第84話
街から屋敷に向かう道、
土煙が走る、疾走するポニー、背中にはノラン、
「ポニー、急いで! 」
ポニーの毛がノランを掴み固定する、
グァウ、
直ぐに屋敷の門が見える、
「ポニーそのまま中へ! 」
ポニーが門を抜ける、魔法士たちがワイバーンを迎撃している、
ポニーが土煙を上げて停止する、ノランが飛び降りる、
メイド衣装のままの魔法士が駆け寄る、
「ノラン様! 」
「報告を! 」
「はい」
「現在、負傷者は無し、全戦力で応戦中、小型のワイバーンは迎撃可能、大型種には数名で対応、迎撃は可能、ただ数が多すぎます、結界頼みの状態です」
「分かった、ミーニャは」
「中で魔力補給の為、待機して頂いています」
「そう、分かった」
「皆、落ち着いて対処を、長期戦に備えて、魔力の無駄遣いはしないように、魔力切れを起こす前に回復を」
「はい! 」
「ポニー、協力をお願い」
グァウ!
ポニーの力が上がる、全身が光り角が現れる、
グゥワァゥ!
咆哮がワイバーンを襲う、ワイバーンがバランスを失い仰け反る、すぐに立て直し炎を吐き結界に弾かれる、
グァ!
思った結果にならなかったのか、ポニーが、驚いている、
クッアァァァ!
ポニーの二撃目がワイバーンの胴を抉る、奇声を上げ落ちるワイバーン、
グァウ!
今度は思ったとうりだったらしい、
ノランには、ポニーが小さくガッツポーズを取ったように見えた、
『可愛い』
ポニーは同じ攻撃を連続で放つ、
次々とワイバーンが落ちてくる、直ぐに結界が血に染まる、結界の浄化能力で血が消えていく、
ポニーが参戦したことで魔法士達にも少し余裕ができた、
「この間に交代で回復を! 」
『やっぱりポニーは頼りになる』
ノランの顔に笑みが浮かぶ、
しかし、数が多い、一体何処からこんなに、
辺りが真っ赤に染まる、
「えっ! 」
ワイバーンたちが距離を取り始めた、
直接攻撃をせず火球による攻撃に変わった、
距離を取られたことで、こちらからの攻撃の威力が落ちる、
『おかしい、ワイバーンが戦略を変えた、ワイバーンにそんな知恵は無いはず、誰かが操っている? 』
街から屋敷に向かう道、
ノラン達が通り過ぎた後、
屋敷に向かう、ジェルダが居る、
絶え間なく襲う火球に結界が揺らぐ、
その都度にジェルダが顔を顰める、
『結界は破らせない、後でクーマ様に褒めてもらうんだ』
空が真っ赤に染まる、先ほどとは比べ物にならないほどの火球が結界を襲う、
ピキッ! ピシッ、ピシピシッ、
上空から嫌な音が聞こえる、
『結界が破られる! 』
ジェルダがよろめき鼻から血が垂れる、
ぐふぅっ! 血が顎をつたう、
「私は、クーマ様に、褒めてもらうんだぁー! 」
クーマに貰った上着が光り形を変える、身体に力が湧き上がる、
「クーマ様、行きます! 」
杖に力を込める、光が満ち杖の二匹の竜が目覚める、翼を大きく開き光を増す、
ジェルダが杖を掲げる、光が広がり結界に光が宿る、
結界が強化され力を取り戻す、
又、空が真っ赤に染まる、二度目の火球が襲う
ピシッ! ピシッ!
