第51話
遅くなりました、
すこし、手直しをしていました、
俺はジェルダを支え、そのまま抱き上げ、そっと席に降ろす、
「ジェルダさん、大丈夫ですか? 」
「はっ、はい、大丈夫です」
顔が真っ赤だ、
シフォンとノランが顔を見合わせる、
『もしかしてジェルダも』
「クーマ様、ジェルダは大丈夫です」
マルガが声を掛ける、
「ジェルダ、クーマ様の前だぞ」
はっ、となり、座ったまま姿勢を正す、
「申し訳ありません」
「クーマ様、作業の目処が立ちましたので報告に伺いました」
「もう、ですか、流石ですね」
ジェルダが自慢げに胸を張る、
「はい、作業自体はまだかかりますが、本日中には終了致します」
「有難う御座います、無理はなさらないで下さい」
「はい、有難う御座います、素材についてなのですが、全ての素材は一度クーマ様にお渡ししますのでご確認ください」
「それと、食料素材はどういたしましょうか? 」
「それは皆さんでお分けください」
「宜しいのですか? 宴会しますよ」
周りのメイド達の動きが止まる、
「はい、是非、参加させてください」
「女王! 」
(シフォンは少し呆れたように)
「わかりました、女王として宴会を許可します」
「やった! 」
「ただし、明日ですよ、今日はだめです「
「わかりました! 」
周りにいたメイド達の動きが、慌ただしくなる、
アルベル達が戻ってくる、慌ただしくなった周りを見て、
「女王どうかされたのですか? 」
「はい、明日は朝から宴会です」
「へっ」
一緒に戻って来たケンが、驚く、
「女王、いつ襲撃があるかわからんこの時期に宴会? 」
「ええ、折角クーマ様が大量の高級食材を持って帰ってくれたんですから、皆で楽しみましょう」
「女王、宜しいのですか? 」
アルベルが聞く、
「皆は嫌ですか、でしたら考えますけど」
シフォン、ノラン、マルガは笑っている、アルベル達は少し溜息をつき、
「わかりました、楽しみましょう」
「アルベル、貴方は羽目を外さないように」
シフォンが釘を刺す、アルベルがガクッと肩を落とす、皆が笑っている、その様子を見てシフォン達も微笑んでいる、
シフォンが立ち上がる、マルガも立ち上がり、声を上げる、
「皆のもの傾聴せよ! 」
周りが一斉に動きを止めシフォンを見る、
「本日、クーマ様から大量の食料を頂戴致しました、感謝して明日は宴会を許可します、皆楽しんで下さい」
「おーー」周りから歓声が上がる、
シフォン達はその姿を優しい目で見ながら微笑んでいる、
マルガが声を上げる、
「女王とクーマ様に感謝を! 」
「皆は此処にいない者にも声を掛け準備せよ」
「はい! 」
皆が一斉に動き出す、
ケンが遠慮気味に声を掛ける、
「女王、俺たちも参加して良いのか? 」
「勿論です」
「そうか」マイカと顔を見合わせ、
「よし、皆にも伝えよう」
ケンとマイカが、席を立つ、
「クーマ様この後はどうされますか? 」
「はい、ジェルダさんから素材を頂いて一旦屋敷へ戻ろうと思います」
「分かりました、では一緒に戻りましょう」
ノランも頷いている、
「はい、それと作業場を暫くお借りできますか」
「それは構いませんが、装備の手入れですか? 」
「いえ、お二人への贈り物を作りたいので」
シフォンとノランの顔が赤くなる、
「大丈夫ですか? 」
「へっ、あっ、大丈夫です」
「それでは、屋敷へ戻りましょうか」
「そうですね」
「皆はどうしますか? 」
「私はしばらく残るとしましょう、宴会の準備もありますので」
アルベルトを残しマーリー達六人は一緒に戻ることになった、
「では、マルガ、後をお願いしてもいいですか」
「はい」
「お嬢様、ポニーと馬を連れてきます」
「私も一緒に行きます」ノランが後を追っていく、
屋敷に戻り部屋で一息つく
部屋着に着替えたところで、
ノックの音が、
「失礼します」シフォンとノランが入ってくる、
「クーマ様、お風呂に行きましょう」
「はい? 」
「早く、一緒に入りますよ」
「いや、私は後で構いません」
「クーマ様、マルガとは散歩に行くのに、私達とは風呂にも行けないと? 」
ノランが後ろで頷いている、
「分かりました、行きましょう」
「はい」
