第22話
さあ、寝ますか、
そういえば、ジェルダさん達はどうなったろう・・・
考えても仕方ない、ジェルダさん達なら大丈夫だろう、
作業場のジェルダ達
「ミー、スー、アン! 屋敷に行って直ぐに応援を捕まえてきて! 」
「わかりました☓3」
屋敷に向かって走りだす・・・
「あの人族は何! バカなの! 何でこんな量を取ってこれるのよ! 南だって危険な奴は多いのに」
文句を言いながら、袋の中の素材を出していく、「まだあるの!? 勘弁してよ〜! 作業台2杯、嘘! 」
作業台を見て肩を落とし項垂れる、
アイテム袋を置こうとして気付く、
「えっ、まだ何かはいっている、嘘でしょ? 」
袋に手を突っ込む・・・掴んだ感触が薬草じゃない?
思わず手を引っ込める・・・
恐る恐るもう一度手を入れる・・・
『魔獣? 何で魔獣? 』
ゆっくり引っ張り出す、
3mほどの魔獣がズルズルと出てくる、
「ルビーレプタイル? 嘘何で? 」
『まだある、3匹いや既に捌いたものがある、捌き方が綺麗だ、かなりの練度・・・どうして? 低ランクが魔獣の捌き方を熟知している? そんなはずはない、ましてやルビーレプタイルは、最低でも"A"ランクオーバー、低ランクで倒せるはずは無い、しかも3体・・・あれ・・・こいつには傷が無い、どうやって倒したの? 』
ジェルダは魔獣をこねくり回す・・・
『おかしい、やっぱり傷がない、どうして? 』
何気なく触った魔獣からおかしな感触、もう一度押してみる、グニャッとした感触、
「骨がおれている、違う、骨が砕けている、骨が砕ける? どうやって・・・」
ミー、スー、アンが応援を連れて帰ってきた、
「そうだ、それどころじゃない、早く処理をしないと・・・」
ノックの音がする
ノックの音がする・・・
扉が開く、誰かが入ってくる、『誰だ? 』
いきなり何かがのしかかる、
うがっ・・・軽い・・・?
薄っすら片目を開ける・・・
『いい香りがする、シフォンさん? 』
「お早うございます・・・」
顔が近い、じっと俺を見てる・・・
「シフォンさん? 」
「はい」
「どうしたんですか? 」
「朝食の準備ができました」
「えっ、もうそんな時間? 」
起き上がろうとすると、シフォンが抱きついて離れない、
「シフォンさん? 」
「駄目・・・離しません・・・」
俺はそのまま、シフォンをふとんで包み抱きしめる、
「あっ、クーマ様・・・そんな、朝から・・・」
そのまま体を入れ替えてシフォンの上に被さる、『えっ、そんな・・・本当に・・・クーマ様、待っていました・・・目を閉じて口吻を待つ・・・クーマ様・・・? 』
「シフォンさん食事に行きますよ」
「えっ、クーマ様・・・」
俺はベッドサイドで声を掛ける、
「さぁ、行きましょう」手を差し出す、
「うんっ、もう! クーマ様の意地悪! 」
シフォンがベッドから降りる、足を踏み外し倒れてくる、慌てて抱き止める、見つめる二人、
シフォンが目を閉じる・・・そっと口吻る・・・二人して下を向いてしまう、お互いに真っ赤だ・・・また見つめ合う、顔が近づく・・・
「コホン! 」
びくっ、と、なり、二人は声の方を見る、
ノランがいる・・・
「まだ、続けますか? 」
二人は顔を見合わせ笑ってしまった、
ノランも同じように笑っている、
「さぁ、お二人とも行きますよ料理が冷めてしまいます」
「すいません、さぁ、シフォンさん行きましょう」
「はい」
ノランに案内され、二人腕をつないで食堂へ向かう、
食堂には二人分の料理が用意してある、
今日の朝食は厚切りベーコン、スープにゆで卵? 『でかい! ソフトボール位ある・・・ソフトボール? また知らない記憶か・・・? 』
「クーマ様、どうかされましたか? 」
「いえ、卵がでかい、な、と、思いまして」
「ああ、すみません、言うのを忘れていました」
「何かありましたか? 」
「はい、昨日クーマ様からお預かりした袋に、
薬草素材と一緒にルビーレプタイルが、3匹入っていました」
「あっ、忘れてました、すみません」
「いえ、それは構わないのですが、二匹が卵を持っていまして・・・新鮮なものは珍しいので、勝手に調理を指示してしまいました、申し訳ありません」
