表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/29

第8話

時は少し戻り屋敷の昼時、

ノランとジェルダの会話、

「ジェルダ、今日からクーマ様が採取に行かれました、今日は様子見ということなので量は少ないかと思いますが、準備をしておいてください」

「クーマ様・・・あーあの人族」

「こらっ! 迂闊ですよ」

「あっ、すいません、でもたかが人族」

「こらっ、また! 次は王に伝えますよ」

「えっー勘弁してください」

「自分だって・・・」『今、王って言った』

「なんですか! 」

「すいません」

「では気をつけなさい」

「は~い」

「本当に分かっているの」

「わかってますよ、持ち帰った素材の処理と加工ですよね、私一人で十分です」

「貴方ねー」

「だって行ったのは南の湖でしょ、しかも低ランク、いくら逃げるのが上手くても、せいぜい数本持って帰ればいいほうでしょ、だから私一人で十分です」

「わかりました、ではジェルダに任せます、但し泣き言は聞きませんよ」

「わかってますよーだ」

「どうしたのですか? 」

「あっ、おっ、お嬢様」

「どうかしましたか」(少し睨んでいる)

「いえ、ジェルダが素材処理は一人で十分だと言いますので」

「ジェルダ、本当に一人で大丈夫ですか? 」

「はい、お任せください」

シフォンがニヤリと笑う

「えっ、えーと・・・」

「大丈夫なんですね? 」

「ミー・スー・アン、手伝いをお願いします」

「わかりました」

「そうですね、それがいいでしょう、少し物足りなく思いますが・・・」

「お嬢様、失礼を承知でお尋ねします」

「なんでしょう? 」

「その、あの、ひと」(シフォンが睨む)

「うっ、クーマ様はどういうお方なのですか? 」

「・・・わかりません」

「わからないのですか? 」

「そうです、ただわからない・・・今はそれしか言えません」

「ですので客人として、しっかりもてなしなさい、いいですね」

「わかりました・・・」


時は今に戻り、

二人はなんとか立ち直った、

「クーマ様! 」シフォンが少し怒ってる、

「酷いです! 」プイッと横を向く、

でも薄目を開けてこっちを見ている、

「やっと笑顔が見れましたね」

そう言うと真っ赤になって、

「いじわる・・・」

子供のような笑顔で俺を見た、

ノランも、「いじわる」と真面目な顔で言う、

シフォンが横でびっくりしているのが可笑しくてつい笑ってしまった、

ノランは直ぐに

「申し訳ありません、ふざけました」と頭を下げた、

「お見苦しい所をお見せしました・・・」コホンと咳払いをして、

「お風呂の用意をして参ります、後はお嬢様におまかせ致します」

と言って行ってしまった、

俺はシフォンと顔を見合わせて、二人で笑った、

シフォンは俺に、

「少しお待ち下さい」

と言うと作業場に戻った、

ジェルダに何かを話している、

「ジェルダ反省してますか? 」

「はい」

かなりショックを受けたようで、うなだれている、

「これからはいっそう注意するように」

「分かりました・・・」(ショボン)

「あなた達の料理は取っておいてあげます、後で食べなさい」

「有難うございます・・・」パッと笑顔になる、

フフフ、シフォンは優しい顔でこちらに戻ってきた、

「クーマ様行きましょう」

俺の手を引き屋敷に向かう・・・

ここは昨日案内された洗い場、俺は靴を脱ぎ足を洗って中に入る、

ノランが着替えの用意をしてくれていた、

「お風呂の準備はできております」

「有難うございます」

「では」そう言うといきなりノランが服を脱ぐ

「ノランさんなんで脱ぐんです? 」

そんな俺を無視して、シフォンがノランに、

「後ろ外してくれる」

「はい、お嬢様」

「シフォンさん何やってます? 」

二人してニヤリと笑う

(嬉しいけど嫌な予感)