三人で風呂に入ると二人が俺を調べ始める、
「あの〜、何しています? 」
「怪我がないか確認しています」
「大丈夫ですよ」
「「駄目です! 」」
「クーマ様は無頓着過ぎます、もっと大事にしてください、それに、急に居なくなると心配なんです」
二人の声が小さくなる、
「すみませんでした、これからは気をつけます」
「絶対ですよ」
「はい」
「クーマ様」
二人が抱き着く、
「贈り物楽しみにしています」
「はい」
優しく抱き返し、
今出来る最高の物を贈りたいと思います、
「「はい! 」」
食堂に入ると一緒に帰ってきた、
マーリー達がテーブル一杯に料理を並べて、食事の準備を手伝っている、厨房から出てきたミーニャが俺に気づいた、
「クーマ様お帰りなさい、腕によりをかけて作っておきましたよ」
「凄いですね、ありがとう御座います」
「こちらこそ、お褒めに預かり恐縮です」
ニッコリ笑うその顔は、幼さの裏に大人の顔が見える、
「さぁ、お嬢様、クーマ様をご案内下さい」
「ええ、ミーニャありがとう」
「いえ、どういたしまして」
「お嬢様、明日は宴会なんですね」
「ええ、ミーニャも参加してね」
「ありがとう御座います」
「お嬢様、今日は皆も一緒で構いませんか」
ノランが聞く、
「そうね」
俺をちらっと見る、
俺は笑顔で返す、
「良いわ」
「さぁ、クーマ様どうぞ」
「マーリー、あなた達も座りなさい」
「良いんですか」
「ええ」
「ありがとう御座います」
刺身、焼魚、煮魚、揚魚、蒸魚、干魚、それ以外の調理をしたものもある、
加えて、今日は肉もある、
「肉、ありますね」
「はい急遽用意いたしました」
「急遽ですか? 」
「はい、クーマ様が討伐したのでしょ」
「あー、レプタイル! 」
「はい、アダマスの物を用意しました」
「ありがとう御座います」
「クーマ様、お腹が空きました、頂きましょう」
「はい、食べましょう」
シフォンとノランが、食事を大きな皿に取り分けて、俺の左右に座る、俺の前には空の皿、自分で取ろうとしたら二人に睨まれた、俺の前には左右から料理が盛られる、
「さぁ、クーマ様お食べください」
「ありがとう御座います」
二人が盛ってくれた料理を食べ始める、
皆も待ってましたとばかりに食べ始める、
ミーニャがよりをかけただけの事はある、どれも美味い、しかもレプタイルの肉は凄く美味い、さすが高級食材、
歓談の中、マーリーが話しかける、
「お嬢様、クーマ様にお聞きしたいことが、あります」
「クーマ様、宜しいですか」
「はい、構いません」
「我等もクーマ様の散歩に連れて行っては貰えませんか」
「へっ、散歩にですか? 」
皆が手を止め俺を見る、シフォンとノランは普通に食事をしている、
シフォンは横目でチラッと俺を見て、笑顔を見せる、
「分かりました、近い内に一緒に散歩に行きましょう」
「よろしくお願いします」
マーリー達は喜んでくれているようだ、
「シフォン」
「はい」
「東門使っても構いませんか? 」
「えっ」
皆の動きが止まる、
「一度見ておきたかったので、散歩にはちょうど良いでしょう」
マーリー達が口をパクパクしている、
ノランが言う、
「そうですね、暫く確認していないので丁度いいかもしれません」
「ノ、ノラン様」
「そうねクーマ様の散歩には丁度いいかもしれませんね」
「お、お嬢様まで」
「でもクーマ様、くれぐれもお気おつけください、彼女達と楽しみすぎてはダメですよ」
シフォンとノランから無言の圧力がかかる、目が笑ってない、
「はい、充分に気をつけます」
「では、2、3日後で如何ですか」
「はい、用意させます、皆良いですね」
「はい」皆の返事に元気が無い、
「それとシフォン」
「はい」
「ジェルダさんに作業の手伝いをお願いしたいのですが」
「手伝いなら私達が」
ノランが頷いている、
「先ほども言ったように贈り物です、お二人には見せれません」
「「そんなぁ~」」
「楽しみにしていてください、今出来る最高のものを贈りますから」
二人は真っ赤になって下を向く、
「クーマ様のバカ」小さな声で呟く、
二人の目は笑っていた、
ミーニャ達が食後のコーヒーを用意してくれる、
『明日の宴会が楽しみだ』




