部活
そこにいたのは葉山要。
私の小学校の頃の同級生。
仲はそこそこよかっただろう。
だが、6年のときに喋った記憶はない。
「アイツね…」
あまり目立つ人ではなかったが結構モテていた気がする。
葉山は私には気づいていないようで楽しそうに凛華と話している。
「今度久々に話そうかな…」
━━キーンコーン
予鈴が鳴って、生徒が席に着く。
いつの間にか窓は開けられていて、風が頬を撫でた。
「恋なんてしたことないな…」
凛華の幸せそうな笑顔を思い出す。
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今日の最後の授業とHRが終わり、私は部活着に着替える。
「愁!!行こう~」
廊下から同じ部活の友人が手を振っていた。
「今行く!!」
「了ー解♪」
彼女の名前は橘美咲。
私と同じ陸上部に所属している。
「今日は何する?」
「え?美咲決めてなかったの?」
そして美咲は部長だ。ちなみに私は副部長。
「忘れてた…」
「じゃあ長距離走ろうよ!」
「あ、いいねぇ♪」
私の学校は陸上の強豪校。
そのため陸上専用のグラウンドがある。
そこには男女50を超える部員が集まっていた。
「はい、じゃあよろしくお願いします!!」
「「「よろしくお願いします!!」」」
それぞれに準備体操やストレッチをする。
「まずは30分間走をします。先頭を愁が走るからそれについていってね。」
「じゃあ、本気でいきます」
顎のラインで揃えられた髪の毛を1つに結わき走り出す。
結びきれなかった前髪が風に流され後ろにいく。
最初はみんな余裕で後ろからは楽しそうな話声が聞こえていたが20分も経ってしまうと苦しそうな息遣いしか聞こえなくなる。
後ろを向いてみると結構距離があった。
「やっぱ厳しかったかな…?」
今だ軽快に走っている私と正反対のみんな。
「まぁ…いっか」
30分経って集合するとみんなへとへとになっていた。
「はい、お疲れ~水分補給してね!」
「愁…なんでそんな元気なの…」
今にも死んでしまいそうな美咲。
「長距離ランナーだから?」
私のあいまいな返答に、部員からはブーイングが来てしまった。
その後各々に軽い練習を済ませる。
「時間だね」
「うん。はい、じゃあ今日はお疲れ様!!ありがとうございました」
「「「ありがとうございました!!」」」
あんなに青かった空は真っ赤に染まっている。
「明日も頑張ろう」
1人呟き、教室に戻るのだった。