第87話
特大ワイバーンが腕を振り下ろす、
巨大な爪が結界に食い込む、ビキィッ!
結界が!
ピッキィーン、
結界が弾け飛ぶ、
「ぐはぁっ! 」ジェルダが膝をつく、
ミー、スー、アン、が駆け寄る、
「ジェルダさん! 」
巨大ワイバーンが頭上に落ちてくる、
眼の前には大きく開かれた口が迫る、
「させるかぁー! 」
ジェルダが叫ぶ、
「クーマ様ぁー! 力をぉー! 」
皆の前に巨大な結界が現れる、
巨大ワイバーンがその勢いのまま結界に激突し、弾かれ結界を滑り落ちる、
農園の丘の東屋を押し潰し動かなくなった、
「へへへ」
ジェルダが力尽き崩れ落ちる、
「ジェルダさん、ジェルダさん! 」
「ノラン様! ジェルダさんが! 」
ノランが走り寄る、
「ジェルダ! 」
意識が無い、魔力も神力もほとんど残っていない、
『まずい、このままでは』
ジェルダの上着が光、ジェルダが目を開ける、
「ノラン、この子はまだ大丈夫、クーマ様が護ってくれています」
「シャリーン」
「ええ、でも今は動けません」
「ノラン! 」
上空から声がする、
数匹のグリフォンが屋敷へ降りてくる、皆が一斉に剣を構える、
「待て! ノラン、俺だ! 」
「アルベル、マーリー、アニー、なぜグリフォンに」
「グリフォンは味方だ、ジェルダは無事か」
「ええ、今は、魔力も神力も使い果たして、気を失っています」
「手、振ってるぞ」
「今はシャリーンが目覚めています」
「そうか、シャリーン、ジェルダの具合は? 」
「クーマ様が護ってくださっています、しかし、魔力も神力も使い過ぎて体が限界を越えています、危険な状態です、このままでは回復魔法も気かない」
「どうすれば良い? 」
「取り敢えず中へ、何処かに寝かせて、回復魔法をかけ続けるしか無い」
「分かった」
「アルベル様、ノラン様、ジェルダさんをお願いします、ここは私たちが護ります」
「任せる」
アルベルがグッタリしたジェルダを抱き上げる、
ノランが回復魔法をかけ続けている、
屋敷のエントランス、
「ノランどこへ? 」
「こっちへ」食堂にジェルダを運ぶ、
ミーニャが駆け寄る、
「アルベル、ジェルダに何が? 」
「魔力と神力の使いすぎだ、このままでは危険だ」
「私も手伝います」
テーブルの上の食事の用意を払い落とし、ジェルダを寝かせる、
「ミーニャ、また会えたわね」
「シャリーン! 」
「ええ、今はクーマ様とシャリーンの力で護られてる、しかし、魔力も神力も殆ど残っていない、
治療はしましたが」
『魔力も神力も消えそう・・・』
ミーニャが手をかざす、決意が見える、
シャリーンが止める、
「ミーニャそれはまだ駄目」
「しかし、もう猶予が・・・」
「大丈夫あなたの弟子を信じて」
「シャリーンどう言う事だ」
「クーマ様が護っている、クーマ様はこの子を見捨てない、大丈夫、私もついてる」
「でも魔力も神力も・・・」
「ノラン、杖を、ここに」
シャリーンが杖を抱き握りしめる、
ジェルダの体から魔力と神力が消えた、
「嘘、ジェルダ、シャリーン」
ノランが叫ぶ、「クーマ様ぁー! 」
ノランの指輪と胸飾りが青く光る、その光がジェルダを包む、
クーマの上着が形を変えジェルダと杖を包み込む、まるで蛹になる様に、
ノランの青い光が蛹に吸い込まれ消えていく、
「どうなった!? 」アルベルが問いかける、
「ノランこれは? 」ミーニャが問いかける、
「わからない、でも力が」
『これは? ジェルダの魔力? 神力? 』が上がり始める、
『この力は何? 覚えがある、これはクーマ様と同じ力? 』
ミーニャが両手をかざし蛹を見る、
