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第30話

時間はクーマが出かけた頃、

クーマの姿が見えなくなると、

マルガリータとアクスがシフォンに近づく、

マルガリータがシフォンを見つめる、

シフォンの雰囲気が変わる、

凛としたその姿は今までの、どのシフォンとも違う、

周りの者全てが跪く、

「ポニー厩舎で休んで」

ガウ、

「マルガ、部屋を・・・」

「はっ! 用意できております」

アクスを先頭にシフォンが歩き出す、その後ろにマルガ(マルガリータ)が続く、

他の衛兵が道を開け跪く、

その間を歩くシフォンには、

何処か威厳がある、

兵舎の前に衛兵が待機している、

シフォンが立ち止まる、

衛兵は一礼した後、先に立って歩き始める、

少し大きな扉の前には、衛兵が二人左右を守っている、

衛兵とアクスが少し下がり道を開ける、

シフォンが前に立つと衛兵は一礼して扉を開ける、

中ではアルベルトとノランが一礼して、

直ぐに左右に分かれ、道を開ける、

シフォンは二人の間を抜け用意された椅子に座る、

アルベルト、ノラン、マルガが席に座る、

アクスは扉を閉め、鍵をかけ、自分も席に座る、

アルベル(アルベルト)始めて、

はい、

アルベルが話し始める、

「今日ここに集まりましたのは、先日の力の件に

ついてです」

「まず、ノランから報告を」

「はい、女王、冒険者についてはクーマ様でも宜しいでしょうか? 」

「構いません」

「女王、それは・・・」

シフォンが制止する、

「まず、先日の件はクーマ様とポニーの取っ組み合い・・・? じゃれていただけで、特別な事はありません」

「じゃれていただけ? 」アルベルが聞き返す、

「はい、そうです」

「じゃれていただけであの力・・・」

「そうです、しかもクーマ様は軽く相手をしていただけでしょう」

「ちょっと待て、ポニーは確かに大人しい、しかしホーンベアだぞ」

「あれだけの力を放出する様なじゃれ合いなぞ、想像できん」

「そうですね」

「あの力であれば、充分戦闘中と言われても納得

ができる、いや、それしか考えられない」

「しかも、あれは魔力じゃない・・・」

「神力でもありません」ノランが付け加える

「あの力は何なんだ・・・」

「それにお二人はあの場におられた、防壁まで届

くあの力を目の前で受けられたはず、何も無かっ

たのですか? 」

シフォンは答える、「ええ、特には」

「ノランはどうなんだ? 」

「私も同じく・・・」

「あれ程の力を目の前で受けて、何もなかった、と」

「ええ、そうですね」

「あの力、ノラン個人の意見は? 」

「脅威ではある・・・しかし敵ではない・・・そう感じています」

「私も同じです」シフォンが同意する

「アクスはどうだ? 」

「申し訳ありません、私もノラン様と同じ意見です、個人的にも」

「おまえも? 」

「はい」

「マルガはどうだ? 」

「同じ意見です、個人的にはクーマ殿を敵にはしたくはない、と、感じております」

「おまえが? 」

「私が聞く限り、クー・・・冒険者は、"F"ランクと聞いています・・・」

「女王様」

「どうしましたノラン」

「このまま続けるのですか? 」

「どういう意味ですか? 」

「"お嬢様"・・・このまま続けるのですか? 」

少し語気が強くなる、

「ノラン!  女王に対してその言動は」

アルベルを制止して、一つため息をつく、

「アルベルありがとう」

「女王・・・」

「あなたもノランの言いたいことは、わかるのでしょ」

「・・・はい、残念ながら・・・ハハハ」

皆が少し笑う・・・

「そうね・・・皆、畏まらなくていいわ」

「でも、クーマ様は何者? 」

「ランクについては間違いない? 」

アクスが答える、

「はい、ランクは確かに"F"です、しかし現実は規格外であるとしか言えません、マルガ様はどう見ますか? 」

「わからない・・・が、勝てる気はしない」

「私も同じ意見です」

ノランが答える、

「クーマ様は魔法を使われます、ご自分では大した魔力はないとおっしゃっていましたが完全無詠唱で魔法を使われました」

「私も見ました・・・でも、あれは魔法では無い・・・」

「魔法では無い・・・どういう事ですか? 」

「ポニーが暴走? した時、たしかに力を感じました、でもあれは魔力じゃない・・・」

「何かわからないけど危険なものでは無かった、と思う・・・」


いきなり強力な魔力を感じる、

シフォン以外が一斉に立ち上がり、臨戦態勢をとる、

そこにノックの音?

