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第57話

二人が振り向き詰め寄って来る、

「クーマ様〜、ど〜言う事ですか〜」

「ク〜マ様〜」

「ちょっと待って、二人共、落ち着いてください」

「これを落ち着けと〜」

「はい、落ち着いてください、深呼吸して」

「・・・ふ〜、はぁ〜」

「落ち着きましたか? 」

ギロッ、と二人が睨む、

「ふぅ~」二人が大きなため息をつく、

「少し・・・」

「ノランさんコーヒーを貰えますか? 」

ノランが又睨む、

「あっ、コホン、ノラン、コーヒーを頂けますか」

「はい」ニッコリ笑っている、

「この裏切り者〜」シフォンが睨んでいる、

俺はシフォンの頭を撫で、

「シフォン、おはよ」

「おっ、お早うございます」

シフォンがニッコリ笑う、

「お二人共どうぞ」

ノランに勧められ、ふっかふかソファに座る、

俺を挟んでシフォンとノランが座る、

三人並んでコーヒーを一口、

「はぁ〜」三人で一息吐く、

「さて、クーマ様どういう事ですか? 」

「ジェルダの証言を聞く限り、やってないようですが」

「お嬢様! 」

ノランが口元を押さえ赤くなる、

シフォンがそれを見て、自分のセリフに気がついた、真っ赤になっている、

俺は思わず苦笑いを返す、

「正直、私にもわかりません、いつの間に潜り込んだのか」

「昨晩は、お二人が部屋を出ていかれて直ぐにベッドに入りました、そのまま、お二人が起こしに来るまでぐっすり」

「始めはてっきりシフォンだと思っていました」

「クーマ様〜、今晩は添い寝しますね」

「えっ」

「添い寝しますね! 」

「私も添い寝します! 」

「えっ〜」

「嫌なんですか? 」ジト目で睨む、

「はい、お待ちしてます」

二人が真っ赤になって固まっている、

「シフォン、ノラン、大丈夫ですか? 」

「はっ、大丈夫です! 」

「う、伺います」声が小さくなる、

「はい」


「あ〜、そうでしたっ、朝食ができています、今日は忙しいのでお早く」

ノランが慌てて話を変えた、

「そうですね、今日は宴会、楽しみです」

三人揃って食堂へ向かう、


食事を終え宴会の話に、

「早い方は昼頃から始めていると思いますが、私達は夕飯代わりに行きましょうか、少し早めに、お迎えに行きます、それまではご自由に」

「私もなにか、お手伝いできれば」

「いえ、大丈夫ですよ」

「わかりました、それでは又作業場をお借りしますね」

「又何か? 」

「ええ少しだけ」

「無理はなさらないように」

「はい、昨日ほどでは有りません」

「あの、手伝いは必要ですか? 」

少し微妙な顔をしている、

「いえ、今日は一人で大丈夫ですよ」

「あっ、可能であれば、アクスさんに寄っていただければ」

「わかりました、伝えておきます」

「お嬢様そろそろ」

ノランがシフォンに声を掛ける、

「クーマ様、今日は先に失礼しますね」

「わかりました」

「では、また後で」

「はい」


ジェルダの部屋

『なんで、クーマ様の部屋に? 』

『そういえば昨日、クーマ様に杖の手入れをしていただいて、力を通した・・・』

「記憶がない・・・どうなったの? 師匠の声が聞こえたような・・・」

「覚えてない・・・」

『二人の師匠と話をしていたような、いえ、違う、師匠たちが話をしているのを見ていた? 

だめ、思い出せない』

「そうだっ、杖、私の杖」

部屋を見渡す、ベッドの上に杖がある、手にとってみる、

改めて見ても、とんでもない仕上がり、全くの別物と言っても良いぐらいに能力が上がっている、

目線の先にテーブルが見える、

「えっ、片付いている」

椅子の上には、透き通った玉がある、

『こんな玉は無かったはず』

そっと鑑定してみる、玉には膨大な力が込められている、

『これはクーマ様の力、いつ、いただいたのだろう』

その玉から伝わる微かな気配、

「師匠・・・」

その時、杖のドラゴンが動いた、何かを支えるように両の腕を伸ばしている、

『私力を通してない、何故動いた? これ、もしかして、玉をドラゴンの両腕に乗せる』

[ジェルダ、ありがとう、あなたはいい弟子でしたよ、でも調子に乗って皆に迷惑をかけないように]

シャリーンの声がする、

「師匠・・・どうして」

[クーマ様が、玉に力を込めてくださった、その力で少しあなたの体を借りていたの]

[お陰でミーニャと話ができた、ごめんなさい]