ジェルダが空に向かい叫ぶ、
「くっそぉー! 負けるかぁー! 」
よろめくジェルダを誰かが支える、
ミー、スー、アンがジェルダを支えている、
「あなた達・・・」
「ジェルダさん駄目ですよ、一人じゃ無いんだから」
「ええ、そうね、あなた達の力を貸して」
「勿論、私達も一緒にクーマ様に褒めてもらいます」
「ええ、一緒に」
「いきます! 」
「はい! 」
三人の力がジェルダに注がれる、
杖に力を集める、二匹の竜の口から光が伸びるそれは絡まり大きくなって光の玉になる、
「いっけぇー! 」
光の玉が弾けるように周りに広がる、
クーマの設置した宝珠が反応する、
結界が修復され強化される、
三度目の火球が襲う、火球は結界で弾け霧散する、
「ざまー見ろぉ、決して破らせない」
ワイバーンが執拗に炎を吐く、結界は揺るぎ無く炎を霧散させる、
そこへ地上から、炎と氷の矢が打ち込まれる、見れば屋敷からの魔法攻撃、指揮を取るのはノラン、
ジェルダ達が屋敷へ移動する、
「ジェルダ、大丈夫!? 」
「はい、全く問題ないです、と言いたいのですが、ミー、スー、アンの力を借りてギリギリです、今はクーマ様が設置した宝珠の力もお借りしています」
「そう、あの宝珠が」
「はい」
「では頑張りなさい、クーマ様はきっと褒めてくれるわ」
「はい」
魔法攻撃は効いている、攻撃を受けたワイバーンが炎に焼かれ、氷漬けになり、結界の上に落ちる、結界はワイバーンの血に染まり、赤い光となって夕日と混じり地上を照らす、
『結界の浄化が間に合っていない、正直きつい、褒めてもらうだけじゃ足りない』
「エヘヘへッ」
「ジェルダさん、涎」
「えっ」
「何を考えてるんですか」
「アハハハ、ちょっと妄想が」
「バカですね」
「うるさい! 」
「けど、正直かなりきつい、貴方たちは大丈夫? 」
「まだ行けます」
「頑張りましょう」
「はい」
気づけば既に日は落ち月明かりが辺りを照らす、
『長くなりそうね、でも結界は破らせない』
ジェルダが自分に言い聞かせる、
ワイバーンの攻撃は続く、
四人が張った結界は宝珠の力も借り、揺るぎ無く街を守る、
街の至る所で防衛戦が行われている、弓隊の攻撃、魔法士達の攻撃が続く、
しかしこのまま長引けば、戦況が変わる、魔法士の力も弓隊の矢も無限ではない、ましてや膨大な力を制御すジェルダの負担は大きい、ミー、スー、アンの顔を汗が滑り落ちる、
「ミー、スー、アン」
「交代でミーニャ師匠の元へ行って魔力回復を」
「でも」
「大丈夫、それぐらい私が抑える」
「わかり・・・」
辺りが大きな影に覆われる、
「嘘・・・」
巨大な影が結界に取り付く、今までに無い特大ワイバーンが巨大な爪で結界を襲う、
「何、この大きさは・・・」
ギィー、ガキンッ、ガギィー、
巨大な爪が強力な力で結界を襲う、
一撃ごとにジェルダが顔をしかめる、
そこに追い討ちの火球が襲う、
「ぐふっ! 」
ジェルダの顎から血が滴り落ち、ふらつく、
「ジェルダ! 」
ノランが叫ぶ、
「ジェルダさん! ミー、スー、アン、が支える」
ジェルダが一歩踏み出す、
「まだまだぁー! 」
叫びと共に杖を高々とかざす、
宝珠から伸びた光が宝珠を繋ぐ、結界が強く光りワイバーンを弾く、
結界内には光が満ち降り注ぐ、皆が一瞬我を忘れてその光景に見入る、
自分の体に光がまとわりつき、力が湧き上がる、
『まだ、いける』「護って見せる! 」
宝珠の光でワイバーンの攻撃が止まった、
『今ならいける! 』
「ミー、スー、アン! 」
はい! 三人が力を振り絞る、
ジェルダが杖を掲げる、ジェルダの力が一気に上がる、シャリーンの姿がダブって見える、
「光よ、行けぇー! 」
杖から幾重もの光が上空にいたワイバーンを貫く、
ギュシャァァー、ワイバーンが悲鳴をあげる、
結界に落ち結界が赤く染まる、月明かりが真っ赤に染まる、
ギュアァァー、響き渡る雄叫び、
「どうだ! 破らせるものか! 」
ノランの指示が飛ぶ、
「総員ジェルダに続けぇ! 我等は護る者! 決して退かない! 」
皆の身体が光りに包まれる、
魔法士の攻撃と矢が一斉に放たれる、
今までに無い強い力が、群がるワイバーンを撃ち落としていく、
ワイバーン達の絶叫が響き渡る、
ガン! ガギィーン! 巨大なものが結界に落ちてきた、
ぐしゃ! 水分を含んだ嫌な音が響く、
結界に取り付いていたワイバーンが押しつぶされる、
血が飛び散り結界を真っ赤に染める、
ギャリーン、ギャギィー、ガギィー、
それを切り裂くように、
金属を掻きむしるような嫌な響き、
キシィー、ピシッ、ピシッ、
結界が軋む、
『クソッ! このままではもたない』
ノランが駆け寄る、
「ジェルダ、まだよ! 」
ノランの指輪が光を放つ青い優しい光が四人を包む、
「ノラン様! 」
ジェルダに重なるシャリーンの姿が頷く、
「いきます! 光よ、行けぇー! 」
二度目の光の矢が特大ワイバーンの顎を直撃する、絶叫し崩れる特大ワイバーン、
「ジェルダ、やったわね」
「有難うございます」
ノランが周りに目をやる、あちらこちらで戦闘は続いている、
『結界は大丈夫そうね、兵士も魔法士も士気は高い、ならば後は殲滅するのみ』
「ジェルダ後は任せるわ」
「はい! 」
ノランがその場を離れようとした、その時、悪寒が走る、
ギリギリギリ、ギィー、
嫌な音が響く、
ノランが振り返る、特大ワイバーンの濁った目と合う、ギィシャァー、