いや、扉を叩いている?

声が聞こえる、

「マルガリータ様! アクス様! 」

ただ事ではない、アクスが扉を開ける、

衛兵が一人息を切らせて立っている、

「どうした? 何事だ!? 」

「強力な魔力が湖の方面から・・・」

「そのすぐ後から、あらゆる魔獣が防壁に向かってきて、狂ったように暴れています! 」

「暴れている? どういう事だ? 」

「わかりません、全てがいきなりで、現在は防壁上から迎撃しています、しかし、あまりにも数が多く・・・いったい何処にいたのか? 」

「門は? 」

「はい、西門にも多くの魔獣が殺到しています、結界も、いつまで持つか・・・」

「東門は、どうなっている? 」

「他の者が確認に行っています」

「分かった、マルガ様! 」

アクスが声を掛ける、

その時シフォンが指示を出す

「マルガ、あなたはアクスを連れて東門へ、西門は私とアルベル、ノランが行きます」

「女王・・・」

「マルガ心配するな、私もノランも腕は落ちていない」

アルベルが声を掛ける、

「女王は私たちが守ります」

ノランも答える、

「分かった、任せたぞ、女王を頼む」

「アクス、東門を確認する」

「はっ! 」

全員で宿舎を飛び出す、

そこにはポニーが待っていた、

ポニーは、一声吠える、咆哮が腹に響く、

「ポニー、そうねクーマ様と約束したものね、私を守るって」

クオーン、ポニーは答える

シフォンはポニーの背に飛び乗り、

「行きますよ・・・」と、皆に声を掛ける、

各自が持場へ向かう、

マルガとアクスは土煙を残して走り出す、

「速い・・・流石ね」

シフォンはポニーの上に、ポニーの左右にはノランとアルベルが、西門に向かう

衛兵が必死に門を押さえている、

『門が破られる! 』

「二人とも下がりなさい」ポニーが一歩前に出る、

「ポニー、クーマ様に教えてもらったやつ、出来る? 」

グアウ、ポニーが力を溜める、

ポニーの周りに砂塵が舞う、

「アルベル、門の前の衛兵を合図で避難させなさい」

「はい、女王」

グアウ、

「今! 」

「衛兵よ下がれ! 」

門の前の衛兵が一斉に逃げる、

門が破られた、魔獣がなだれ込む、

「ポニー! 」

グッアウゥアー、威嚇、

魔獣の動きが一瞬で止まる、

衛兵が一斉に飛びかかろうとする、

「皆! 動くな! 」

全員がその場に立ちどまる、

ポニーの第二波、

グルァァァァァァー! 軸線上にいる魔獣が弾き飛ばされる、

「いまだ! とどめを! 」

衛兵が一斉に飛びかかる、しかし殆どの魔獣が動かない、絶命している・・・

「ポニー、あなた、強くなったわね・・・」

シフォンはポニーの頭を撫でてやる、

ポニーは目を細めシフォンを見る、

アルベルが門に走り外をうかがう、

今ので門前の魔獣は消えた、

しかし周りでは、被害をまぬがれた魔獣が、警戒しながらも近付いてくる、

衛兵がアルベルの周りを固め、門を守る、

ノランはシフォンと門の間に立つ、こちらも周りを衛兵が固め、シフォンを守る、

皆の注意が門に注がれる、

「ギャー」悲鳴が聞こえた、

『何処! 』

衛兵の顔に血がかかる、「上だ! 」

皆が上を見る、魔獣が防壁の上にいる、口には衛兵をくわえている、

防壁の衛兵が矢を放つ、しかし魔獣には効かない、

「ギャッ! 」くわえられた衛兵が悲鳴をあげる、

その時、防壁の上を走ってくる影、

『速い! マルガ! 』

マルガは剣を両手突きの構え、速度を落とさず魔獣の脇腹を深く突き刺す、

魔獣は絶叫し衛兵を吐き出す、崩れ落ちる魔獣がズルズルと防壁から滑り落ちる、

少し遅れてアクスが近づく、

『流石マルガ様、一撃ですか』

その時、魔獣が動いた、

「マルガ様! まだっ! 」

マルガが気づいた、魔獣は壁を蹴りシフォンの真上に、

マルガが防壁から飛ぶ・・・

『届かない・・・届けっ! 』

剣を構える・・・

『間に合わない・・・』

魔獣の牙が見える・・・

『誰でもいい、間に合ってくれ! 』


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