第35話
外に出て直ぐに、シフォンがポニーを呼んだ、
離れた場所から大きな物体がかなりのスピードで駆けてくる?
だんだん大きくなる『突進! 』
『止まれるのか? 止まる気はあるのか? 』
『スピードは落ちない? 』
シフォンが叫ぶ!
「ポニー止まりなさい! 』
ポニーがはっとして急ブレーキをかける、
砂煙が上がるが止まれない、かなりの勢いで俺に激突? 俺はつい受け止めてしまった、周りからは驚愕の目、
『やってしまった』
騒ぎを聞きつけ、マルガリータとアクスが飛び出してきた、
ポニーは俺を抱きしめ顔中を舐める、
シフォンが慌てて駆け寄り、ポニーを叱っている、ポニーもやってしまった、という顔をしているが俺を見てまた顔を舐める、
マルガリータが近付いてくる、
「クーマ殿、怪我はないか? 」
「あ、あぁ、幸いにもポニーがブレーキを掛け抱き留めてくれたので打撲程度ですかね」
『言い訳だな・・・(冷や汗が出る)』
遅れてきたアクスは、訝しげな顔をしている、
『そりゃそうだ』
シフォンがまだ怒っている、
ポニーはしょぼんとして俺の後ろに隠れる、
怒るシフォンをなだめ、ポニーを諭す、
ポニーはシフォンにすり寄る、
シフォンの顔が綻ぶ、ポニーが又、俺の顔を舐める、
「さぁ、ポニー、クーマ様と私を屋敷まで運んで頂戴」
ポニーは一声鳴き伏せる、
シフォンは颯爽とポニーに跨り、俺に手を差し出す、その手を握り後に乗る、
ポニーが一声吠え、歩き始める、
ノランが馬に乗って駆けてくる、
「お嬢様、私を、置いていくのですか? 」
「あっ、忘れてた」
「忘れてた? ですか・・・」
「ノラン冗談よ・・・」
「・・・フフフ、わかりました」
「ノラン、怖いんですけど・・・」
暫く歩き街を出た辺りで、ノランが声を掛ける、
「クーマ様、聞いてください」
「クーマ様が出かけてから、お嬢様はポニーと一緒に右へ行ったり左へ行ったり、「あ〜、クーマ様、無事かしら? 怪我はしてないかしら? 早く帰ってきて〜」と四六時中、ず〜っと、うろちょろしてました、ポニーが、途中で呆れてました」
「ちょっと、ノランやめて・・・」
グアウゥ〜とポニーが相槌を打つ、
「ポニーまで、やめて・・・」
ノランがニヤッと笑う、
「ちょっと、ノラン! もうやめて、お願い・・・」
「駄目です」
グアウ・・・
ポニーも同意している、
「クーマ様、昼間はまだ良かったんです、日が暮れてからが大変で」
「あぁ〜あぁ〜あぁ〜! 」
シフォンが抵抗している、
「もう、周りに当たり散らすは噛み付くわで、それはもう周りにいた衛兵の方に迷惑をかける、かける、それはもう、なだめるのが大変で」
抵抗は無意味だった・・・
シフォンはポニーの背中に顔を埋めてプルプルしていた、
ノランのスッキリした横顔が美しい、
屋敷に戻ると数人のメイドが迎えてくれた、
ノランが先に馬を降りメイドに手綱を渡す、
「お嬢様お帰りなさいませ」
「クーマ様ご無事で何よりです」
「ご心配をおかけしました」
シフォンはまだ突っ伏したままだ、
「ノラン様、お嬢様はどうされたのですか? 」
「気にしなくて構いません」
「さぁ、お嬢様、降りてください」
「いやだ、ここにいる、ノランの意地悪」
「お嬢様! 」
俺はノランの顔を見る、ノランがにっこり笑う、
俺はポニーから降り、シフォンに手を伸ばす、
シフォンは横目でちょっと見て、俺の首に手を回す、
俺はシフォンをお姫様抱っこして屋敷に向かう、
「ノランさんポニーを頼みます」
「はい、お任せください」
「ポニーまたな」
グアウ、一声鳴いてスリスリしてくる、
シフォンがちょっと頭を撫でる、
「さぁポニー行きましょう」
ポニーはまた一声鳴いてついて行く、
メイドが一人声をかけてくる、
何時もジェルダと一緒に作業している、メイドさん、確か、スーだったかな、
「クーマ様、採取された素材は届いております、
勝手ながら先に処理を始めております」
「今日も残業です・・・」小さな声で呟いた、
「有難うございます『そして、ごめん』」
「気をつけて採取したつもりですが、いかがですか」
「大変丁寧に採取しておられます、かなりいい素材です」
「良かった、今後は少し落ちると思います、慣れると少し雑になるかと」
「分かりました今の品質であれば丁寧すぎるぐらいですので、多少雑にしていただいても大丈夫かと思います、ただもう少し少ないほうが・・・」
「分かりました、よろしくお願いします」
「それでは屋敷に戻ります」
「はい、では、失礼いたします」
俺はシフォンを部屋まで運ぶ、
「シフォンさん・・・」
「着きましたよ・・・」
「シフォンさん・・・」
シフォンはイヤイヤして離れない、
俺はシフォンを抱いたままソファに座る、
