第98話
「分かりました、しっかりお捕まり下さい」
シュンッ、一瞬で加速する、
「ヒィッ! 」
マルガが小さく悲鳴を上げる、暗いトンネルを凄まじいスピードで走る?
直ぐにポニーの後ろ姿が見える、シフォンとノランが鎧を使ってしがみついている、ポニーが気付いた、
グァー!
クーマが追い抜きざまに声を掛ける、
「先に行くぞ」
シフォンとノランも気づいた、
「クーマ様? 」
直ぐにケーラの後ろに追いつく、背中では、アルベルが仰け反ったまま、まだ絶叫している、
「御主人様、行きます」
ハクジャが加速する、
「ヒィィ〜! 」マルガの悲鳴、
追い抜きざまケーラに声を掛ける、
「早く来いよ」
そのまま追い抜き加速する、
「御主人様・速い・飛ばす」
アルベルトの目が涙目になる、そして、・・・
絶叫!
屋敷跡
ミーニャの指揮で周辺の残骸の片付けが行われている、所々でグリフォンが手伝っている、
残党達はグリフォンが全て追い出した・・・空から、
ジェルダは屋敷跡に集まった他の近衛と合流、情報の共有を行っている
ジェルダの報告、
「ノラン様が攫われ、アルベル様が後を追いました、クーマ様とポニーも後を追われました、女王の合流も確認しています」
アルマの報告、
「マルガ様もハクジャ殿と共に行かれました、多分クーマ様と合流されるかと」
「では、ノラン様は無事ですね、そのメンバーが行って片付かない事なんて無いでしょう」
「そうね」
少し皆の緊張が解ける、
「しかし、何があるかわかりません、トンネルと地上に分け部隊を追わせましょう」
「ええ」
マーリーが、
「私とアニーで、指揮を取ります」
「わかりました、お願いします」
「街は? 」
コニーの報告、
「ケンさんの話では、事前にクーマ様からギルドに避難するように指示を受けていたようです、おかげで人族の被害はけが人程度です、それも治療済みです、それと、クーマ様が事前に与えて下さった素材が皆を守ってくれたようです」
「東門の敵は殲滅、生き残りは追放、街はアクスの指示で瓦礫の撤去、負傷者の確認と救出を行っています、内外共にフェンリル、ポーキュパインが警戒及び復旧に協力してくれています」
「西門は、アグネスを中心に瓦礫の撤去が行われています、敵は掃討済み、生き残りは防壁外へ追放、防壁外はハクジャ殿が連れてきたレプタイルが警戒中、防壁上からは弓隊が警戒中です」
「そうですか、こちらは何とかなりましたね」
「多分ね」
「屋敷なくなっちゃったわね」
「そうね」
皆の所にミーニャがやって来る、
「皆、無事ね」
「ミーニャさんもご無事で」
「ええ、大変だったわ、特にバカ弟子が」
「師匠ぉ〜、頑張ったじゃないですか」
「そうね」
そう言ってジェルダの頭を撫でる、
「師匠、子供扱いしないでください」
でも顔は満更でもなさそうだ、
「そうね少し大きくなったわね」
「そうよ、一瞬わからなかった、どうしたの? 」
「私にもよくわかりません、クーマ様、絡みとしか」
「あぁ〜、クーマ様、絡みかぁ〜」
皆が納得する、
「でも酷い有様ですね、特に穴の辺りは、何か大きな化け物が暴れたみたい」
コニーが呟く、
「えっ」
ミーニャがジェルダを見る、
「えっ」
「ジェルダ、ちゃんと説明しましたか? 」
「はい、ノラン様が攫われクーマ様たちが追っていると」
「で、現れたマルケラについては? 」
「いえ、何も」
「あのね、もう少し詳しく説明しなさい」
「ちょっと、マルケラがいたの? 」
「ポニーが撃退しました、魔法は効かず強敵でしたが、ポニーが圧勝しました」
「圧勝・・・圧勝って・・・ポニーって強かったんだ」
「そうですね、強いとは思っていましたがあそこまでとは思いませんでした」
「それで? 」
「その後、マルケラが呪により隷属させられていたことが分かり、クーマ様が治療、解放されました」
「それから? 」
「その後は、クーマ様がポニーを連れ防壁を越えて追跡、女王が合流しました」
「ちょっと待って」
「はい」
「今、更っと凄いことを言ったような気が、防壁を越えて、とか」
「そうね」
ミーニャが指を指す、屋敷裏、斜面の一部が防壁に向かって所々抉れている、その先の防壁も抉れている、
「何? あれは? 」
「ポニーが駆け上がり飛んでいきました」
「飛んだ? 」
「はい、そこに女王が合流しました、凄かったですよ」
皆が呆れている、
「皆、準備が出来た」
マーリーとアニーが兵を連れてやって来た、
「部隊とは行かないが実力者を集めた、皆、治療済みだ」
