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第31話

ポニーが気付く、シフォンも気付いた、

しまった油断した! 

アルベルトは間に合わない、ノランとアクスが走ってくる・・・

皆、間に合わない、

グァ、ポニーが一瞬笑ったように見えた、

シフォンの体をポニーの毛が包む、

次の瞬間ポニーが立ち上がる、と同時に腕を振り上げる、魔獣の顎が砕ける、

その腕を今度は上から叩きつける、魔獣は絶命した、

叩きつけられた魔獣は、頭がくだけ、地面が少し陥没している、

シフォンを背中からおろし、

フンフンと駆け寄ったノランに押し付ける、

ノランがシフォンを抱き寄せる、それを見たポニーが一声なく、グルァー!

そのまま門に向かう、

交戦する衛兵の横を通り過ぎながら、

腕を振る、魔獣が吹き飛ぶ、

壁に叩きつけられるもの、

切り裂かれるもの、

どんどん撃退していく、

門の外まで来て周りを見回す、

魔獣たちは警戒して距離を取っている、動かない、

ポニーが唸る、魔獣たちは明らかに怯えている、

その時、新たな波動が走る、魔獣は怯える、

しかし、シフォン、ノラン、マルガ、アクス、アルベルトは一瞬驚きの表情を見せたが、

すぐに、ニヤリと笑う、衛兵たちは、少し戸惑っているが冷静だ、

魔獣がポニーとアルベルトに向かって飛びかかる、

ポニーは一声吠えて、迎撃する、

巨体が疾走する、魔獣が飛び散る、速い! 

