパンは初めてだ。これは京平にお礼をしなきゃな。おパンパンさせてやるよ」


と言い出した。


そして盗んだ車で海に繰り出し、俺は初めてのナンパをした。







「えー!はじめてなんだー?」


「はい……」


「ラッキー!うち童貞食うの好きなんだよねー!大丈夫!穴にぶち込んで腰振ってれば気持ちよくなるから」


「……」


俺は龍二がナンパしてきたギャルに童貞を捧げた。







「いやー!京平!いかないで!」


ギャルの声が遠くなる……


「いいのか?京平……?」


「はやく車を出してくれ!龍二!」


住み込みでバイトした期間、俺は18年間の『童貞力』が爆発し、毎日色んな女

をナンパして抱いた……


そして愛し合うようになった。


彼女たちは行くなと言った。


でも俺は帰らなくては……


龍二はビーチでもヤンキー相手に無双しまくり、俺はそれをもとに小説を書かなくてはならないのだ……女遊びなんてしてる暇はねぇ。


そう。


俺は童貞をこじらせた人間特有の『セックスしただけで人間として一回りもふた周りも成長したと勘違いし、童貞を遠い目で見る病』にかかってしまったのだった。








「お前なんか知るか!ふんっ!」


おそらく童貞であろう坂本が俺に嫌みを言うのは無駄だと理解し、執筆を再開した。


『男の子』って本当可愛いよね。


しかし……



「……」


小説はスランプに陥った。


童貞を捨ててから「はきゅーん!大丈夫ですかぁ?ご主人様ぁ?」みたいなキャラが書けなくなった。


「実際の女はもっと……」とか「こんな女いねぇよ……」という考えが俺を邪魔する。


全員処女という設定も無理がある……異世界でも中学でバージン捨てちゃう奴もいるだろ?



あーー!


どうしよう!?


これはエタる!



リアリティを追求すると……いくらなんでも主人公のドラゴンも無双しすぎだな。


そうだ!


『無双主人公がだんだん弱くなる小説』はどうだろう?


『なろうでは主人公が苦戦しただけで読者が離れる』という金言もあるが知ったことかい。


好きにやろう。


作者無双だ!

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