「後を追うのね」
「はい」
「わかりました、くれぐれも気をつけて」
「はい」
「あのメンバーであれば心配ないと思いますが」
「ええ」
その時、穴の方向から強力な力が近付いてくる、
周りの兵が身構える、
しかしミーニャと近衛は笑っている、
マーリーが言う、「解散だな」
アニーが答える、「そうね」
兵たちが困惑している、しかし一部の兵から緊張が解けていく、
穴から力の源、大きなシロヘビが飛び出して来る、その背にはクーマとマルガ、
大きなシロヘビが砂煙を上げて着地する、砂煙が晴れたそこには、クーマ、マルガ、ハクジャが立っていた、
マルガが声をかける、
「皆、場所を開けろ! 」
皆が広場を開ける、そこにポニーが飛び出す、瓦礫を弾き飛ばし土煙を上げる、
その背中には赤いドラゴンと青いドラゴン、
「まだ来る」
マルケラが穴からゆっくりと上がってくる、兵が一斉に戦闘態勢を取る、
「待ちなさい! 」
赤いドラゴンが声を上げる、
出てきたマルケラの背中にはグッタリしたアルベルがいる、
クーマが歩いて来る、マルガとハクジャが後に続く、二匹のドラゴンがクーマに駆け寄る、近衛とミーニャも駆け寄ってくる、兵達が遠巻きに近づいてくる、
「お帰りなさいませ、女王様」
ミーニャが跪く、近衛も合わせて跪く、気付いた兵達も一斉に跪く、
「皆、無事ですか? 」
「はい、誰一人死者を出すことなく」
「そう良かった」
「皆に伝えます、我等が宿敵、吸生鬼達の王、ドラーラを討伐しました、新しい時代の始まりです」
「おぉ〜〜」一斉に歓声が上がる、
「皆に伝えなさい! 」
「はい! 」
一部の兵が街に向かい走り出す、
アルベルがゆっくり近づき跪く、
「女王、終わったのですね」
「はい、皆よく護ってくれました、新しい時代、皆で作っていきましょう」
「はい! 」
「クーマ様、お帰りなさいませ」
ミーニャが見つめる、
「ただいま」
マルガが間に割ってはいる、
「駄目ですよ」
マルガのケチ、
「なっ」
「マルガの言うとおりです、ミーニャ、近づくの禁止」
「えぇ〜、女王まで、ケチィ〜」
「ミーニャ様、ケチィ〜、じゃありません」
「ノランまで〜」
ジェルダが二人の鎧を見て、
「クーマ様、私も翼が欲しい」
「へっ」
「私もお二人みたいに翼が欲しい! 」
「ハハハ、それは無理です、あれは特別です」
「クーマ様のケチ」
「ジェルダ、貴方だってクーマ様の服を貰ったでしょ」
「駄目ですよ、これは渡しません」
「ジェルダのケチ」
「なんとでも言ってください」
みんなが笑い出す、
シフォンとノランが鎧を解除する、
皆の顔が赤くなる、
「ノラン様それはちょっと」
「えっ」
「あっ、ノラン服は! 」
「あっ! 」ノランは真っ裸だった、
「キャー! 」
慌ててポニーに隠れる、ポニーが毛を伸ばしノランを包む、
皆が一斉に笑い出す、
「誰か! 服をちょうだい! 」
屋敷跡
「ケーラ、服を探してくれ」
「わかった」
ケーラが少しずつ、そっと瓦礫を撤去する、皆も一緒に瓦礫を漁る、
ケーラがのけた瓦礫の下から洋服箪笥が見つかる、
「此処に、何かある」
メイドが覗き込む、
「ノラン様服が見つかりました」
メイドが服を持って走ってくる、
「これは・・・」
見つかったのはシフォンのドレス、
「他には・・・」
「他はボロボロです」
「いいじゃない、ノランなら構いませんよ」
「シフォン・・・しかし、私には可愛すぎるかと」
「裸よりはいいでしょ」
「そうですが・・・」
「クーマ様が喜ぶかも」
「着ます」
「ポニー、動かないでね」
座り込んだポニーの影で服を着る、
シフォンが覗き込む、
「どお? あら、似合うじゃない」
「そうでしょうか? でも胸がきつくて」
「悪かったわね、慎ましやかな胸で」
「クーマ様ぁ」
「いや、ちょっと、シフォン、待って、心の準備が」
「駄目です、ポニーお披露目よ」
ガウ、
ポニーが回り込んでノランを押し出す、
クーマが振り返り近づく、
ノランがモジモジしながら聞く、
「似合いませんか? 」
「いいえ、とても可愛いですよ」
ノランが見つめ目を閉じる、
「コホン、ノラン」
はっ、我に返ったノランが皆が見ている、
真っ赤になって下を向くノラン、あちら、こちらから声が聞こえる、
「近衛長、可愛いですよ、ヒューヒュー」
「お似合いです」
皆の笑顔が心地良い、
「バカタレ! さっさと片付けなさい! 」
真っ赤に照れながらノランが叫ぶ、