「とんでもない、お気になさらず」
「卵は他にもあったんですか? 」
「はい、こちらに」
籠に盛ってある、『10個位か? 』
「シフォンさん、宜しければ、後は皆さんでお分けください」
「宜しいのですか? 」
「はい、皆さんで分けるのは少し少ないかも、ですが・・・」
「有難うございます、皆喜びます! 」
「ノラン、皆に分けて上げて、クーマ様にお礼を言ってね」
「クーマ様有難うございます、皆喜びます」
「喜んで頂けるならよかった」
「はい、とても嬉しいです、新鮮な物は中々手に入りませんから・・・」
食後のコーヒーを飲みながら、今日の予定をシフォンと話す・・・『そういえば、アルベルトに全然報告をしていないが・・・』
「シフォンさん、アルベルト様に報告をしていないのですが・・・」
「何をですか? 」
「採取状況や成果、周辺状況等です」
「それなら構いません」
「いや、しかし・・・」
「構いません、クーマ様のことに関しては、私に一任されています」
「そうなんですか? 」
「はい、今後のためと、全て任されました、なので、私が把握していればいいのです」(ドヤ顔)
「それに、お父様には私から報告はしておりますので、情報は共有しています、ですから、クーマ様は無事の帰還だけを、お考えください」
「有難うございます、では、私は出発の準備を、
ごちそうさまでした」と、席を立つ
部屋に戻り着替えて装備を整える、
いつものようにシフォンがいてくれる、
「あっ、そうでした、これを」と、
アイテム袋を渡してくれる、
そう言えば、昨日渡したままだった、
「有難うございます、ジェルダさんにも宜しくお伝え下さい、今日も頑張ってきますと・・・」
シフォンが少し笑って、
「はい、伝えておきます」
屋敷を出るとニコニコしたノランに連れられてポニーがやってくる、
俺たちの姿を見て駆け寄って来る、今日も元気そうだ、
並んで立つシフォンと俺の間に頭を突っ込んでスリスリしてくる、
二人で撫でてやると嬉しそうに目をつむりゴロゴロと喉を鳴らす・・・
「ポニー今日も頼めるか」
グァゥ、
一声鳴くと伏せてクォッ、クォッと鳴きながら背中を見せる、
「では、シフォンさん行きましょうか」
「はい」
『今日は鞍がついてるな』
シフォンが少し下がる・・・
俺は先に乗りシフォンを引き上げ、膝の上に乗せる、シフォンが驚く・・・そして満面の笑みがこぼれる、
「ポニー急がなくていいぞ」
ガウー!
ポニーがゆっくり歩き始める、
街までの道中、
いつもと違いのんびり移動している、
ポニーは気遣ってくれているのか、あまり揺れない、シフォンは膝の上でおとなしい・・・静かだ・・・寝てる?
「シフォンさん」
「はいっ! 」
「大丈夫ですか? 後ろの方が良かったですか? 」
「いいえ! ここがいいです! 」
「・・・クーマ様」
「はい、どうしました? 」
「クーマ様が来られてまだ4日、でも何故か、ずっと以前から居たような、そんな気がします」
「そう言っていただけると嬉しいですね」
「皆楽しそう・・・」
「シフォンさんは、楽しいですか? 」
「勿論です! 私は、ずっとクーマ様のそばにおります」
「有難うございます、それだと3週の契約はもったいなかったですね」
「えっ」
「アルベルト様には3週のご依頼をいただいていますので」
「そっ、そうでしたね・・・」
「ここでの依頼が終わったら、どうされるのですか? 」
「そうですね・・・」
「あっ、すみません・・・」
「構いませんよ、ただ、私は、冒険者というよりも旅人・・・ですので」
「旅人? それは・・・」
『昨日もそう言われていた』
問いかけようとする、シフォンを遮り、
ポニーが鳴く、
「シフォンさん街に入ります」
「はい・・・」
シフォンはいつものように挨拶をしている、その顔は何処か沈んで見える、
暫くすると、門が見える、アグネスがこちらを見て身構える、が、直ぐに安堵の顔を見せる、
前まで進むと、明るく挨拶をしてくる、
「お早うございます! 」
「アグネスさん、お早うございます」
シフォンも挨拶を返す、
「マルガリータ様はどちらに? 」
問いかけると、上の方から声がする、防壁の上にマルガリータとアクスが見えた、




