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ペ天使 -幸か不幸か高校生活-  作者: 海老尻尾
第1話 What is your name?
7/19

What is your name? (5)

「え?あ、私の…名前?」

と、あの子がこっちを向いた。

いや、あんた意外にいないでしょ!とツッコみかけたが、ツッコめるはずもなく、

「うん、教えて?名前」

と、改めて聞く。

すると、ぼそっと、呟くように答えた。

「…まどか。…楼明寺…まどか。」


まどか。M・A・D・O・K・A。まどか。

おお。

ついに。第7回目にしてついに。

ヒロインの名前が判明! 

毎度毎度あの子あの子と、安っぽい代名詞で呼ばれていた状況がついに……。


と、人知れず心の中ではしゃぐと同時に、まどかさんの振る舞いに多少の疑問も覚える。

まどかさん、なんとなく名前をいうのに躊躇した感じがあった。明らかに。

別にまどかなんて変な名前でもないし、てかむしろ素晴らしい名前だし、

引け目は感じないはずであろう。

てことはつまり、名字?

確かに楼明寺ってのはあんま聞きなれないし、いうのが恥ずかしかったんだろうか。

まあいいや。深く考えなくても。


とかいうやりとりをしてるうちに、一番端の会議室のトイレから、8,7,6,5ときて4組付近まで戻ってきた。ぱっと後ろを振り向くと、結構距離があることに気付く。

おお…。

あの端っこの会議室からの長い廊下を…早足とはいえ、まどかさんと2人で…。

そんな安っぽいときめきと同時に、もう1つのことにも気付いた。

人がいない。


近くの国道沿いに大型スーパーが開店して、ついこの間まであった活気がなりをひそめるようにひっそりとしてしまった地元の古い商店街くらい、人がいない。

なぜか?

近くに大型スーパーが開店し…たからではない。

時間だからだ。

現在12時17分。

LHR開始は、12時20分。

教室に入ると、もうほぼ全員が席についていた。

でもなんか妙に静かだ。そりゃそうか、ちらほら話してるやつもいるけど、皆ほとんど初対面なわけだし。

席は、右から縦列の出席番号順。32番の俺は、窓側から2番目の列の一番後ろだ。

一番窓側の真ん中の席で、まどかさんが座るのが見えた。

俺も、すっと、座ろうとすると、何故か、ひしひしとどこからか視線を感じた・・気がした。

んん?…どこからか、というよりクラスのほぼ全方向から、ちらちら俺、見られてないか?

特に男子から。

え?何これ?俺なんかした?なんかついてんのか顔に?

とりあえず、座る。

…まさか…女子トイレに間違ってはいちまったことがもうばれてのか?

急に顔が青ざめていく。マジかよ…。

いや、でもあの時奇跡的に周りに人いなかったし…。

と、恐怖にあおられながら縮こまっていく体を、突然横からトントン、と叩かれた。

ビクッとして、横を向く。

接してきたのは、俺の隣の席の男子だった。

「ね、ね、ね。」

なんか、妙にそわそわしてる。

「な…何?」

「もしかしてさ、付き合ってんの?」

「へ?」

な、なんだ?何言ってんだコイツ…。

「いやだからさ、さっき2人で教室入ってきたじゃん、時間ギリギリに。ほら、あの子と。」

と、指差したのは、まどかさんであった。

いやな予感。

「一緒に廊下も歩いてたの見えたぜ?同じ中学出身で付き合ってるとか?」

徐々に体を俺のほうへぐいぐい寄せてきた。

何だコイツ…めんどくせぇ…。

でも…そういう事か…。

さっきの妙な男子からの視線のワケがだいたいわかった。

クラスのほとんどが席についてる中、男女が2人で廊下を歩いてきて、教室に戻ってる。

おいおいおい、何だよアイツら、そういう関係かよ……。

入学早々いちゃいちゃしやがって…。


というジェラシー満々の目で勘違いされるのもわからなくもない…。

つまりはさっきの俺に向けての視線も、そういう意味がこめられたってことか。

いやな予感、的中。

でも残念だったな、俺とまどかさんはそんな関係じゃねぇよバーカ。

つか名前すらさっきはじめて知ったつーの!

ということを、隣のめんどくさいアイツにも説明した。

「ふーん、なんだ、初対面かよつまんねー。」

つまらなくて悪かったな。はっ。

「…でもさ、まあ、俺の誤解は解いたけど、さっきの2人で廊下歩いてきたシーンは、多分クラスのほとんどが見てたし、多分お前ら、少なくともこの4組の中では、

そういう関係…ってことで認識されてると思うぞ。」

「……え?」


あ、そうか……。

いや、そんなバカな。まあ、その悪い気はしませんけど、それって色々まずいんじゃないですか・・・?いやぁでも皆そんなに勘違いするかな・・。



トントン、とさっきとは逆の、左側から肩を叩かれた。

俺の左ってことは、このクラスで、一番出席番号が遅い人か。

振り向くと、間髪いれず、聞かれた。

「ねえ、君ってさ、付き合ってんの?」



いやアンタもかいぃぃぃぃ!!!!

ってか、うそんん!!???なにこの展開!?



櫨村 誠。15歳。

一目惚れのヒロインと、とばっちり交際疑惑をかけられ、

花の高校生活、嵐の幕開け。




【第1話 what is your name?】 END



NEXT


「いや、だから天使だって、天使、エンジェル!」

「いや信じらんねーっつの!!」


2人、ついに対面・・・!


そして主人公、誠くんにかかる新たな災難・・・!?


           ペ天使-幸か不幸か高校生活-

          第2話【対面】編 

              COMING SOON…


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