第72話
暫くしてミーとアンがコーヒーを運んでくてる、少ししてジェルダとスーがクッキーを持ってやって来た、
「ジェルダ、ミー、スー、アン、おはよう」
ジト目で見る、
「お早うございます! 」
四人が元気に返す、チラッとクーマを見て、三人は顔を赤くして奥へ引っ込んだ、ジェルダはそのままクーマを見てモジモジしている、顔が赤い、
シフォンとノランは一息ついて、
「ジェルダ」
「はい」
「あなたも座りなさい」
「はい! 」
「あなた、一番に行ったんですって」
「うっ」
「それで? 」
思い出して瞳が宙を漂う、にへら〜、
「もう良いです、分かりました」
ノランが頭をはたく、
「あいたっ、ノラン様ひどい」
「うるさい」
「ジェルダ、新しい道をありがとう」
「えっ、いえ、とんでもありません、お役に立てて良かったです」
「ええ、快適でした、でも、あれほどの魔力、使っても大丈夫だったの? 」
「それが、まだまだ余裕です」
「そうなの? 」
「はい」
「やっぱりクーマ様? 」
「はい、今更です、間違いありません」
「今更・・・そうよね、今更ね」
コーヒーを飲み、皆で雑談をしていると、アクスが走ってきた、
「皆様、南の衛兵から連絡がありました、ハクジャ様が、防壁沿いの道に姿をお見せになりました」
「分かりました、クーマ様、行きましょう」
「はい」
「アクス、門兵に連絡、門を開けろ」
「はっ! 直ぐに」
アクスが走っていく、
門が開く、
程なく到着したハクジャを、予定通り五人で迎える、
ハクジャが跪く、
「御主人様、お待たせ致しました」
「構わん、よく来た、立て」
「はい」
「ハクジャ、いらっしゃい」
「シフォン、ノラン、お招き頂きありがとうございます」
「ハクジャ殿」
「マルガ、御主人様が作ってくれたのだな」
「はい、この様な貴重な物を頂き有難うございます」
「構わぬ、それはそなたの戦利品じゃ」
「有難うございます」
「さぁ、どうぞこちらへ」
チラッとクーマを見る、
クーマが頷く、
「失礼いたします」
カフェ、
「さぁ、どうぞ」
シフォンが席を勧める、
クーマとシフォンが左右に座る、
「御主人様!? お二人の横など恐れ多いです」
「今日は気にするな」
「しかし」
「ハクジャ、気にせずに、今日はお客様ですよ」
「しかし、立場というものが」
「前に言ったろ、お前の考え方は非常に好ましい、しかし固すぎる、人との付き合いはそれだけでは駄目だ」
「はぁ、努力いたします」
「少しづつで構いませんよ」
「ノラン・・・ありがとう」
「それで良い」
「では、改めて紹介しておきます、私とノラン、マルガは知っているので、後はアルベルだけですね」
「ハクジャ殿、はじめましてアルベルと申します、肩書は領主となっております、お見知り置きを」
「ご丁寧にありがとうございます、私はクーマ様に名を頂き従者となりました、ハクジャ、と申します、本来は白いヘビですが、御主人様に仕えるにあたり人型を取っております、宜しくお願いします」
アルベルが手を伸ばす、
ハクジャが首を傾げクーマを見る、
「人型の挨拶だ、お互いを認めるという意味がある」
「私を認めてくださると? 」
「勿論です、クーマ様の従者であれば、私達の身内も同じ」
「ありがとう、私はどうお答えすれば」
「お前が望むなら、手を握り返せばいい」
恐る恐る手を握り返す、
「そうですよ、シフォンが答え手を伸ばす、ノランとマルガも手を伸ばす」
ハクジャがあたふたとしている、
「一人一人返せばいい」
「はい」
一人一人握手を交わし、何故か少し照れている、
「どうした」
「はい、御主人様と出会ってから、初めての事ばかりで、少し戸惑っております」
「嫌か? 」
「いえ、これは心地よい、でしょうか」
「そうか、それは良かった」
「喜んでいただけるのですか」
「当然だ」
「この様な経験をさせて頂けたこと、感謝致します」
「ああ、少しづつ経験をすればいい、ただ、良い事も、悪い事も等しく存在する、よく考える事だ」
「はい、私にとっては御主人様が全てで御座います、これからも変わらずお仕え致します」
「宜しくな」
「はい、 何よりの御言葉感謝致します」
「さぁ、挨拶も終わりましたし、後は楽しんでください」
「シフォン、お世話になります」
