はじまり
窓越しに見える空は青く澄んでいた。
一羽の鳥が空に羽ばたく。
鳥は自由に空を舞い、そして飛び去って行った。
「自由になりたい」
教室には先生と生徒の笑い声が響いている。
うるさいほどの笑い声に私の呟きはいとも容易くかき消されてしまう。
「じゃあ教科書の24ページ開いて!!」
黒板の前に立つ社会科の講師、橋本健二は教室をぐるりと見渡した。
「はい、じゃあ…」
先生の気分で指名された生徒が教科書を音読する。
「よし、ありがとう」
教室にはチョークが字を書いていく音しか聞こえなくなった。
自由になりたい、今度は心の中で呟いた。
休み時間になると教室は騒がしくなる。
「ねぇ、愁聞いて!!」
私の前にも1人の少女が立っていた。
「どうしたの?」
クラスで一番仲のよい女子、深山凛華は笑顔で私を見つめた。
「あたしね、好きな子ができたの!」
「また?」
中学生にでもなれば恋の1つや2つ構わないが、凛華に限っていえば多すぎるだろう。
「またとか言わないでよ。今度は本気」
「それ、毎回言ってるから」
「え!?そうだっけ…?」
首を傾げる凛華に溜息をついた。
「てか、愁は好きな人できないの?」
「う~ん…できないね」
「もったいないなぁ。愁、可愛いのに!!」
凛華がいうには私はカッコよく綺麗なんだそうだ。
私には理解できないけど。
「で、その好きな子がどうかした?」
「え?そうだ!!その子愁と同じ中学出身なんだけど知ってる?名前は…」
名前を言おうとした凛華の言葉を遮り、誰かが凛華を苗字で呼んだ。
「あ!!ちょっと行ってくるね!」
頬を赤らめているところを見ると今名前を呼んだ人が凛華の好きな人だろう。
凛華が駆け寄った先にいたのは…
今回この作品を読んでいただきありがとうございます。
この作品を書いているのは本物の中学3年生です。
そのため更新も遅くなってしまうと思いますが、精一杯書いていこうと思っているので今後もよろしくお願いします。