第45話
「う〜ん、少し違いますね」
「私はここに住む人達が好きです(シフォンとノランを見る)この街も」
「私は旅人ですから、何時までも此処にいるわけではありません、でも、此処にはこれからも、こさせて頂きたい」
(雰囲気が変わる)
「だから、害を及ぼすものを許すつもりは無い、私は我儘なんです、この街も此処に住む人々も、もう私の一部ですから」
「クーマ様、危険なオーラが出ています」
「あっ、すいません」
「かまいませんが、漏らしそうでしたよ」
「ハハハッ、気をつけます」
「お願いします」
お互い静かに笑い合う、
「もう朝食の時間ですね」
「そうですね、でもお腹は一杯です、少し運動を兼ねて散歩に行ってきます」
「散歩ですか? 」
「ええ、ポニーを連れて」
「ポニーを? 」
「はい、それで、(シフォンとノランの頭を撫でながら)皆さんをお願いできますか? 」
一呼吸置いて、「わかりました」
「あっ、それと厨房を見せて頂いてもいいですか」
「ええ、構いませんが」
「すいません少しお邪魔します」
「何かお探しですか? 」
「ええ、お昼に食べるものを」
「お昼ですか、それなら、こちらとこれを」
ミーニャは、でっかいロースト魔獣とパンを出してくれた、
「有難う御座います、あっ、これも、良いですか」
チーズも分けてもらう、
「クーマ様これも、お持ち下さい」
そう言って、コーヒーのセットを渡してくれた、
「お気をつけ下さい」
「はい、では、失礼します、夕食には戻ります」
「クーマ様、夕食の希望はありますか」
「ミーニャさんの魚料理は美味しかった、わかりました用意しておきます」
「楽しみにしています」
クーマの部屋
軽く装備を整え、厩舎に向かう、
「ポニー起きてるか」
グァ〜、
「一緒にお出かけしないか? 」
グァッ、クアッ、クアッ、喜んでいる、
「少し暴れるがいいか? 」
グァッ、グァウ、
「よし、じゃあ行こう」
ポニーを厩舎から出し背中に乗る、
「屋敷を出るまではそっとな、みんなを起こしたくない」
クアッ〜、
ポニーは静かに中庭を抜ける、門を出たところで走り始める、徐々に力が上がる、毛がわさわさと動き俺の腕と足をつかむ、ポニーが鳴く、
グアウ、
「行け」
グアァァオーー、
一気に加速する、直ぐに街が見え街中を一気に駆け抜ける、アグネスが身構えているのが見える、『慣れたんだ』その前を横滑りしながら詰所に走る、詰所前でフルブレーキをかける、砂煙が舞う、
詰所から出てきたのはマルガリータとアクス、二人は慣れたもので軽く挨拶をする、
「今日はシフォンは? 」
マルガリータが聞いてくる、
昨晩の話を説明し、皆まだ寝ていること、ミーニャに任せたことを伝える、
マルガリータが珍しく少し拗ねた顔をしている、
俺はマルガリータを散歩に誘う、
「えっ、私がお供を」
「忙しいとは思いますが、紹介しておきたい者もいますので」
「・・・それは、シロヘビ・・・」
俺は少しニヤッと笑う、
「わかった直ぐに用意を、アクス後を任せる」
「えっ、私は、留守番ですか? 」
「アクスさんにはいずれ」
「わかりました、留守番してます、では、馬を用意します」
「アクスさん必要ありません」
「ポニーいけるか? 」
グアウッ、
「だそうです、さぁ行きますよ? 」
俺はマルガリータに手を伸ばす、つかんだマルガリータを後ろに、引き上げる、
「アクス頼んだぞ」
「はっ、お気をつけて」
「行ってくる」
「アクスさん、夕食には戻ります」
「ポニー、いけ! 」
ガウ、
ポニーの毛がまた俺達を掴む、
マルガリータが少し驚いている、
門が開きポニーが一気に加速する、後ろでマルガリータが仰け反っている、
マルガリータ
『何度か見たがこれ程とは、速い』
初めてポニーの背に乗る、驚愕しか無い、その時、前方に魔獣の気配、私は剣に手をかける、
「心配ない、ポニー殺れ」
ポニーが加速する、
『えっ、まだ・・・』
必死にクーマ殿にしがみつく、魔獣は3匹、ポニーが飛ぶ、ポニーは速度を落とさず走り抜ける、すれ違った魔獣が後方で血飛沫を上げる、
『何が起きた? 』
「ポニー右だ」
ポニーは横滑りしながら右へ、速度は落とさない、細い獣道をありえない速度で駆け抜ける、直ぐに湖と取水小屋が見える、
「ポニー速度を落とせ」
ポニーがゆっくり速度を落とす、
「ポニー岬の麓へ」
グアウ、
かるい足取りで岬に向かう、
クアァァァ、ポニーに緊張が走る、
「心配ない俺の連れだ」
クオ?