「硬いわよ」
「フフフ、まだ慣れません」
「所で、シフォン、ノラン、マルガ)
一人づつに目をやり、
「やはり、先日お会いした時よりも、力が上がっておられるように感じますが、何かあったのですか」
「ああ、三人は俺の妻になった」
三人がビックリ顔で赤くなる、
「はっ、奥方様になられたということですか」
「そうだ」
「気が付かず、失礼いたしました」
「ハクジャ、構いません、気にしないでください、貴方と私達には違いはありません、クーマ様と共に生きる者です」
「ありがたき御言葉、感謝致します」
「だから、固いですよ」
「フフフ、なかなかには」
「宜しいですか」
ジェルダとミー、スー、アン、がコーヒーとケーキを運んで来た、
ハクジャが反応する、
「ほう、かなりの力、これは御主人様の匂い? 」
四人が赤くなる、
「失礼します、ごゆっくりどうぞ」
四人が逃げるように奥へ戻っていく、
「御主人様、あの者達から御主人様の匂いが」
シフォン、ノラン、がジト目で見る、今回はマルガも加わってクーマを見る、
アハハ、笑って誤魔化す、
「御主人様、何か不味いことを言いましたか? 」
「いや、構わん、今後は見掛けても気付かないふりを」
「ハクジャ、気付いたら遠慮なく教えて下さい、良いですね、クーマ様」
「良いですよね、ね! 」
「はい」
「ハクジャ、コソッとな」
「分かりました・・・」
「さぁ、ハクジャ、食べましょう」
「これを使って、この様に少しずつ食べます」
「はい、これを使って、この様に・・・」
フォークで少し取って口に運ぶ、
「おおぉ〜!」ハクジャが無心に食べる、
皆は顔を見合わせほっと息を吐く、
「クーマ様、気に入って貰えたようですね」
「見たいですね」
食べ終わった皿を見て少し寂しそうにしているハクジャに、
「おかわり食べますか? 」
ノランが声を掛ける、
「あっ、宜しいのですか? 」
「はい」
「ジェルダ! 」
「はい」
「ケーキを持ってきて」
「畏まりました」
直ぐに、新しいケーキを持ってきた、
「先程とは少し違うような」
「はい、ケーキには色々な種類があります、宜しければ他のものも用意致しますよ」
「おお~、それは楽しみです」
「ただし、食べ過ぎには注意です」
「どうしてですか? 」
「太るんです」
「えっ、太る・・・」
「はい、お気をつけ下さい」
「分かりました・・・」
ハクジャの手が止まる、目の前の皿を見つめ、葛藤している、
『太る、以前穴を抜けた際に、詰まって動けなくなったことがある、あれは惨めだった、しかし』
「ハクジャ、食べ過ぎ無ければ問題ない」
「クーマ様」
クーマが頷く、
「はい」
幸せそうな顔でパクパクとケーキを食べる、
「はぁ〜、これが甘いと言うことですか、何とも、魅了される」
「他にも食べさせたい物はある、それぐらいにしておけ」
「は、い、・・・」少し残念そうだ、
「ハクジャ、また来たら良いんですよ、歓迎します」
「シフォン、ありがとう」
皆が笑顔になる、暫くしてハクジャが少し慣れてきた頃、
街の賑わいが大きくなった、
「さぁ、祭りを観に行こう」
祭り:収穫祭
ハクジャを連れ、皆で屋台を見に行く、取り敢えずお勧めの人族の屋台へ、色々観ながら屋台を回る、
丸く焼いた粉の中にいくつもの具材の入った、丸玉焼き、刻んだ具材を粉に混ぜ丸く平たく焼いた好み焼き、クラッケの丸焼き、甘い綿のようなクラウ、薄く焼いた皮に甘いクリームとフルーツを入れた薄皮焼き、まだまだあるがきりがない、食べ物以外にも射的や各種すくい等、見ているだけでも飽きない、既に皆の両手は食べ物や景品で一杯になっている、所々に用意された休憩所のテーブルに並べて皆で食べる、
「こんにちは」
マイカが俺たちを見つけて、声をかけてくる、テーブルの食べ物を見て少し引いている、
「そんなに食べるの? 」
「ハハハッ、美味しそうだったので、つい」
「ええ、味は良いと思いますよ、思いますが、その量は・・・」
「飲み物がいりますね」
「あっ、そう言えば」
ノランが立ち上がり、
「貰ってきます」
「まぁ、まぁ、座っていて下さい、オススメがあるのですが、いかがです? 」
「オススメですか・・・お願いします」
「わかりました、少し待っていてください」




