第26話
26話上げました
なかなか時間がなくて、
読んでいただいている方には申し訳ありません、
頑張ってあげていきます、
「久しぶり? 」
シフォンがこちらを見て聞いてくる、
「最も自分で作ったものですが」
「クーマ様はお料理をなさるのですか? 」
「へっ、あ〜、焚火で焼くだけです・・・」
「たしかに料理ですね・・・」少し呆れている、
「あっ、シフォンさん、結構美味しんですよ! 」
シフォンがいたずらっ子の顔になる、
「今度作ってくださいね」
「勿論」
「約束ですよ、いいですね」
「はい、約束です」『あっ、約束してしまった』
テーブルには次々と魚料理が並べられている・・・
『こんなに食べるのか? 』
「凄い量ですね・・・」
「見た目は多いですが、魚は食べる所が少ないので・・・」
「はぁっ、少ない? 」
今日はいつもと違い目の前に一人分らしき量が置いてある、
焼き、煮込み、揚げ物等々種類も多い、
取り敢えず、煮物から手をつける、
フォークとナイフで身を外していく、片身が終わって、食べない骨と頭を皿の隅に寄せる、後は残った鰭と小骨を除ける、
『我ながら、上手いもんだ、いつ覚えたんだろ・・・これも、俺の知らない記憶だな』
視線を感じる、
シフォンが俺の皿を見ている、
シフォンの皿を見る、何処かの戦場のようだ・・・
シフォンが俺の視線に気づいた・・・
俺の皿と自分の皿を見比べている・・・
「クーマ様見ないでください・・・」
下を向いて小さな声で呟く、
俺はそっとシフォンの皿を取り、俺の皿を置く、
シフォンが顔を上げてこちらを見る、
「私が取ったもので良ければどうぞ」
「良いです! すごく良いです! 」
凄く喜んでいる・・・ちょっと嬉しい、
シフォンの戦場? を片付け、
一口・・・う〜ん、甘じょっぱい味と香りが口に広がり鼻に抜ける・・・
「懐かしい・・・」『懐かしい? 』
シフォンが顔を覗き込む、
「美味しいですか? 」
「ええ、とても、何か懐かしいような味がします」
「懐かしい? ですか・・・」
「はい、この甘じょっぱい味が、何か、心にしみます」
「喜んでいただけて良かったです」
「この料理は、冒険者の方には評判が良くなかったと、聞きましたから」
「そうなんですか? こんなに美味しいのに」
「クーマ様が喜んでくださるなら、それで構いません」
「他の料理もどうぞ」
「有難うございます」
次は焼いたもの、
幾つかの種類があるようだ、取り敢えず、小ぶりのやつから、皮の焦げ具合が食欲そそる、同じ様にフォークとナイフを使おうとすると・・・
「クーマ様、それはこのように」と、言って、シフォンがかぶりつく、俺も真似してかぶりつく、「美味い! 」
『塩味がきいてる、焦げ目のぱりっ、としたかんじがたまらない』
次は片身で骨は取ってある、
シフォンをちらっと見る、
シフォンは何かをすりおろした物に、何か黒い液体をかけ俺に差出す、ほぐした魚の身にそれを絡めて食べる、『これも美味い! 少しピリッと! 舌に刺激がたまらない』
次は切り身、もとは結構いいサイズの魚だな、シフォンはこれにさっきの液体をかける・・・
『あかん! 』
どれを食ってもうまい、どれも淡白だが微妙に味が違う、それに漬けるソースが凄く合う、
次は揚げ物、これも種類がいくつかある
シフォンの顔を見る、少し笑って、一つ取って、白いソースを点けて、俺に差出す、手に取ろうとすると引っ込められた、何故?