落ち着いたポニーから降りると、
クーマ殿の雰囲気が変わる、
「ハクジャ! 」
高い草の間から、見たことの無い服装の女性が現れる、
怖気が走る、思わず剣に手をやる、
クーマ殿はこちらを振り向かず一言、
「落ち着け」
『いつもと口調が違う』
『これがシロヘビ? 』
剣から手を離す警戒は解けない、
「御主人様こちらに」
そう言うと、クーマ殿の前に跪く、
「すまんな、お前に聞きたいことがある」
「なんなりと」
「その前に紹介しておこう、防壁都市のマルガリータだ」
「私はクーマ様の従魔、名を頂き今はハクジャと名乗っている」
「ハクジャ、お前は俺の従者だ、分かったか」
「ありがたきお言葉、感謝いたします」
「私は防壁都市守備隊、隊長マルガリータ、いや、マルガだ、よろしく頼む」
「こちらこそ宜しく」
「人型のしきたりを知らぬ故、失礼があれば許して欲しい」
「かまわない、気にはしない」
「それとクーマ様、今後は私もマルガと、お呼び下さい」
「わかった」
「御主人様、我に聞きたいこととは? 」
「俺の大事な人に贈り物をしたい、何かいい素材はないか」
「それはご主人様の守るべき者、で宜しいですか」
「そうだ」
「では、我の身をお使い下さい、我の鱗は魔力に反応し変化もします、それに魔力を溜めておくにも最適かと」
「自分の従者の皮を剥ぐ気はない」
「もうしわけありません、では、対岸に群れを作る、レプタイルの中に透き通った鱗を持つものがおります、我と同等、それ以上かと思われます」「ただ少し手こずっており、まだ制圧できておりません」
「そうか、分かった俺が行く」
「いえ、ご主人様の手を煩わせるほどではありません、暫しお待ち頂ければ片付けてまいります」
「いや、一緒に行こう、そいつは俺が倒す、いいな」
「承知致しました、直ぐに向かわれますか」
「ああ、そうしよう」
「では、こちらをお収め下さい」
その手には二振りの剣がある、
長めの短剣と短い短剣、
「これは? 」
「勝手ながら、ご用意させていただきました」
クーマ様は、受け取り刃を確認する、少し降ってみて鞘に戻す、二振りを確認した後、
「いい出来だ、素材は? 」
「それは・・・」
「どうした? 」
「申し訳ございません」
そう言って自分の唇を指で押し上げる、牙が上下二本無くなっている、
クーマ様が一瞬睨見つける、
「もうしわけございません」
暫く沈黙した後、
「ハクジャ大事に使わせてもらう」
「有難う御座います」
「正し、二度とするな、いいな」
「はい、二度と致しません」
「来い」
クーマ様がハクジャの頰に手を当てる、みるみるハクジャの魔力が上がる、
「こ、これは」
「大事にしろ」
「有難う御座います、この魂尽きるまでクーマ様の為に尽くします」
「期待している」
「はっ! 」
「よし、行くぞ、ポニー、マルガを頼む」
グアウ、
「では、御主人様は我が」
ハクジャがシロヘビに変わる、その瞬間押さえていた魔力が広がる、
ポニーは何処か嬉しそうにシロヘビを見ている、
私は全身に魔力を受け固まってしまった、
「すまぬ、少し抑えよう」
『シロヘビが魔力を抑えてくれた?
身体が動く、何て力だ、この私が動かなくなるとは、それよりも、この様な魔獣を従えるとは、クーマ様の底が見えない』
「マルガ、大丈夫か? 」
慌てて返事を返す、「大丈夫です」
「少し急ぐ、ポニー行くぞ」
グアウ、
「ハクジャ、いけ」
「はい」
二匹の魔獣は、生い茂る草を苦ともせず疾走する、
暫く進んだ所で広場に出る、既にシロヘビはハクジャに戻り、クーマ様の横に立っている、
私は、ポニーから降り、臨戦態勢に入る、前方には無数の魔獣の気配、しかも強い、奥には感覚が狂ったのかと思うほどの強い気配がある、
『先ほどのシロヘビの魔力を受けていなければ、ここで固まっていたかもしれない』
「そういう事か! 」
クーマ様の横でハクジャが、ニッコリ笑う、迫力がある、『少し怖い・・・』
『感謝する、腹は決まった』




