表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/81

第37話

「それは貴方の自由です、どうされますか? 」

じっとシフォンを見つめる、

「信じましょう」

「では、お話しましょう、ノランさん達も一緒にどうぞ」

扉を開けてノランも入って来る、

アルベルト、マルガ、アクス、ジェルダもいる、

部屋の影からメイド達が姿を現す、

「いつから気づいていたのですか? 」

「部屋に来られたときからなんとなく」

「ところでこれに毒は? 」

一口飲む『やっぱり美味い! 』

「入っていません」

「それは良かった」お互い、ニッコリ笑う、

「先程、たぶん異世界と申し上げたのは、私には16週ほどの記憶しかないからです」

「16週? 」

「はい、それ以前の記憶はありません」

「なのに体は何かを覚えているようで、時々、自分自身にも違和感を覚えます、それに私の着ていた服は、この世界には無いのでは? 」

「それらを踏まえた上でお聞きください」

「わかりました」

俺は目覚めて? からの今日までを一部を除き出来るだけ正確に話した、話が終わる頃には、シフォンは俺に寄り添っていた、

他のメイドも集まり話を聴き、俺にコーヒーのお代わりを用意してくれた、どうやら信じてくれたようだ、

シフォンは改めて姿勢を正すと、

「私も、私たちについて真実をお話します」

少し悲しそうな顔をした、

「必要ありませんよ、興味がないと言う訳ではありません」

「しかし・・・」

「その話はいずれお聞かせください、今は、いい人たちそれでいいでしょう」

「わかりました」

ほっとした顔になる、

「この話は終わりです、それとクーマ様、私のことは”さん”ではなく呼び捨てでお願いします」

「いや、それは・・・」

「いいですね! 」

「あ~、はい」言い返せない、

「わかりました、そのようにします」

「皆、今後はそのように対処しなさい、アルベルトもわかりましたね」

「はっ、女王! 」

シフォンが睨む、

アルベルトが焦って口を押さえている、

シフォンがため息を吐く、

改めて立ち上り、俺に向かって姿勢を正す、今までとは違う凛々しい顔、

「私はシ・フォニア、夢魔族の女王です」

「えっ『女王だったか、上位の者とは思ったが、女王とは』」

「クーマ様は今後もシフォンとお呼びください」

「はい」

「マルガ、衛兵にも伝えなさい」

「畏まりました」

「さあ、皆仕事に戻りなさい」

「畏まりました、失礼いたします」

メイドたちは俺とシフォンを残し部屋を出ていった、

『敵でないことは認めてくれたか、まもなく日が変わる、さっさと寝て明日に備えよう』

シフォンを見る、先ほどの凛々しさは消え、少し俯く可愛い少女がそこにいる、

なんとなく頭を撫でてみる、

頬を染めこちらをまっすぐ見る、

「では寝ましょうか」

えっ、という顔をしたシフォンは、もじもじしながら、遠慮気味に、

「はい」と答える、

シフォンに部屋を出る気配はない・・・

『ありゃ、誤解させた? 』 

「あのシフォンさん・・・」

拗ねた顔で俺を見たシフォンは潤んだ瞳でもじもじしている、

「”さん”ではなく呼び捨てで、と申しました」

「あっ、そうでしたね、それでは私も呼捨てで、お願いします」

「それは出来ません! 」ピシッと答える、

その後直ぐに真剣な顔で話しかける、

「クーマ様、今まで鑑定を受けたことはありますか」

「いえ、先ほどもお話したように・・・」

「そうでしたね・・・」

「クーマ様はこの世界の常識から少しズレているというか、おかしいというか・・・」

「おかしいですか? 」

「あっ、失礼しました」

「気にしていません、確かに少しズレているというか、よくわかっていないようです」

「よければ私が、少しお教えして良いですか」

「それは助かります」

「わかりました、それでは明日の作業はお休みください」

「いやそれは依頼の件もありますので」

「構いませんアルベルトより上位の私が言うのですから」

「そうでした・・・」

「あっ、少しお待ち下さい」

すくっと立ち上がり、扉に向かってスタスタと歩き始める、扉の前まで行き溜息をつく、

いきなり扉を開ける、

扉の前にはノラン他、数名のメイドがいる、

ノランはにっこり笑って、その後真面目な顔で、

「女王様、先に休ませて頂きます」

メイドたちは慌てて走っていく、

シフォンが一言、「廊下は走らない! 」

メイドたちが走るのをやめた、気配がする・・・

シフォンは大きなため息を吐くとこちらに振り向き、にっこり笑って戻ってくる

「すみません・・・」

「いえ・・・」

二人は顔を見合わせて笑った

「もうあの子達ったら・・・」フフフッと笑う、

「さて私は明日何をすれば? 」

「そうですね・・・取り敢えず今日は一緒に寝ましょう」

照れた顔で俺に抱きついた、

(長い夜はまた別の話で)