「今は、メイドが応援に行っていますので、お嬢様と私がお手伝いします」

「いや・・・」

間髪入れず、シフォンが

「"いや" なんですか? あんなに心配させておいて」

「それとこれとは違うのでは」

「違いません! 怪我がないかどうか確認します! 」

「いえ、怪我は・・・」

「駄目です! 私が確認します! 」

「うっ」

ノランが耳元で囁く、

「クーマ様諦めましょう、お嬢様は頑固です」

「ノラン! 」

シフォンがふくれている、

「さ、早く入りましょう」

「はい、わかりました」

「よろしい! 」

二人にはしっかり洗って確認された・・・

三人で湯船につかる、

「クーマ様、何があったのですか? 」

「はい、実は魔獣が聞いていたよりも非常に少なく、危険度の低い奴ばかりだったんです」

「それでつい油断してしまって、気がついたら日が傾いていました」

「慌てて回収しながら小屋に戻って、帰り支度をして、日が落ちきる前に小屋を出たんですが」「昼間と違い、かなり魔獣が出てまして、避けながらもう少しで別れ道と言う所で、いきなり後から追いかけられまして、必死で逃げました」

「あそこでアクス様に会わなければ、危なかったかも」

シフォンが涙目になっている、

「すみません、これからは気をつけて、明るいうちに帰るようにします」

「絶対ですよ! 」

「はい、気をつけます」


同じ頃、アクスたちが帰還する、

「帰ってきたぞー」

門兵の声が聞こえる、

マルガリータたちが出迎える、

「アクスご苦労だった、皆もご苦労だった」

「クーマ殿は? 」

「今はシフォンと一緒に屋敷だ、暫くすれば戻るだろう、領主様もシフォンも感謝している」

「で、土産は? 」

アクスがニヤリと笑い、

「はい、こちらです」

「やはりリザラだったか」

「はい、かなりいいサイズです」

「よく無事に戻った、怪我人は? 」

「いえ全員怪我もなく無事です」

「そうか良かった、領主様から宴会の許可が出ている、まずは少し休め」

「有難うございます」

「皆しばらく休憩だ、今夜は領主様から宴会の許可が出ている、後で領主様に礼を言っておけよ」

「わかりました、有難うございます」

「アクス、後のことは他のものに任せる、屋敷からメイドもきているからな、お前も少し休め」

「わかりました、その前にマルガリータ様、こちらを」

「なんだ? 」

運んできた魔獣の足元を見せる、ザックリ切り裂かれている、

「見事な切り口だな・・・」

「はい、弱すぎると思いました」

「クーマ殿か? 」

「それしかないかと」

「分かった暫くは伏せておけ」

「はっ、では宴会を楽しみます」

「そうしろ」


「お嬢様そろそろ」

「そうですね、クーマ様、宜しいですか」

「はい、上がりましょう」

「はい」

三人で風呂を上がり、用意してあった服に着替える、(サッパリした)

シフォンとノランの着替えも終わり、三人で出かける途中、作業場をのぞくとジェルダが半べそで仕事をしている、

三人は顔を見合わせ、笑いをこらえてその場を後にする、


屋敷の前に戻ると、ポニーとノランが乗ってきた馬が待っていた、

ノランは颯爽と馬に乗り、

「お嬢様、先に行きます」

「わかりました、クーマ様、私達も行きましょう」

シフォンが乗ろうとすると、ポニーがクゥクゥと鳴きながらシフォンを押す、

「どうしたの? 」

ポニーが俺に向かって、ガゥ、と一声鳴く、

「そう、わかったわ」

「クーマ様、ポニーに乗ってみますか? 」

ガゥ、また鳴く

「クーマ様に乗って欲しいみたいですよ」

俺はポニーの頭を撫でながら、

「いいのか? 」

ガゥー、と鳴き俺を引き寄せる、

「わかった乗せてくれ」

ガゥガゥ、

ポニーに急かされ背中に乗る、

シフォンが手を伸ばす、その手を引き上げ後ろに乗せる、

「しっかりつかまっていてください」

「はい」

「ポニーじゃ行くか」

ガウー、ゆっくり歩き始める、

まるで俺が慣れるのを確認するように、少しずつ速度を上げ始める、シフォンの腕に力が入る、

「クーマ様、もっと飛ばして下さい」

「そうか・・・わかった、ポニー行くぞ」

ガオォー!

返事をした、

俺は足に力を入れ膝でポニーを挟み込む、

シフォンがより強く背中にしがみつく、

「クーマ様、飛ばして!」

「行け! ポニー!」

ガッオオーン

四肢に力が入る、その途端一気に加速する、

『速い! 』


『何、ポニーの雰囲気が変わる

魔力が上がる、魔力? 違う、何か違う力がポニーの力を上げている、

これは何、嫌な感じはしない、

これはクーマ様の力、

何かホッとするような落ち着く感じ、

全身が守られているような・・・

あたたかい・・・この方は何・・・

今はどうでもいい・・・今は』


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