「ジェルダは大丈夫、ハッキリと心音が聞こえる、まるで眠っているよう」
「今はまだ小さいけれど、力が膨らんできている、大丈夫、後は目覚めるだけ」
「そうか、で、これは何だ? 」
「分かるわけがありません、ただ、クーマ様の力を感じる、今は信じて待つだけ」
「分かった、後は二人に任せる、頼んだぞ」
「分かった、アルベル、気をつけて」
「ああ」
屋敷前
陽の光に照らされた広場には戦う仲間と無数のワイバーンが見える、
皆が戦っている、
ギュシャァァー、
振動が近づく地面が揺れる、
ギュシャァァー、
強烈な生臭い匂いとおぞましい気配、
結界に激突し弾かれた際に傷を負ったのか、
片目が潰れ血が滴る悍ましい顔が近づく、
白濁した目に炎が揺れる、その目が皆を見る、
裂け目から白い歯が見える、少しずつ大きくなる裂け目、歯であったものは巨大な牙、裂け目は大きな口になり、首が後ろに引かれる、
アルベルが走る、
ミー、スー、アンが皆の前に立つ、
「止めて見せる! 」
三人が結界を張る、
巨大な牙が迫る、
ギィシィィー、
ピキッ、ピッキィーン、
「結界が! 」
ドガァン!
大きな音が前を通り過ぎる、
「えっ! 」
眼の前に悍ましい顔も牙もない、
音の過ぎ去った方向から、声が聞こえる、
「ミー、スー、アン、良くやった! 」
「アルベル様! ジェルダさんは! 」
「無事だ、ノランとミーニャが見ている」
「「「良かった」」」三人が胸を撫で下ろす、
「油断するな! こいつには効いていない」
「えっ、でもすごい音が」
「こいつはおかしい、痛覚がない、クソッ! 」
「「アルベル! 」」
マーリーとアニーが戻って来る、
「グリフォンは? 」
「現在は上空で援護をしてくれています」
「そうか、ありがたい」
「こいつどうしますか」
「やるしか無いだろ」
「アルベル! 伏せろぉー! 」
上空から声が聞こえる、
「クーマ様! 」
見上げた空から青白い光が一直線に落ちてくる、
「やばい! 全員退避ぃー! 」
皆が離れた瞬間辺りを激震が襲う、土煙が巻き上がり、巨大ワイバーンの頭が地面にめりこむ、
ドゴォン! ドゴォン!
ピシャァー! ヴァリヴァリィィー!
土煙の中から岩を砕くような音と落雷が響く、
絶え間なく続く音と地響き、
土煙が晴れた先には、巨大ワイバーンを殴り倒した、クーマと雷鎚を放つソアー・フェンリルがいた、
「ハハハ、あのワイバーンを殴り倒すとは、それにあの雷鎚、さっきとは比べようも無いぐらい強い」
ワイバーンが次から次へと落ちてくる、
「みんな気をつけろ! 生きているものにはとどめを! 」
クーマが特大ワイバーンに手をかざす、
『何を? 』
いきなり炎に包まれる特大のワイバーン、全身が焼け焦げ断末魔の叫びをあげる、
キシャァァァ〜〜、
長く掠れ消えていく特大ワイバーンの断末魔の叫びが辺りに響く、
『終わったな』
特大ワイバーンをクーマが見つめている、何かを考えるように、
『まだ何か? 』
キャー! 悲鳴が聞こえる、
「しまった! 」アルベルが走り出す、
落ちたワイバーンが、ミー、スー、アンに襲いかかる、
「くっ! 」
アルベルが地面を蹴る、その前を2つの影が追い抜く、
「マーリー、アニー! 」
二人がミースーアンの横を通り過ぎ、ワイバーンの横を通り過ぎる、ワイバーンの首が落ち崩れ落ちる、
落ちていた他のワイバーンが動き出す、
アルベルがそのまま突っ込んでいく、後を追うマーリー、アニー、
三人の通り過ぎた後に血煙が舞う、
「油断するな! 慎重にとどめを! 」
兵士と魔法士たちがワイバーンにとどめを刺していく、




