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第4話

翌朝、

まだ薄暗いうちに目が覚めた、空は白んでいるが、日の出には少し早いようだ、

ベッドを出た俺は窓辺の椅子に座り

遠くの山陰を見ていた、日が昇り始める、

山の向こうに顔を見せた太陽が、手前の森、そして防壁を照らし始める、

「きれいだ・・・」

ここから見える森は危険からは程遠く、緑の濃淡が美しい、朝靄が残る森は幻想的でもある、

城壁の上にはすでに衛兵が見える、陽の光が部屋に届く頃、

ノックの音がした、

「どうぞ」

扉を開けメイドさんが入ってくる、

「おはようございます、よくお眠りになりましたか」

「はい、こんなにぐっすり眠れたのは久しぶりです、皆さんのお気遣いのおかげです」

「ありがとうございます」

軽くお辞儀をされる、

「こちらは昨日お預かりしました着衣と装備になります、ご確認ください」

「有難うございます」

服も装備も綺麗に手入れされている、

(すごい、破れも補修されている)

「すみません修理までしていただいて」

「こちらこそ喜んでいただけて光栄です」

にっこり笑う

「まもなく朝食の用意ができますので、お迎えにあがります、ご準備下さい」

「それとお嬢様から、服はそのままで結構ですよ、とのことです」

「わかりました」

メイドさんが、一礼して部屋から出ていった、

(このままでいいのは助かる)

部屋のドレッサーの鏡を見ると、無精髭に寝癖のおっさんがいた、

「こりゃまずいな・・・」

せめて寝癖だけでも直しておこう、

ドレッサーの前にあった櫛を借りて、寝癖だけは直しておく、

(無精髭は・・・髭剃りはないか)

仕方ない装備からナイフを取り出し髭を剃る、

(めっちゃ切れる)

ナイフを見直す・・・

(これも手入れしてある見事な砥だ)

ノックの音がした、

シフォンの声が聞こえる、

「お早うございます、クーマ様」

「お早うございます、シフォン様、今日もお綺麗ですね」

はっ、とした後少し顔を赤くして、いたずらっ子の顔になって、顔を近づけてきた、胸の谷間が見える、

「どこがきれいなんですか? 具体的に言ってください」

顔が真っ赤だ、瞳が潤み唇が艶っぽい、思わずつばを飲み込む、妄想が暴走する、(ヤバイ)

妄想を振り払い、答を考える、

シフォンはスッと離れ、ニッコリ、笑って、

「今度ゆっくり聴かせてくださいね♡ 」

(やばかった、我を忘れるところだった)

思わず苦笑いしてしまった、

シフォンは俺に腕を絡めて、食事にしましょうといい、俺を連れて部屋を出た、胸の感触が腕から伝わる(ある意味拷問だ)

屋敷の中を移動して昨日とは違う部屋に、そこは少し小さな部屋、(それでも十分広い)

