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第52話

屋敷の作業場

「クーマ様、素材は此方にご用意して宜しいですか」

「はい、お願いします」

「何から、お始めになりますか? 」

「そうですね、先ず、素材の吟味からですね」

俺は作業台の上の素材を見る、

全体の中に特に光る素材を見つける、

『これは鑑定? こんな力もあったのか』

自分の力に少し驚き、光る素材を手に取る、

アダマスとスマラグそれとグルナ、特に光の強い素材を集め、並べてみる、

「あっ、ジェルダさん」

「はい」

俺の作業を見ていたジェルダに、質問してみる、

「二つの指輪と胸飾り、何か聞いたことはありますか? 」

「それは、婚姻の証ですね」

「婚姻の証? 」

「はい、私達に古く伝わる儀式の一つです、私達は基本多夫多妻です、人族の関係とは少し違いますが」

「ただ婚姻の証を受けたものは違います、二つの指輪は過去と未来を表し、今までの全てとこれからの全てを捧げる意味があり、左右の中指にはめます」

「胸飾りは、現在を指し過去未来全てを現在の貴方に捧げるとなります」

「この証を受けた者は生涯その者に仕えます、ただ古いしきたりですので、今はほとんど行われていませんし、強制力があるものではありません」

「それに双方の合意がないと成立しませんし・・・」

「えっ」

そこまで説明して、ジェルダが気がついた、

「クーマ様、お作りになるのは? 」

「はい? 」

「女王ですか? 」

「はい、それとノランさんの分です」

「へっ」

「お二人にお願いされました」

「あの、今私に聞かれたということは、お二人からは・・・」

「はい、教えていただけませんでした」

ジェルダの顔色が変わる、

「クーマ様、今聞いたことは忘れてください」

「わかっていますよ、言いません」

「お願いします、絶対ですよ」

「はい、大丈夫ですよ」

「で、どうされます? 」

心配そうな顔で覗き込む、

「何がですか? 」

「私、言っちゃったから・・・作るのをやめるとか・・・」

「大丈夫です、作ります」

「クーマ様」

「はい」

「その、多分お二人はこの先も証のことは言わないかと・・・多分ですが」

「そうですね、だからこそ、最高の物を作ります」

ジェルダの顔がぱっと明るくなる、

「はい、お手伝いします! 」

「有難う御座います」

俺は素材を手に取り作業を始める、


ジェルダ視線

あちゃ〜やってしまった、

そりゃ、そうよね、でもノラン様もって、

えっ、待って、二人は、クーマ様に説明をしていない・・・

二人は言わないつもり、それは・・・

そうか、二人が決めたんだ、なら私の出来ることをするだけ、お二人を護るのみ、

あっ、クーマ様が作業を始めた・・・

やはりアダマスの素材、

えっ、そんなに、

一抱え程の素材を集めて力を注ぎ始める、


この世界での一般的な素材加工の工程、

1,完成品をイメージして素材の大きさ

  を合わせる、(素材より小さけれ

  ばそのまま削り出し、大きければ魔

  力鍛冶で溶接する、その場合大きさ

  と鍛冶師の魔力量にもよるが一昼夜

  魔力を込める場合もある)

2,削り出し(工程1)

  大まかな形に成形

3,削り出し(工程2)

  この時点で最終形に成形(工程2,工程3、

  これも大きさと魔力量により数日を要する)

4、仕上げ(工程1)

  能力を付加しながら、細部を仕上げていく

 (付加できる能力は1〜2鍛冶師の能力次第)

5,最終工程

  魔力により形(斬れ味、強度が決まる)

  付加した能力を固着させる、最終工程での魔

  力不足は全ての性能に影響する、


えっ、いきなり力を込めるの? 

えっ、素材が溶ける? 

えっ、そんな、物質変化!?

目の前で起こっていることに理解が追いつかない、

見る見る素材が溶け一つの塊になり、粘土のような状態で浮いている、

そこから一掴み取り出し形を整え、小さな輪っかを4っつ作る、作った輪っかに力を注ぎ能力付加を行なっている?

