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第二姫様付き侍女のお話  作者: REDPINE
本編~ニナ視点~
9/10

エピローグ

 あの姫様あわや大惨事パーティ&婚約者事件から半年――。

 私は今日もいつものように姫様付きの侍女をしている。


 あの後のことについて簡単にお話しして行こう。


 私はノクバース様と連れだって、姫様に会いに行った。

 そしてその場で本当に無事か、無傷かを徹底的に調べようとしたら、姫様に近付く前に侍女長にかなり怒られた……。


 いや、うん……まあ、そうですよね……。

 姫様をお守りする為に付き添ったのに、私自身も身を呈して姫様をお守りすると意気込んでたのに、目を放してあわや大惨事になる所だったのだから……。


 こっちの御咎めは、一か月の自宅謹慎と反省文という名のインシデントレポートであった。

 あの日付き添った侍女全員、同罪で同じ罰を言い渡されており、私が姫様の元へ向かった時には皆、自宅へ戻る準備をするためにその場にいなかった。

 もちろん私も例外ではなく、すぐさま実家へと戻る支度をし、実家へ帰らされた。

 家へ戻って荷物を片し、久々の実家の雰囲気に和んだり息つく間も惜しんで、早速とばかりにインシデントレポートを書き始めた(両親へは王宮側から既に何があったのかとか処分については手紙で言い渡されていたので。)私は、自室の机に座ってふと、反省文を書かされるのはいつ振りだろうと考えた。


 最後に書いたのはそう、高校で壁を蹴り壊した時だ……。

 いや、壁を壊したのはわざとじゃないんです。

 教室内で友達と追いかけっこをしてスピード出し過ぎて、止まれなくなったから足で壁を蹴って止まろうとしたら、呆気ないほど簡単に穴が開いたんだよ!

 カスッ!て音だったから、絶対あの壁、腐ってたんだよ!

 なのに……。

 正直に怒られる為に先生呼んで説明して、わざとじゃないって事も何度も言ったのに、担任の先生、私がわざと壁壊したって疑いの眼差しでずっと見てきて……あの時は、辛かったな……。

 一緒にいた――追いかけっこしてた友達は、面白そうにニマニマしてただけで弁明助けてくれないし……。

 いやほんと、わざとじゃないって!


 ……っとと、話がずれたけど。

 そうして始まった姫様と会えない苦行期間一カ月……。

 その間、何度家を飛び出して姫様に会いに行きたいと思ったか、発狂しそうになったか……。

 家を抜け出して姫様の元へ行こうと画策した私が失敗して家の者、あるいは王宮の騎士様に捕まるという夢を、何度繰り返し見たことか……。

 その夢を見た日(ほぼ毎日だが)は、寝汗ダラダラだし、飛び起きるし、心臓は本当にバクバクと嫌な音を立ててるしで最悪な目覚めだったのは知っておいてほしい。

 本当に、辛かった……。

 そんな最悪な目覚めを繰り返す日々の中、私は必死でインシデントレポートを書きあげた。

 一ヶ月後出勤して、即座に姫様の元へ向かいたい気持ちを必死で抑えて向かった侍女長の部屋で、全く訂正の必要が無いインシデントレポートが書けていた事に侍女長が驚いたのは、ノクバース様のお陰だろう。

 だって、何故か謹慎中の私の元にノクバース様がしょっちゅう現れては、書きあげられた私のインシデントレポートを片っぱしから読み込んで、赤ペン先生の様に赤いインクでおかしい個所を指摘してくるんだもん……。

 何度も何度も書き直させられて……ノクバース様、見た目に反してのかなりのスパルタ先生だった。

 まあ、そのおかげで姫様に思ったより早く会えた(読まれるだけで訂正されないからね……。)のだけど……。

 この件に関しては、ノクバース様に本当に感謝感謝でした。


 ってか、今更かもしれないけど、ノクバース様って、いつ仕事してるんだ?

 ……ま、まぁ、この事に関してはもう少し仲良くなってから聞いてみる事にしよう。


 そんなこんなで、何とか私は侍女業に復帰できたのでした。


 結局、それからの私は侍女業をする傍ら、ノクバース様の婚約者もするようになった。

 といっても、何かするわけじゃなくて、未だにいつも通り姫様の侍女をしているだけであるが。


 ああ、そうだ。

 ノクバース様からのあの無礼千万な私の言動についての御咎めについて、彼に会ったときに相談しているのだが……。

 此方はのらりくらりとかわされたりはぐらかされたりして、未だに罪を償う事が出来ないでいる。

 いつになったら償えるのか、どんな贖罪が言い渡されるのか……その時が来るのが怖い。


 ……うん。

 私の精神の安定のためにも、考えるのは止そう。


 それから、婚約者云々については実家の方に、いつの間にかこの話が伝わってて、謹慎後におめでとうと言われた。

 おめで、たいのか?