翌朝、

いい香りがする、

目が覚めた俺の横では、シフォンが寝息を立てている、昨日の夜はお互い頑張った・・・

寝ぼけた視界の隅に動くものが見える、

「ノランさん? 」

「おはようございます」

『なんでいる? 』

「朝食をご用意致します、今日はこちらにご用意いたしますので、お嬢様とご一緒にどうぞ」

すっ、とこちらに近づいてきて、シフォンの顔を覗き込む、

「あらっ幸せそうな寝顔、何時ぶりでしょうかこんな寝顔は・・・」

優しい顔で見ている、

「あ、クーマ様、私に、さん、は必要ありません、いいですね」

「はい」

「それとクーマ様、そろそろ起こしてあげてください、もうすぐ昼食の時間になります」

「えっ、もうそんな、すみませんすぐに支度します」

「いえ、ごゆっくりどうぞ、お嬢様が目覚めましたら、お呼びください」

そう言って部屋を出ていった、

『しっかり見られたな』

シフォンの頬に軽くキスをして、耳元に声を掛ける、

「シフォン朝ですよ〜」

「う〜ん」と一声、うっすら目を開ける、

「おはよ」

「おはよ」と返した後また目を閉じる、

すぐにぱっちり目を開け、真っ赤な顔を布団で隠す、非常に可愛い、

少し布団をめくり、長めのキス、

まだ少し寝ぼけているようだ、

「もうすぐ昼食の時間ですよ」

俺が言うと、あわてて飛び起きる、

自分の姿を見て、また、あわててシーツを体に巻きつけて、ベッドから落ちた、

シーツを巻いたまま、すくっと立ち上がり、

ニッコリ照れ笑い、

そのままテーブルの、上のベルを鳴らす、

すぐにノックの音が聞こえ、

ノランが姿を現す、後ろに数名のメイドを連れている、

ノランはシフォンに近づき、挨拶をする、その時、耳元で何かを囁いた、

「頑張りすぎです」

途端にシフォンの顔が耳まで真っ赤になって、

ノランに怒っていたが、顔は笑っていた、

ノランとメイドたちも一緒に笑っていた、

しばらく話をした後、

メイドたちは俺を窓際のテーブルに案内し、遅い朝食を準備し始める、

シフォンは部屋の衝立の影で服を着て、こちらへやってくる、

メイド達が用意してくれた朝食を、二人で食べながらシフォンが話し始める、

まずは俺の力について、

この屋敷に来た時に俺を鑑定したらしい、

結果だけをいえば鑑定できなかった、

アクスも何度か挑戦したが、鑑定できなかったと、

わかったのは、絶対に、"F"ランク冒険者ではないということ

最低でも"S"ランク以上の実力者であること、

理由については、

「いくら逃足が"A"ランク相当でも、

"S"ランクと"A"ランクでは次元が違います

"S"ランクとは、ある意味、化物なんです・・・」

「マルガには言わないでください、気にしていますから」

「なので探知を誤魔化すことは、不可能に等しいのです」

「そして魔法についてですが」

「確かにクーマ様の魔力は、わずかしか感じません、ただ、説明は難しいのですが魔力とは違う力を感じます」

「先日ジェルダが取り乱したのは、それを強く感じたみたいです、あの子は魔力感知に優れていますので」

「それらを踏まえた上で先日のお話を考えると・・・」

「え〜と・・・」

「先日の探索の話は、半分事実半分は嘘・・・ですね」

ジロッとこちらを見る、

『怒ってる』

「私に嘘はつかないと、おっしゃいましたよね!

「すみません! 」

「言い訳になりますが、お約束したのは昨晩です」

シフォンは暫く睨んでいたが、にっこり笑う、


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