「クーマ様、喋ってもいいですか? 」

「ええ構いません」

「何をしています? 」

「能力の付加です」

「やっぱり」

「いい素材です、これなら全て付加出来そうです」

「全て、ですか? 」

「一体いくつ付加するおつもりですか? 」

「魔法攻撃耐性、物理攻撃耐性、身体強化、変化、ぐらいですかね」

「クーマ様、それは伝説の武具を上回ります、とんでもないチート装備です! 」

「それに変化って何ですか? 」

「あ〜、その時々に会った形態変化です」

「あっ、忘れてた、魔力上昇、魔力強化、も付加しないと」

「クーマ様、それで自己再生がついたら無敵ですね」

「あ〜、それは当然付与していますよ」

「やってんのか〜い」

「よし、後は胸飾り」

また塊から一掴み取ると形を整えていく、楕円の透き通る胸飾りを二つを作り、一つを取って二つの指輪の間に並べる、

指輪の上に両手をかざし、呼吸を整え胸飾りを見つめる、

一つ大きく息を吸い込む、

一気に力が上がる、

両方の指輪が光り、小さな稲妻を纏う、稲妻が生き物のように胸飾りに纏つく、徐々に光を放ち、クーマ様の力に呼応するように光りが脈動する、

私の想像の範疇にない力が注がれる、

『こんな力、素材が持たない、持つはずが無い』

光が収束する、指輪と胸飾りには、細かな文字? 装飾が施され、優しく力強い光を放つ、

『成功した? あれ程の力を内包した? 』

「ふぅ~」大きく息を吐く、

「では、もう一つも仕上げましょう」

全く同じことが繰り返される、

全く理解できなかった、

作り方も結果も、こんなに近くで見ているのに何も理解出来なかった、

幾つもの能力付加、膨大な力の注入、耐えれる素材があるなんて、

違うあんな力に耐えれる素材は無い、クーマ様の能力が可能にしている、

「ジェルダさん」

誰かが呼んでいる、

「ジェルダさん」

「はっ、すいません、見惚れていました」

「そう何ですか? 何か変でしたか? 」

「ハハハ、クーマ様、今更です」

「ハハハ、やっぱり」

「まだ大丈夫ですか? 」

「はい? 」

「まだ少し作りたいものがあるので」

「はい、私は大丈夫です」

「では次はこれを」

「えっ」

クーマ様が見たこともない素材を取り出す、素材自体にとんでもない力がある、

「なっ、何ですかそれは! 」

「あ〜、内緒ですよ」

私は首を縦に振る、

「これはハクジャ、シロヘビの脱皮した皮と鱗です、マルガさんの戦利品です」

「マルガ様の戦利品? 」

「はい、ハクジャから預りまして、新しい鎧をと」

「勝ったんですか? 」

「いえ、それはまだ、でもいつかは勝てるかもしれません」

「さて、では始めます」

「はい」

クーマ様はシロヘビの皮を広げ、見つめ手をかざす、皮は生き物のように蠢き始める、

『ちょっとグロい、怖いです〜』

長かった皮は、少しずつ短くなり形を成していく、

出来上がったのはシャツとジャケット、膝丈程のスカート、手袋にブーツ、それに髪飾り? 

全体的に落ち着いた瀟洒なデザイン、

クーマ様はそれらを手に取り、しばらく眺めた後、作業台に並べて、各部位にシロヘビの鱗を配置していく、何度も配置し直しては、バランスを取っているようだ、

「よし! 」

そこに素材粘土を一掴みして形を整えながら服の上に配置していく、

「うん、これでいい、ジェルダさん行きますよ」

「はい、何を? 」

クーマ様が服を見つめ両手をかざす、先程と同じ様に小さな稲妻が走る、置かれた素材がまるで意思がある様に、蠢く、少しずつ形を変え服を取り込み美しい鎧に姿を変える、全体はプラチナの様な白、所々に赤い縁取り、良く見ると鎧は全体に鱗の様な模様がある、

「ふぅ~、出来ましたね」

「ですね・・」

すると、鎧が形を変え先程の落ち着いた、服に戻る、

もう、考えるだけ無駄、クーマ様はこの世界の方では無い、一体クーマ様のいた世界はどんな世界なのか、

「ジェルダさん」

「はいぃ! えっ、あっ、すいませんちょっと考え事を、へへへ」

「クーマ様、なんでしょうか」

「はい、ジェルダさんは魔力と神力をつかわれますよね」

「はい、神力はまだまだですが、この杖のお陰で何とかなっています」

「そうなんですね」

「はい、でも最近、私の力が上がったようで、杖にかける負担が大きいようです」

「ちゃんと使いこなせていれば負担をかけずに済むのですが」

「その杖に何か思い入れが? )

「えっ、この杖ですか」

「そうです」


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