「師匠、私も話がしたかった」

[今話しているじゃない]

「でも」

[あなたは立派に成長した、私はいい弟子を持った]

「師匠・・・」

[あっ、それと、クーマ様のベットは心地よかった? ]

「なっ、えっ、もしかして、師匠が」

[ええ、潜り込んどいた、そのまま眠ってしまったみたいだけど]

「ちょっと、師匠なんてことを・・・」

[良いでしょ好きなんだし]

「なっ、そっ、それとこれは別です」

[頑張りなさいね、応援してるわ、それじゃ、おやすみ〜]

「師匠〜」


作業場

昨日の素材を作業台に並べて見る、

ルビー、サファイア、はかなり残っている、グルナとスマラグはそこそこある、アダマスの残りはわずか、

先ずは、ルビーに力を注ぐ、直ぐに一つの粘土のような塊に変わる、同じようにサファイアにも力を注ぐ、2つの粘土にそれぞれ力を通す、パリパリと小さな稲妻が走り、光りながらフヨフヨと浮き上がり、小さな塊に分裂していく、

クーマが力を抜いたと同時に、作業台に無数の小さな赤い塊と青い塊が散らばる、それを集めて籠に移す、

ノックの音がする、

「失礼します」

アクスが入口からこちらを覗いている、

「アクスさんお早うございます」

「お早うございます、お嬢様から装備を持って伺えとの事でしたので参りました」

「すいませんお忙しい所」

「いえ、今日は宴会ですからあまり出番はありません」

「なるほど」

「クーマ殿そちらは? 」

「ああ、これを兵士の皆さんの装備に着けて頂ければ有り難いのですが」

「先日のお話をお聞きしました、大丈夫なんですか? 」

「と言いますと? 」

「試練を伴うとお聞きしました」

「試練? ああ、確かにある意味そうだったのかも、でもこれには、そこまでの力はありません」「申し訳ないですが、ただ、多少のお役には立てると思います」

「試しても? 」

「どうぞ」

「では、失礼します」

「使い方は? 」

「あっ、そうですね、ん、アクスさんその剣は? 」 

「はい、前の剣はこのとおり」

と言って持ってきた包みを開ける、刃は欠けヒビが入っている、

「模擬戦の時? 」

「はい、まだまだ未熟でした、装備を持って伺えと言われた時、もしかすれば、と思い持ってきました」

「わかりました後で整備しましょう」

「有難うございます」

「まぁ、取り敢えずはこれを試しましょうか、赤い方を使ってください」

「はい」

「それは武器に必要な能力を若干ですが上げてくれます、剣に当てて力を通してください」

「わかりました」

アクスが赤の素材を剣に当て力を込める、赤い光が剣先に伸び、そのまま剣の中に消えて行く、

「これは? 」アクスが鑑定を使う、

「クーマ殿これは何ですか!? 」

「総合的に武器の能力を若干だけ上げることができます」

「それはお聞きしましたが、若干とは? 」

「これは若干とは言いません」

「そうなんですか? ではそれはアクスさんの魂に反応したんでしょ」

「私の魂ですか? 」

「そうです」クーマがニッコリと笑う、

「これを皆に? 」

「ええ、全ては整備できませんから、青い方は防具にお使いください」

「さて、次はこれですね」とアクスの剣を見る、

「この剣には何か思い入れが? 」

「はい、私が副官になった際に、マルガ様から頂きました」

「そうでしたか、申し訳ないことをしました」

「いえ、全て私の未熟ゆえの話です」

「では、お預かりしますね」

「お願いします」

クーマはしばらく剣を眺めたあと、アダマスの素材を粘土に変え、長く延ばす、それを剣の芯に合わせる、剣先と鍔にはグルナの素材をグリップにはスマラグとサファイアの素材を合わせる、ポンメルにルビーを合わせ少し離れて何かを確認している、

「うん、剣はこれで、次は鎧を」

「はい、こちらです」

フルプレートの鎧を所々カットして使っているようだ、少し変わった形をしている、左のショルダーアーマーが少し長い、

「ご自分で加工を? 」

「はい」

クーマは手をかざし少し考えている、

アダマスの素材を取りショルダーアーマーに合わせる、裏にはサファイアとスマラグを合わせて貼り付ける、各プレートにはスマラグの素材を伸ばし貼り付けていき、所々にグルナの素材を合わせる、

「では、いきます」

「はい」

クーマの指先から小さな稲妻が剣と鎧に降り注ぐ、

稲妻は剣と鎧の表面を走り消えていく、少し離れて確認した後、頷いている、

「出来ました」

「これは・・・」『既に別物』


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