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ペ天使 -幸か不幸か高校生活-  作者: 海老尻尾
第2話 ある日曜日の出会い
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ある日曜日の出会い〈遅く起きた休日の朝〉

「はあ!?いやだから…なに言ってっか意味分かんねぇってお前!」

「わけわかんねえのはこっちだっつの!おま…しら切るつもりかよ!?」

「しら切るも何もこっちは…!あー、もうお前頭おっかしーんじゃねぇの!?」

「はぁ?おかしくねぇわ!お前より数学いい点とってんだよ!」

「数学だけだろおが!文系なめんなよコラァ!!てかそういう問題!?」


…え?何これ?なんで冒頭の部分から意味不明なケンカ?ていうか“!”多すぎなんですけど。このテンションついていけないんですけどー。

と、軽く引いた方。

どうか、読むのやめないで下さい。うん。そのまま。チャンネルはそのままで。


…えーと、まずは何でこんなとっても言語的バイオレンスな状況になってんのか。

そもそも、いつ?どこで?誰が?

色々と説明しないといけない。


だから、ちょっとだけ、時間をさかのぼってみる。


まずは、そこから始めよう。うん。




西暦2014年 4月8日 日曜日。

午前9時13分。


櫨村家。

典型的な春の暖かな陽気の中で、そよ風に揺れる青き木々達。

そしてそれらを照らす、豊かな太陽の日差しが、俺の部屋の窓に入り込んでくる。

…っていう爽やかな感じで入ったのはいいけど、残念ながら、この俺、櫨村誠の気分は、今、とっても冴えない。

9時過ぎまで毛布にくるまって爆睡してた身体を、ゆっくりと起こし、小さなあくびをしながら、起床。


日曜の朝なんてこんなもんだろ、とまあ割り切ってしまえばそれまでだが、それでも、いつもはもうちょっと早く起きる。9時過ぎに起きたのなんて久しぶりだ。

なんでこんな爽やかさとかけ離れたような朝を迎え、こんなにも気分がさえないのかという原因は、大体分かる。


全て、昨日のあの瞬間的に俺の身に降り注いできた、あの出来事のせいだ。

瞬間的に俺に降り注いできた出来事でピンとこない方は、

“ペ天使-幸か不幸か高校生活-”のバックナンバーを読んでいただきたい。読んでもピンとこないって方は、まあ、うん、仕方ない。


…まあそういうわけで、朝っぱらから俺の気持ちはかなり重い。

今日が日曜日でよかった、と心から思う。

何て言うんだっけ、こういうたるい気持ち…

えーと…ゆう…ゆう…ゆうつう?いや、違う。

…みゅうつ…

ミュウツー?

いやそれだとあの伝説のポ●モンだ。

…1人でつまらないボケ&ツッコミ。すでに限界状態である。

…そうじゃなくて…ゆ…ゆう…

あ、ゆううつ。

憂鬱である。今、俺は、憂鬱な気分である。


でもそんな憂鬱な俺は、あることに気付き、更に憂鬱になる。

机の上に置かれている、店の名前が入った、小さなトートバッグ。

そこから無造作にはみ出している、見覚えのあるCD。


先週、近所の“SUTAYA”でレンタルした、最近ランキング上位に入ってきて、今、最も注目されているロックバンドと騒がれている“WHO”とかいうグループの新曲。

7泊8日レンタルで借りたまま、1回聴いてずっと返すの忘れて机に置きっぱなしだった…。


で、今日がこのCDが我が家にきてちょうど8日目、ってことに気付く。

そして自動的に、今日の午前10時以内に返さないと延滞料金がかかっちゃうよってことにも気付く。


我が家から“SUTAYA”まで、自転車で15分。

現在時刻、午前9時21分。寝着を着たまま。身支度も全くしてない。

まあ、がんばればなんとか間に合う時間…。


あ~…めんどくせぇ…。

今日みたいな日に限って…今から返しにいかねぇといけないのか…。

…つーか、まずリビングいって朝飯食わないと。

あくびをしながら、部屋を出て、階段を下りる。


身体がさらに、重くなった。


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