魔王倒したらなんか地球とか言う星にトリップしたんだが
どうもはじめまして、私の名前はフリードリヒ=シュタイナー。あだ名はフリードです。誰も呼んでくれませんが。
出身はドイ国のナカ村です。あ、今それなんてど田舎?って思ったでしょ?
ええ、ええ。その気持ちわかります。私自身も出身地を名乗るときは何だか妙に恥ずかしくなりますもの。しかし男にはやらなきゃいけない時というものがありまして、その都度恥ずかしい思いを…………コホン。
話がそれましたね、まるでブリギョッチとの戦闘する時の剣ぐらいそれましたね。え?わからない?
まさかブリギョッチを見たことがないなんて……フフ、では不詳この私が説明しましょうか。ブリギョッチとは体長30センチ。二等身の体を持ち、ぶりッとお尻が……え?聞いてない?
仕方ないですね。では改めまして自己紹介を。実は私、僭越ながら勇者をしていましてね。元々はただの村人だったんですけどある日突然、神様から神託とかいうはた迷惑なもんを授かりまして。そこからあれよあれよというまに荘厳なお城へ。国王陛下との謁見の間に無理矢理つれて行かれまして「お前勇者、ちゅーわけで魔王殺ってきて」(注、フリードの脳内で要約した結果)との鶴の一声で魔王討伐の旅に出されたんです。しかも一人で。
あ、思い出したらイラッとしてきた。五寸釘藁人形に打ち込まなきゃ☆
だいたい普通勇者って四人ぐらいでパーティー組みながら戦うんじゃね、何故に一人?とか思いながらも旅に渋々出発。というかこれ酷くないですか?
魔王倒してこいとか軽く言いますけど、それ実際は魔王配下の並みいる魔物約数万もついてきてますからね。だいたいあいつら幹部の数が多いんですよ、三元帥と四天王に六大公爵、五将軍に72柱etc. etc …………ってどれだけいるんですか!
あ、思い出したらイラッとしてきた。ブードゥーの秘術で呪わなきゃ☆
とまぁそんな鬼ばかりな渡る世間も乗り越えてさあ魔王城。雷鳴轟く暗鈍とした魔王城は気味が悪く、まるで来るものすべてを拒むようでした。勿論そこに至るまでの戦闘で経験値が限界を振り切っていた私はアッサリと魔王を倒したのです。まあ実際に会ったらただの引きこもりでしたからね。
と、ここで問題が発生。
魔王が死の間際にハスキーボイスで「フハハハハ、余を倒したところで第二第三の魔王が……アベシッ!」とかいって自爆しました。
その時、腐っても魔王というべきか。高密度の魔力が大量に一点に集められた結果、時空の歪みが発生し、僅かにですが時空間に隙間が開きました。爆発の勢いでそこに弾き飛ばされた私は気づいたら別の所に。
そして現在。
「ここはどこだろう?」
辺りを見渡してみると荒れ果てた荒野に崩れた煉瓦の家が立ち並ぶ景色。一陣の風が爽やかに通り抜け髪をなびかせる。しかしそれと同時に異臭が臭った。鉄くさい臭いと焦げくさい臭い。言うなれば死の臭い。だいたいの予測はつきます。恐らくここは異世界。
しかしここは何でしょうか?
先ほどから甲高いパラララという音と爆発音。人の叫び声が聞こえます。爆発音と叫び声はわかります。しかし甲高い音は?
少しの好奇心と探求心が働いた結果、私の足は自然と歩き出していました。
音源の場所へ行くと、そこでは沢山の人が走り回っていました。手には何だか良くわからない黒くて細長い物を持った人たちが何やら走り回っています。
それを前に構えると沢山の玉が飛び出しているのが見えますね。何発か先程からこちらにも飛んでますし。ヒョイヒョイと避けていると私にそれを向けていた人がポカンとした表情になりました。
何を驚いてるのやら。ブリギョッチが大群で押し寄せるのに比べたらこんなの……え?どうでもいい?
にしても何だか体が軽いですね。まるで羽のようだ。今なら飛べる気がする。
「何ですかいきなり! 言っておきますがそんなオモチャじゃ私にかすり傷一つ与えられませんよ!」
言ってやった。とばかりにどや顔で相手の表情をうかがうと何やらワナワナと震えています。そして。
「変態だー!」
と叫びました。
「変態?」
失敬な、私は紳士ですよと自分の姿を見て今度は私が絶句しました。
何故に裸…………?
そう、私の体は一糸纏わぬ裸体をさらしていたのです。ついでに言うとぞうさんも。
「怪しいやつめ! 裸のくせして変な動きをしやがる!」
「失礼な、変態なんかじゃありません。ただ窮屈な服という殻を破り自己を解放した迷子になってる紳士ですよ!」
「それを世間では変態って言うんだよ!」
「な、じゃあわたしは一体何者!?」
「だから変態だつってんだろが!!」
結論、私は変態だったらしいです。
拝啓田舎の母上、フリードは変態に就職しました。
何だか清々しくも感じる、ああそうか、これが…………
「新境地開拓ッ!!」
一瞬で男の後ろに回り込むと手刀を一閃。男の意識を刈り取った。そしてブラブラと揺れる股間。
「失礼ですが服をお借りしますよ」
男の服を剥ぎ取り着替える。灰色っぽい服は周囲の景色に溶け込む仕様のようだ。勿論パンツもお借りしてます。
「さようなら変態2号……君の事は忘れないよ」
あとには剥き身のエビが如くすっぽんぽんに剥かれた兵士が一人。
その後、地球上のあちこちにある戦場で、戦場に変態紳士と名乗る怪人が現れるという噂が流れたとか流れてないとか。
完
どうもMr.タニシです。
人気がありましたら続編書きましょうか……
一応プロットは考えてあるので大丈夫なんですが。ぶっちゃけめんどくせーってのが本音です(笑)
しかも実はこれはSF なんですよ。プロットでは。(|| ゜Д゜)
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