第82話
クーマが出かけた東門
「さぁ、戻りましょうか、」
「はい」
「マルガ片付けはどうですか? 」
「はい、兵舎の方は昼頃には片付くかと思われます、人族は今日中ですかね」と周りを見る、
「そうね」
四人と一匹は街中を観ながら、歩いていく、
「皆はどうですか」
「はいっ、え〜、非常に元気です」
顔が赤い・・・
『しまった! 』
昨日の事を思い出し、真っ赤になるシフォンとノラン、
アクスは、聞こえなかったふりをしている、
ポニーは、キョトン顔、
三人は笑って誤魔化す、
「皆様も、また力が上がったようですね」
少し引きつった顔でマルガが笑う、
二人はまた笑って誤魔化す、
「どこまで上がるのか」ボソッと呟く、
「そうね」シフォンが頷く、
「すみません」マルガが謝る、
「構わないわ、気にしないで、力が上がるのは良いことよ、そう、良いこと」
三人は自分たちを納得させている、
「クーマ様、早く帰ってくればいいのに」
「今出たばかりですよ」
「わかっています」
気付けば西門が見える、
「少し休みましょうか」
「そうですね」
門前のカフェテラスはまだ準備中になっている、
「まだ準備中なのね」
「どうされますか? 」
ミーが慌ててやって来る、
「お早うございます」
「おはよう、準備中みたいだけど大丈夫」
「はい、すぐにご用意できます」
四人は席に着きポニーは横で丸くなる、
「ジェルダは? 」
「はい、ジェルダさんは片付けは嫌だと奥で頑張ってます」
「困った子ね、でもよかったわ、ケーキはある? 」
「はい、早朝から仕込みました、ジェルダさんが・・・」
「ホントに手伝わない気ね」
「アハハ」
「じゃぁ、みんなの分をお願い」
「飲み物はコーヒーで、よろしいですか? 」
「ええ」
「女王様、すみません、私はそろそろ詰所に戻ります」
「そうか、それなら私も」
「いえ、マルガ様はこちらで、あとの指示は私でも出来ますので」
「そうか」
「はい、では皆様失礼いたします」
「頼んだ」
「ミー、三人分でお願い」
「畏まりました」
「あと、ポニーに何かある? 」
「わかりました、何か用意致します」
「お願いね」
「それとジェルダ、そこに居るのは分かっています出て来なさい」
「アハハ、バレてましたか」
「バレバレです、あなたは何をやってるんですか」
「アハハ」
「アハハじゃありません」
「いや〜、朝早いのは結構評判がいいので、良いかな〜って」
「女王、確かにうちの兵達にも評判は良いみたいですよ」
「それは・・・」
「お嬢様、任せておいてもいいんじゃないですか、お嬢様も気に入っているのでは? 」
「わかりました、暫く様子を見ます」
「ジェルダ、本来の役目も忘れないで、いいですね」
ノランが釘を刺す、
「はい! わかりました、有難うございます」
ミーとアンがコーヒーとケーキを運んでくる、
「あら、また新作ね」
「はい、頑張りました」
シフォンが一口食べる、「美味しい! 」
「有難うございます、ハクジャさんが来るのが楽しみです」
「そうね、喜ぶと思うわ」
「はい、頑張ります! 」
「ジェルダ本職も忘れないで」
「ハハハ、大丈夫です」
「ジェルダ」
「はい」
真面目な顔のシフォン、
「結界はどうなの」
ジェルダが真面目な顔になる、
「ご心配いりません、私もかなり能力が上がっています、結果、結界の強度もかなり上がっています、それに、クーマ様が設置してくださった宝珠の加護もありますので、魔獣暴走ぐらいなら阻止出来ます」
「そんなに? 」
「はい、実際とんでもない力です、ただ、範囲が防壁の外にも影響しています」
「外に? 」
「はい」
「それは、強過ぎるから? 」
「いえ、多分任意に広げられたのかと」
「マルガ、どう思う?」
「はい、外に兵を配置する、いや、違う、魔獣か! 」
「なにか分かった」
「分かりませんが、ハクジャ殿を含めた魔獣の避難及び防衛拠点を考えておられるのでは」
「えっ、ハクジャさんと魔獣の? 」
「はい、ハクジャ殿は既に南エリアは制圧済みだと、それに先日クーマ様が言っておられたハクジャ殿との情報共有・・・」
「魔獣が協力してくれると・・・」
「あくまでも可能性ですが、クーマ様のする事ですから、あってもおかしくはないかと」
「確かにクーマ様なら」
「あるかも・・・」四人が顔を見合わす、
