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ペ天使 -幸か不幸か高校生活-  作者: 海老尻尾
第3話 高校生活、最初が肝心!って塾の先生言ってたけども
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高校生活、最初が肝心!って塾の先生言ってたけども <二>

花の高校生活。

大人への階段を上っている最中の若き男女たちが送る3年間のスクールライフ。

長いようで短い青春のひと時をどう使うかは自分次第。

部活に励むもよし、恋に励むもよし。

しかし、どのように歩もうが、避けて通れぬは勉学の道。

決して偏差値上位に君臨するような有名校にはかなわないものの、俺、櫨村誠が門をたたいたこの県立奈津野高校は、曲がりなりにも進学校である。

“勉強”という足かせを引き、青春の道を進むのは覚悟の上・・・。

・・って思ってたけども、ねえ。


バスを降り、校舎に入り、階段を上って1年4組の教室にたどり着いた櫨村誠は、

黒板の真ん中にはられていた1枚の紙を見て、思うわけであった。


ちょっと、これはねえ?ないんじゃないの?



新入生の皆さんへ。

ご入学おめでとうございます。

入学式を終えて、初の登校日の本日は、入学説明書の入学後の日程に記載していた通り、

「新入生実力テスト」

を、行います。

教科は、国語、数学、英語の3教科です。

HRに各クラスの担任が詳しく説明をするので、それまで自分の席で静かに待機していて下さい。



・・かんっぜんに忘れてた・・・・・。

そういや新入生実力テストとかあったぁぁ・・・・・・。

やっべぇ全く勉強してねーよどーすんだよ!

調子こいて昨日の夜「ドッペルゲンガー」とか調べてる場合じゃなかったああ!!

どうしよう、どういう問題出るのかもわかんねーし、完全に丸腰だよ・・。

・・ていうか他の人とかは勉強してんの?どうなの?

テンパりながら、教室をさりげなく見渡してみる。


で、とりあえず安心する。・・・おお。

HRまであと10分ほどあるが既に教室には8割ほどの生徒が来ていた。

中には

登校2日目にしてうち解け始めていて、談笑する女子グループとか、

隣の席のやつに、

「俺、昨日寝ちゃってさぁ、全然勉強してねぇよぉ~。」

と話しかけている絶対勉強してきたやつとかもいたが、

席には座っているものの、話しかける相手がなかなかおらず、勉強する気にもなれず、とりあえずケータイをいじっておいて、

え?いや、別に話そうと思えば全然初対面のやつとも話せっけど?ただこっちからはいかないだけだし!てか今ケータイいじってるから。

みたいなオーラを周囲に振りまいてる、

“初対面ばっか”という空気の中で、上手く動けず、とりあえずなんかしてるってやつが大半で、

予想したような参考書を開いて、昨日の夜から勉強してマス☆

みたいなやつはあんまし見受けられなかった。


そうだよね。皆こんな感じだよね。

つか新入生テストとか多分あんまり成績に関わんないパターンだよね絶対。

あの、いわゆる前座試合みたいな?

これからの高校生活をいい感じで進んでいくための肩慣らしみたいな?

エキシビジョンマッチ的なノリだよね。うん。

あービビって損した。

とかなんとか考えながら、後ろの方の自分の席につく。


・・・そうしてしばらく、・・やることがないので、


改めて教室の中を眺めていると、

色んなヤツが目に付いた。

明らかにテンパって自分の席に座っているが、背が高そうで、外見からして見ると多分ヨーロッパ系のハーフ・・?

みたいなイケメンがいたり、

この登校してから朝のHRを待つ、

という時間帯で既に弁当を自分の席で食ってる男子がいたり、

この登校してから朝のHRを待つ、

という時間帯で何故か自分の席でスクワットをしてるメガネがいたり、

おそらく朝コンビニで買ってきたであろう「週刊少年だいぶ」を真剣に読んでる男子がいたり・・

あれ?あ、女子か?「だいぶ」読んでるの女子かあれ。珍しいな「だいぶ」よんでる女子・・。

・・そんな感じで、後ろの席でこれから1年間共に過ごすであろう人々を観察して、櫨村誠は思うわけであった。


・・・自由過ぎね?


最初ぱっと見たときは、まあ、どこにでも有り得るような感じの最初の方のクラスの風景だなぁ・・。とか思ってたけど。

いや、普通のヤツももちろんいるけど、そっちの方が断然多いけど、

ところどころ・・明らかにズレてるやつらがいるんだけど?


・・・自由過ぎね?あんたら。


さっきエキシビジョンマッチとかいった自分がいうのもなんだけど、

仮にも数十分後に「新入生実力テスト」なるものが迫ってるっつー状況で、弁当食ったり、筋トレしたり、「だいぶ」読んだり、って・・フリーダム過ぎる気がするんだけど?

勉強するんじゃなくても、もっとこうちょっと緊張した表情でいるとかさ・・。

・・・ていうか・・・。

キャラ濃いなぁ・・皆・・。

その、まあなんだかんだ言っても主人公の在籍するクラスだし?

やっぱり個性の1つや2つ持ってる人達がいないといけないのはわかるけど。

・・・なんていうか、見ただけで人を判断するのはアレだけど、

もう既にあの人たち主人公の俺よりキャラ濃い感じの勢いなんだけど。

つーか今気付いたけどさ。

何?俺のキャラって何?

・・・・

あれ?なんでだろ。哀しくなってきたなぁ・・。


もしかしてこの感じだと先生もキャラ濃い人が来るんだろうか?

・・・だとしたらなぁ・・・。

どうしょう。俺埋もれたりしないかな・・。主人公なのに。


みたいな感じでその後も数分教室で1人ネガティブにだれていると、


ガララッと言う音と共に前のドアが開き、1人の男が入ってきた。

ついに、このクラスの担任のお出ましである。

「よーし、皆席についてるかー?」


20代半ばの若い男性教師であった。

落ち着いた雰囲気で、体格も一般的な成人男性という感じだが、

・・とりあえず女子にキャーキャー言われるようなルックスではないことは確かだった。

はっきりどこが悪いと言えるところはないんだけど、

なんかこう・・・花がないというか、

ポ●モンでいえばかわいさのない「ノーマルタイプ」というか、。

絶対学生時代あんまし目立たないタイプだったんだろうなっていうか・・。

漢字2文字で表すのなら、“普通”。

逆になんかもう一線越えて“普通”であることが強い個性となっているかのような、隙が全くない完璧なまでに完成された“普通”であった。



俺は思った。

・・・ああ。良かった。


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