一瞬で魔獣を薙ぎ払う、

アルベルトも剣を振る、その一撃で魔獣が砕け散る、

『えっ、こんなに威力があったか? 』

一瞬我を忘れ自分の剣を見る、

その隙に魔獣が飛びかかる、

アルベルトの動きが止まっている、 

「アルベルトっ! 」

マルガが叫び地面を蹴る、

『私は、また、間に合わない』 

その瞬間目の前に魔獣がいる、アルベルトに飛び掛かって来た魔獣が半分になり、そのまま崩れ落ちる、

「マルガすまん助かった」

今度はマルガが自分の剣を見つめている、

『何が起きた? 』

「マルガっ! 」

アルベルトの声が聞こえ、我に返る、

「今は考えるな、目の前の魔獣を撃退する」

魔獣は、もう、門を越えれない、

アクスがシフォンのもとに近づく、

「女王、御無事ですか」

「心配いりません、東門はどうでしたか」

「はい、殆ど魔獣はいません、むしろ、逃げている様に感じます」

「それに、マーリー達がが来てくれました、それにケン達も」

「そう、なら心配いらないわね」

「先ほどの波動は・・・」アクスが問う、

「・・・でしょうね・・・ウフフ」

シフォンが笑う、


時刻は夕暮れ、

辺りには魔獣の死体が積み重なっている、

片付けに追われ、衛兵たちは皆疲れているはずだが、その顔は生き生きとしている、

幸いにも死者はなく、

大きなけがを負った者は殆どいない、

『あの波動は何だったのか? 私達には影響はなかった、むしろ心地よかった、多分あれはクーマ様だろう』

『だが、魔獣にとっては恐ろしかったようだ、我を忘れて暴走するほどに・・・』

しかし、門前のアルベルト、マルガ、ポニーの壁は強力すぎた、我を忘れ暴走する魔獣は、彼らにとっては敵では無かった、

気がつけば、魔獣の多くは逃走しており、

残った魔獣も、逃げ場を失い、退治された、

今は魔獣の鳴き声さえ聞こえない、

多くの衛兵と応援に駆け付けたマーリー達が、戦いの片付けと門の修理を手伝っている、

その中にジェルダの姿が見える、

実は、ジェルダは防壁都市内では、

最高ランクの魔法士である、

故にクーマの魔力とも神力ともいえない力、理解出来ない力が恐ろしく、どちらかと言えば怖い、

「ジェルダ」

シフォンが声を掛ける、

振り向き跪く、

「女王様、結界を修復致しました」

「ご苦労さま、流石、ジェルダね」

「はい・・・」

「どうしたの?」

「いえ・・・」

何故か歯切れが悪い、

シフォンは修復した結界を見る・・・

『何? わからない、だけど、何かが違う』

「ジェルダ・・・これは? 」

「わかりません・・・」

「わかりませんが、強度が大幅に上がっています・・・」

「それに・・・」

「それに? 」

「認めたくありません・・・」

「認めたくない? 」

もう一度結界を見る、先ほど感じた違和感、

『認めたくない? 』

『魔力では無い力、クーマ様・・・』

「これはクーマ様の力・・・」

「認めたくありません・・・」

「でも、間違いありません・・・」

「私も影響を受けています」

「影響を受ける? 」

「はい」

「・・・ノラン」

「はい」

「ジェルダの言っている事がわかる? 」

「はい、何となくは」

「・・・クーマ様? 」

「はい」

「分かったわ、後で皆を集めて頂戴」

「わかりました、夕食後で構いませんか? 」

「あっ、そうね、もう、そんな時間ね」

「マルガ、いますか? 」

少し離れた所から返事が聴こえ、すぐに走ってくる、

「お呼びでしょうか? 」

「片付けはどうですか? 」

「はい、魔獣の片付けはほぼ終了かと、現在はメイドが中心となり、解体、素材の採取を行っております、暫く肉には困りません」

「素材については、貴重なものも多く、慎重に処理しております」

「門についてはジェルダが結界を張り直してくれましたので、防衛には問題ないと思われます」

「わかりました、手の空いたものから食事を取らせて」

「有難うございます、アクス聞いたか? 」

「はい、直ちに指示します! 」

そう言って走っていく、

アルベルトが、近付いてくる、

「アルベルト、外はどうですか? 」

「魔獣はいません、と言うか、逃げ散った、と言ったほうが良さそうですね」

「逃げ散った? 危険は無いと? 」

「はい、当面の危険はありません、しかし油断は禁物です、先の事もありますし」

「そうね・・・」

「クーマ君の事ですか? 」

「・・・ご無事でしょうか」

「お嬢様、お分かりになるはずですが」

「ノラン・・・」

「クーマ様は無事です・・・」

『わかっている・・・』

「クーマ様は無事・・・(自答してみる)」

『わかっている・・・でも・・・』

『クーマ様、早く、早く帰ってきて・・・』

「それよりも、お嬢様、クーマ様は約束を破りましたね」

ニッコリと笑う、

「約束? あっ、」

「夕食には帰るって約束した、そうね、罰を考えましょう・・・」

「フフフ、エヘッエヘッエヘへ・・・ジュル」

『このエロ娘』

「お嬢様、変態ですよ」

「はっ、つい妄想が・・・」真っ赤になる、

「どんな妄想ですか! 」

シフォンは遠くを見つめる・・・『クーマ様、今何をなされていますか? 』


時刻は深夜、日付が変わる少し前、

部屋にはシフォンを初めノラン、アルベルト、マルガ、アクス、

それに屋敷の六人のメイド、マーリー、アニー、アルマ、セルファ、コニー、そしてジェルダ、が集まっている、

シフォンが声を掛ける、

「まず初めに、皆の働きに感謝します、よく守ってくれました、女王の名において礼を言います」

皆が一斉に姿勢を正す、

アルベルトが答える、

「我らは女王と共にあり、女王を守る者、

お言葉に感謝いたします」

皆が礼をする、

「女王」

マルガが話しかける、その顔は、何処か悔しそうだ、

「マルガ、どうしました? 」

「今回の戦いの中、女王の身を危険に晒してしまった事、面目ございません」

アルベルト、ノラン、アクスも同じ様な顔をしている、

「構いません、貴方がたが私を守護するように、私も貴方がたを守る者、マルガが兵を助けてくれた事感謝しています」

「もったいなき御言葉、感謝致します」

「それと、アルベルト、ノラン、アクス、マーリー、アニー、セルファ、コニー、ジェルダ、貴方がたも良く兵を守ってくれました、感謝します、他の者にも伝えて下さい」

「お言葉、有難うございます、皆に伝えます」

「それと、ポニーにもご褒美をあげないと」

「お肉を用意しておきます」

ノランが答える、

「ええ、お願い」


「さて、ここからは皆、畏まらないでいいわ」

「女王・・・それは・・・」

シフォンがアルベルトを制して、言葉を続ける、

「今更でしょ? 」

「・・・確かに・・・」

ノランが確認する、

「いつも通りで宜しいのですか? 」

「ええ、構いません」

「ですが、マーリー達も増えましたし、昼のお浚いだけは、しておきましょうか」

「わかりました、では、私から説明しましょう」アルベルトが声を掛ける、

「では、マーリー」

「はい」

「農園の丘の件はどこまで把握している」

「はい、クーマ様案件とお聞きしております」

「内容は? 」

「噂レベルで宜しければ」

「構わん」

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