「マルガ、兵に情報共有を」
「分かりました」
コーヒーを飲み干しマルガが席を立ち、詰所に向かう、
「ジェルダ、結界は魔獣を拒絶するのでは」
「それは心配いりません、クーマ様の従者であるハクジャさんの配下であれば抜けれるはずです」
「そうなの? 」
「はい、たとえ魔獣であっても護る者の意思があれば、多分・・・クーマ様の事ですし」
「分かりました」
「あと数日・・・」
「女王様」
ジェルダが遠くの空を見上げている、
「どうしたの? 」
「来ました」
「えっ、はっ、規模は! 」
「空から、大型の飛行物体多数、魔獣? ワイバーン! 」
「ワイバーンの群れが・・・100体以上です! デカい奴がいます! 」
「シフォン! 」マルガが駆け寄る、
「何か大量の嫌な気配が近づいている」
「ええ、今、ジェルダから聞きました、マルガ、迎撃戦用意、総員配置を」
「敵はワイバーンの集団、数は100体以上、大型種が複数確認できました」
「ジェルダ、任せたわよ」
「はい、これが本職ですから」
「よりによってクーマ様と近衛の不在時とは」
「ノラン」
シフォンが指を見せる、クーマの指輪が現れて鈍く明滅している、胸の飾りも浮き上り同じく明滅している、
ノランも同じ状態になっている、
「クーマ様は一緒にいます」
「はい」
マルガの服が変化し鎧に変わる、
「必ず護ります」
「ええ、民を護って」
「はい」
「マルガ様! 兵の配置完了しました! 」
「分かった、では、非戦闘者の避難を」
「はっ! 」
アクスが一緒に来た兵士に指示を出す、兵士が走り去る、
「マルガ様これは」
「ああ、空から来るとは」
「アクス、お前は東門の指揮へ」
「はい、マルガ様は? 」
「私は此処に残る」
「わかりました、では」
アクスが走っていく、
「ノラン、あなたは屋敷へ、皆を頼みます」
「ポニーあなたもノランを助けてあげて」
グァウ!
「女王は? 」
「私も此処に残ります」
「無茶はしないでください」
「大丈夫です、マルガもいますから」
ポニーがノランを乗せ走り出す、
「女王! 来ます! 」
空を見上げる、
大量のワイバーン、一瞬で空が赤くなり炎が舞う、ワイバーンの火球は高位の魔法士に匹敵する、それが幾重にもなって防壁都市を襲う、結界が光、火球が霧散する、
「ジェルダ! 」
「女王! 大丈夫ですこれぐらいなら今の私には余裕」
そう言ったジェルダの額には汗が滲む、
『嘘ね、余裕は無い』
「ジェルダ流石ね」
「はい、女王はマルガ様と共に、結界は私が護ります」
「ジェルダ・・・」
「女王、クーマ様の名にかけて街は護って見せます」
「わかりました」
「決して・・・『無理はしないで』」
言葉を飲み込む、『今は言えない』
「ジェルダ任せます、クーマ様に自慢することを許します」
「はい! 」
「マルガ! 防壁に兵士を上げて迎撃を」
「はっ! 」
「アグネス! 弓隊の指揮を任せる」
「はっ! 」
アグネスが声を掛け、防壁に上がる、
「弓隊! ワイバーンの皮膚は硬い、翼を狙え!
はっ! 」
既にワイバーンの1団が結界に取り付いている、
アクスが正確にワイバーンの翼を撃ち抜く、落ちたワイバーンが結界に当たり血の跡を残し滑り落ちていく、
次から次へと火球が襲う、その都度結界が揺らぐ、
弓隊は弓を引き続ける、
『皆は良くやっている、一匹一匹確実に落としている、しかし、数が多い、多過ぎる』
結界に残る血痕も浄化が間に合わず残っている、
「くそっ! 矢が足りない! 」
「これを使え! 」
兵士達の声が聞こえる、
矢の数にも限界がある、
その時、
「アグネス! 回収した矢だ! 」
「感謝する! 皆! 矢だ! 」
「おおぉー」
『士気は高い、まだいける、決して諦めない、ここは絶対に護る』
アグネスの弓と防具が光る、
『これは!? 』
力が上がる、体力が戻ってくる、
『いける、クーマ様、感謝を』
アグネスが弓を引く鏃に光が纏わる、
アグネスが狙いを変える翼から胸に、
『今ならやれる』
放たれた矢はワイバーンの胸を貫く、
迷うこと無く次の矢を放つ! 放つ! 放つ!
ワイバーンが次々と撃ち落とされる、
周りの兵士がアグネスを見る、
アグネスが叫ぶ、
「クーマ様を信じろ! 己の護るものを思い出せ! 」
皆の瞳に力が戻る、何人かの武具が光を放つ、士気が上がる、攻撃力が上がる、