膝に乗せて軽く抱き寄せ頭を撫でる、
シフォンは大人しくじっとしている、
暫くすると、ぼそっと何かを言っている、
「どうしました? 」
「心配しました・・・凄く心配しました」
「すいません」
「約束しました・・・夕食までに帰るって」
「すいません」
「罰・・・」
「えっ」
「罰、約束しました・・・」
「あ〜、はい、何をしますか? 」
「キス・・・」プルプルしてる、
「シフォンさん・・・」
ゆっくり俺を見て・・・目を閉じる、
唇にそっと触れる、シフォンが抱きついてきた、優しく抱きしめ、濃厚なキスを、
ノックの音がする、
ノランが入って来る、
「お嬢様」
「ノ、ノラン」
シフォンが真っ赤になって、ソファに顔を埋める、
「はぁ~、お嬢様、クーマ様をお借りします」
「へっ・・・」
「クーマ様、宜しいですか? 」
「は、い・・・」
ノランに連れられ、部屋を出る、
「ちょっ、ノラン! クーマ様を返せ〜! 」
「クーマ様ぁ〜」
部屋の中からシフォンが叫んでいる・・・
「ノランさん・・・良いんですか? 」
「はい」ノランは笑っている・・・
「大丈夫です、直ぐに来ますから」
屋敷のエントランスにつく頃、シフォンが、追いついてきた、
「ノ〜ラ〜ン〜、クーマ様を返せ! 」と言って俺の腕をつかむ、
「はいはい、どうぞ、続きは夕食の後にどうぞ」
「いいの!? 」すごい笑顔だ、
「な、わけないでしょ! 」『このエロ娘! 』
「ケチ! 」
「お嬢様〜! 」
「ごめんなさい・・・所で何処に行くの? 」
「作業場に・・・今日も大量だったのですが、一部に問題があったようですので、様子を見に行きます」
「問題ですか? 」
「作業は誰が? 」
「作業はジェルダが指揮しております」
「いつもの方ですね」
「そうです、ここでは一番の手練れです」
「わかりました、クーマ様行きましょう」
シフォンが手を引いて歩き出す、
作業場は結構大騒ぎになっている、
ノランが声を掛ける、
「ジェルダ」
ジェルダが小走りにやってくる、
「お嬢様、お帰りなさいませ」
「作業はどうですか」
「大変いい素材です、ただ鮮度が大事ですので、この量は大変です、それと少し問題が」
「大体、南の湖で魔獣に邪魔されず、こんなに大量に確保するなんて、あの人は馬鹿なんですか? 」
シフォンが額を押さえる、
俺はシフォンの後ろから「すみません」と一言謝っておく、
ジェルダの顔が真っ青になっていく、
突然焦って謝り始める、
「すいません! 本心じゃないんです! 殺さないでください! 」ときれいな土下座を見せる、
『いや、殺さんけどね』
唖然とする俺をよそに、すかさずノランがジェルダを外へ連れ出す、他のメイドも集まり、ジェルダを連れ去っていく、『何が起きた? 』
シフォンが焦った顔で俺に謝ってくる、
『何が、何やらようわからん』
「ミー、問題とは何があったんですか? 」
シフォンが聞く、
「あっ、はい、素材の一部に魔力残穢が強く残っていて、何か心当たりは無いかと」
そこへ、慌てた様子でノランが帰ってくる、シフォンに頭を下げ謝って何かを話している、
シフォンは俺に少し用事ができたので、と、ノランに俺を任せると言って、足早にその場をあとにする、
『何があった? なんとなく分からんでもないが・・・』
ノランはシフォンを見送ったあと、
「それで問題は解決しましたか? 」
「いえ、今聞いた所で」
「何があったのですか? 」
「はい、素材に強い魔力残穢があると」
「ミー解決策は? 」
「この強さですと一度、浄化を掛けないといけません、その際に少し素材が使えなくなります」
「なるほど、クーマ様いかがなさいますか? 」
「分かりました、手がかかる様なら無視して頂いて構いません、対応は、お任せします」
「ミー、どうですか?」
「折角の素材ですから無駄にしたく有りません、ですのでコニー様にご助力願えればと」
「分かりました、コニーに伝えます、それ以外に問題は? 」
「ありません」
「分かりました、では作業に掛かりなさい」
「はい」
「クーマ様、では参りましょう」と俺を屋敷へ案内する、
『そうだアルベルトに報告しないとな』
「ノランさん」
「はい、クーマ様、私を呼ばれる際は、敬称抜きでお願いします、いろんな意味で示しがつきません」
「そうなんですか? 」
「そういうものだとご理解ください」
「わかりました」
「ところでどうされましたか? 」
「はい、アルベルト様に、今回の件ご報告をしなければいけません」
ノランは少し考え、
「そうですね、すぐに取り次ぎます」
「おいおい先に主に報告だろ? 」
ノランは俺を執務室に案内し、
「少しお待ち下さい」とお辞儀して部屋を出ていく、