部屋には装飾はほとんどない、

それでも椅子やテーブル・戸棚、どれをとっても素人でも分かるくらいの高級品でよく手入れされている、

奥からは、いい香りが漂ってくる、

シフォンは腕を離し自ら椅子を引き、俺に勧めてくれる、

「ありがとう」軽く礼を言って椅子に座る

シフォンは対面にすわる、

もちろんメイドが椅子を引いている、

シフォンが座ったのを確認し、メイドたちがすぐに料理を運び始める、

メニューはサラダ・フルーツ・スープ、メインは厚めのベーコンエッグ、後は焼きたてのパンは湯気が立っている、飲み物はトマトジュース?っぽい、

朝から豪勢だ、

シフォンと今日の予定を話しながら、食事を楽しむ、食後のコーヒーを飲みながら、シフォンから周辺の情報収集をする、

防壁都市には2つの門があり

俺が来たほうが西門、

反対にあるもう一つの門が東門、

現在、東門はほとんど閉鎖されている、かつての鉱山に向かう道があるが、危険な魔獣が多数出没するため、閉鎖し結界を張っているらしい、

北と南には門はない、こちらも数は少ないが危険な魔獣が住み着いているらしい、

南の湖の対岸には

巨大な白いヘビの魔獣が出る、非常に賢くたまに姿を見かけるらしい、全身を見たものはいない、

北は森、ひたすら森、その先には高い山、猟師以外は行きたがらない、

薬草素材に関しては、東の鉱山付近に回復薬の素材、

北も同じようなもの、

南の湖周辺の湿地には蘇生薬の素材、

西にはほとんど無い、

「とりあえず南へ行ってみます、他に何か情報はありますか? 」

「ヘビは対岸でよく目撃されています、こちら側ではあまり目撃されていません、ヘビが出る関係なのか、それ以外の魔獣はあまり見かけません、

ただ、水際はよく魔獣が潜んでいますので注意が必要です」

「わかりました、近づきすぎるのは危険と」

「そうです無理はなさらないでください」

「大丈夫です、まずは様子見からですよ」

「では今日の予定は、防壁南の湖周辺の調査および素材の採取ということで」

「わかりました」

「では西門までは馬をお使いください、ここから門までは少し遠いので・・・」

「馬ですか・・・」

「どうかされましたか? 」

「実は馬には乗ったことがなくて・・・」

「大丈夫です、歩いてもたかが知れています」

「駄目です、私がお送りします」

「いえ、結構ですよ」

「わたしに送られるのは嫌だと? 」

「そういう意味ではありませんが・・・」

「わかっています(にっこり)」

「クーマ様、遠慮はおやめください、正式に依頼を出した以上、私を含めダルク家は、冒険者クーマ様を全面的にサポートいたします、ですから必要なこと手間を省けることはどんどん申し付けてください、よろしいですね! 」

「いや、しかし・・・」

「ねっ! 」

「はい! わかりました」

(迫力負けした)

「よろしい」

(いい笑顔だありがたいな)

「では、よろしくお願いします」

「はい」(にっこり笑う)


部屋で装備を整え、今は屋敷前

シフォンが慣れた手つきで

馬を連れてきた・・・馬?

『馬には見えん・・・これは”熊”?』

熊に鞍が乗せてある、よくシフォンに懐いている

名前は”ポニー”

『ポニーっどう見てもベアーだろっ! 』

体長にして約3メートル、

かなり大きい、どう見ても魔獣だ、

その熊が子犬のようにシフォンに甘えている、

よく懐いている

(ちょっと可愛く見える)

突然、熊に緊張が走る、

シフォンを庇うようにこちらを威嚇する、

シフォンが声を掛けるが、聞こえていないようだ、

俺は熊の目を見て優しく、心のなかでつぶやく、

『落ち着け、俺は敵ではない』

一瞬怪訝な顔を見せた次の瞬間、熊は大人しくなりキョトンとした顔で、そっと近づいてきた、もう緊張感はない、

熊は俺を見つめて頭を押し付けてきた、そっと頭に手を置き、

「よろしく頼む」と声をかけた

ガゥ! と一声吠えて、ポニーは全身でじゃれ始めた、

体長3メートルの熊、察してくれ

すぐにシフォンが止めに入る、他のメイドも少し慌てている、俺は下敷きになっている、ポニーは我に返って、バツが悪そうにシフォンに甘えている、

「クーマ様大丈夫ですか!? 」

「すみません普段は大人しいのですが、よほどクーマ様と、遊びたかったのでしょう」

「私は大丈夫ですよ」

(ちょっと重かっただけ)

その後は何故か懐かれ、俺のそばから離れなくなった、俺が注意すると大人しくシフォンの言うことを聞くようになった、


メイド達がポニーに荷物を載せている、

鞍は熊用・・・なのか?

少し変わった形をしている、シフォンが鞍の前の方にまたがり、俺に手を伸ばす、シフォンの後ろにまたがる感じになる、

シフォンは俺の手を取り自分の腰のあたりに持っていく、

「ちゃんと掴んでおいてください♡ 」

俺の後ろには背もたれがありその後ろには少し大きめの荷台がついている、

鞍は弾力のある素材でできているようで座り心地は非常に良い、高さもあるので見晴らしもいい、

「では行きましょう」

荷物が積み終わったようだ、シフォンの言葉を合図にポニーが立ち上がり歩き始める、

俺達はメイド達に見送られ屋敷を後にする、

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