 ……よくわからないが。

 まあ、家族がとても大喜びをしているから、水を差さないように見守る事にした。


 さらに、あれ以来、何故かノクバース様とお話しする機会も増えた。

 自宅謹慎中はあまり話さなかったのに……。

 もしかして、いちおう彼なりに謹慎中という事でけじめのつもり?だったのか?

 ……ん~……よくわからないけど。

 まあ、その事はいずれ聞ける機会が出来た時にでも聞いてみよう。

 それより今の話だ。


 ノクバース様がどうやって知り得ているのか知らないが、私が休みの日や休憩の時に限って現れ話しかけられ連行されるので、否応なしに話をする羽目になっているのだ。

 しかも彼が現れるのは、休憩始まってすぐ――侍女友と今から一緒に何かする(昼食とかお茶とかetc…)約束を決める前だとか、休みの日の午前中――一通りの家事などの用が済んで一息吐いていたり、出かけようと支度をしようとする前とかに。

いや、全部が全部、姿を見せるわけじゃないけど。

 たまに、事前に約束をしていたりだとか、約束を取り付ける手紙が来たりだとかする日もある。


 ……いや、別に良いんだけどね。

 ただね、ちょいと居た堪れないわけですよ。

 最近では、私の休む時間はノクバース様のもの的な暗黙の了解みたいなものが出来てて、私と何かしらの約束をしようとする人が一切居なくなってて……断られる率もかなり高い。

 あれ?なんかボッチ?みたいな感じがする……。

 でもまぁ、この世界では仕事等大事な用を抜きにして、何より婚約者を優先するのが当たり前的な考えがあるのかもしれない……あるのかなぁ?

 そこんところは、他の婚約している方達がどうしているのかとかいった情報を、誰に聞いても何故か得られず私は知らないので、普通がどうなのかよくわからない。

 けれども私自身、別段嫌ではないので、この状況を甘んじて受け入れている。

 だって、ノクバース様と一緒に居るの、意外と楽しいんだもん。

 何だかんだと気を使ってくれるし、優しいし、顔は好みのイケメンだし……フフッ。

 まあ、うん……。

 少し恥ずかしいけど、愛されてる気がしないでもない気もしないでもない……って、自分で言っててどっちかよく分からなくなっちゃった。

 でも……やっぱり私は十分幸せだと思う。

 優しい両親、恵まれた職場環境、幸せにしてくれる私好みの婚約者……って、あれ?

 これ、私、ものすっごく幸せになり過ぎてね?

 嫌だ……私、一生分の幸せを使い果たしたんじゃないかしら?

 何かこれから、不幸事ばかり起こってくるんじゃないだろうか?

 ……もしかしたら、ノクバース様に恋慕の情を抱いている御令嬢に背後から刺される、とか?

 有り得そうで、怖い……。


 よし!

 護身術をもっとしっかりと学ぼう。

 ある程度は、姫様がいざという事になった時用にと学んでいたが、それ以上に必要な気がするから……。

 短剣だけでなく、普通の剣術でも学ぼうか?

 防御面だけでなく、攻撃面もしっかりしていこう!

 新たなる目標が出来た。



 とにかく、私はこの世界にしっかり根をおろして生きて行けてる……と思っている。

 今はもう少しこの幸せを噛み締めていたいから、向こうの世界の事を考えるのは、もう少し後回しでもいいよね?


 その事を前世の両親に謝罪しながら、私は今日も侍女として生きている――。



此処まで読んでくださり、ありがとうございました。

なんとか、収拾のつく所まで書けました。

後は、ロイド視点をサクサクっと書いていきます……と言いたいところなのですが、まだ書けてませんのですぐにアップは難しい所です。

そして、これからは不定期になります。

書け次第アップしていこうと思いますので、気になる方はまたしばらくお待ちください。


ねむるの好きなように書いた話なので、読み辛い面も多々あったとは思いますが、此処までお読みくださり、ありがとうございました。

感想までくださった方々、本当にありがとうございました。

これからもねむるはその感想を励みに頑張っていこうと思います。

お付き合いくださった皆々様方、本当にありがとうございました。


敬具


2013/10/28  ねむる

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