シフォンがあ~んをする、
「えっ」戸惑う・・・
シフォンがふくれている、
俺はあ~んと口を開ける・・・
口に入ったそれを噛む、サクッとした歯ごたえ、中のつぶつぶのが少し酸味のある白いソースに混じり合い、口に広がる、魚かと思ったがどうやら違う、身がブリブリしている、
「これは何ですか? ブリブリしてとても美味! 」
「フフフッ、これはエヴューという、魚? 」
シフォンが首を傾げる・・・
「お嬢様」
ミーニャが変わりに教えてくれる、
「これは甲殻類ってわかりますか? 」
「ええ、何となくですが・・・」
「それの身を揚げたものです、ソースはシクソースと言って、マヨールと酸味のあるフルーツに漬け込んだ野菜を細かくしたものを合わせました」
「おー、こちらではよく食べるのですか? 」
「それは・・・」
「えっ、聞かないほうが良かったですか? 」
「いいえ、そうではありません、ここらでは、よく取れるのでよく食べます」
「ただ、魚貝系の物は何故か冒険者の方には受けが良くなくて」
「私は肉が好きですが、同じぐらい今日の料理が好きになりました」
シフォンとミーニャの顔がパッと明るくなる
「クーマ様、どんどん食べてください」と、次を差出す、
「えっ」『まだやるの? 』
「これ、シフォン、クーマ君が困っているぞ」
目は笑ってる、
「えっ、あ、お父様」
シフォンが固まっている、
そういえば、アルベルトも居たんだった、静かすぎて忘れていた・・・『すまん』
「シフォンさん、一緒に食べましょう」
その後も揚げ物には白いソースや赤いソースを点けて食べる、気が付くとテーブルの料理は無くなっていた・・・
『美味かった、でも・・・流石にもう食えん』
用意してくれた食後のコーヒーを飲みながら、
アルベルトと少し話す、
「すみません、ちゃんとした報告もしませんで」
「構わんよ、娘から聞いているとは思うが、君の依頼進行に関しては全て、娘に任せている、これも後学のためだ、いずれ旦那を貰って、後を継いでもらわねばならない、どうだクーマ君、うちの娘は良い子だぞ〜」
「お父様! 」
シフォンの顔は真っ赤だ、
そのままこちらを向く、目が合う・・・
『いかーん、アルベルト何とかしろ〜』
「お嬢様、お顔が真っ赤ですよ〜」
はっとなり、プルプルしてる・・・
いきなり食堂を飛び出していく・・・
「逃げましたね・・・ウフフ」
「ノランさんっ、」
「ご心配なく、後は私が・・・お嬢様! 」
ノランが追いかけていく・・・
『やばかった、ノラン感謝! 』
「うちの娘は、わかりやすいな・・・」
「クーマ君、本気で考えてもいいんだぞ」
「アルベルト様、御冗談を、お嬢様と私じゃ合いません」
「何だ、私の娘じゃ不満か? 」
「アルベルト様・・・」
アルベルトの目を見る・・・
「分かっているよ言いたいことは、何となくだが、しかし、娘は手強いぞ・・・」
「さて、私は少し仕事があるので、これで失礼するよ」
「はい、ごちそうさまです、
軽く手をあげそのまま出ていく
『娘は手強い・・・か、わかっているよ、たぶんね・・・』
きょうの料理を用意してくれたミーニャに礼を言って、食堂を出る
食堂を出る時に、コーヒー飲むか聞かれ、お願いして部屋に戻る
俺は一人窓辺に座り、届けてくれたコーヒーを楽しむ、
何故かシフォンの顔が浮かぶ、
『色々とバレてるよな・・・』
『まずシフォンとノランは気づいてる、
目の前で力を使ったからな・・・
マルガリータとアクス、この二人は気づいているが、どこまで気づいているのやら・・・
出来れば敵対はしたくない・・・する気もないが・・・』シフォンの顔が浮かぶ、
『・・・いざとなったら逃げればいいか』
コーヒーを注ぐ、ポットのコーヒーがなくなった、
『冷めてしまったな・・・』
温めようと手を伸ばす・・・
伸ばした手を止める、冷めたコーヒーを一気に飲む・・・
何か物足りない・・・
『シフォンにお休みを言えなかった』
何処か寂しさを感じる・・・
「お嬢様、何故逃げるんです」
「だって、アルベルトがあんな事言うから」
「お父様、が、ですよね」
「あっ、そう、お父様が・・」
「フフフ・・・」どちらともなく笑い出す、
「はぁ〜」
「大きなため息ですこと、どうされたのですか・・・わかってますけど」
「な、何よ」
「言っていいんですか? 」
「だめ! 」
「ですよね」
「はぁ〜」
「ほら、また」
「癖になりそう・・・」
「いっそのこと一緒になられては? 」
「ン、ゴホン、ケホ、ケホン、ノラン! 」
「大丈夫ですか? 」
「あなたがそんな事言うから」
「あら、そんな事とは? 」
「だから、いっ、一緒になれって・・・」
声が小さくなる、
「お嫌いですか? 」
「いえ、大好きです! 」
「じゃあ、良いじゃありませんか」
「でも・・・」
「そうですね、でも、クーマ様は敵ではないと思いますよ、確証はありません、最も敵だとしたら・・・逃げる準備をしたほうがいいかもしれません」
「あのお力は脅威以外の何ものでもありません、
どこの世界にホーンベア、ましてやポニーと取っ組み合いする者がいますか! ましてや人族が・・・しかもポニーも結構本気でしたよ」
「そうよね〜」
「そうよね〜、じゃありません、少し漏らしました・・・」
「えっ、あなたも? 」
あっ、慌てて口を押さえる、
じっと見て、『良かった私だけじゃなくて』
シフォンが下を向く・・・
「はぁ〜」二人は同時にため息をつく、
顔を見合わせて笑った、
「考えても仕方がないわね」
「そうですね、今はまだ・・・」
「そう、今はまだ・・・」
「じゃっ」と言って部屋を出ていこうとする、
がしっと服の襟をつかむ、
「どこへ行こうと? 」
「え~と、クーマ様にお休みを言いに・・・」
「駄目です」
「何で〜」
「もう、遅いです、今日は大人しく寝てください」
ベッドに放り込み布団をかける、
シフォンは逃げ出そうとする、
ノランが一言・・・
「縛りますよ」ニタリと笑う、
「ノラン、怖いです・・・」




