第123話 冒険者の街コボル
「どうした!」
振り向いたそこにはピリンがいる、肩口に大きなヘビが食らいついている、
「クソっ! 」
ゲイガーが走り出そうとしたとき、メルスが叫ぶ、
「ゲイガー後ろ!」
「知ってる! おらぁー! ヨシュア!」
「わかってる!」
ヨシュアが駆け寄り、ヘビを殴り飛ばす、
「シング大丈夫か!?」
「ああ、油断した」
シングの治療をする、
「シング! まだいるぞ!」
「大丈夫だ! ガルーダが片付けた」
ギュアァー、
ガルーラの叫び、
「ガルーダ、どうした!」
無数の蜘蛛がガルーダに群がる、
「くそっ!」
「どうした、シング!」
「蜘蛛だ! ガルーダが絡まれた!」
「メルスやれ!」
「了解! "ファイヤーアロー"」
上空から炎の矢が降り注ぐ、ガルーダの周りの蜘蛛が燃えていく、
シングが駆け寄る、
「ガルーダ! 大丈夫か!?」
ギュアァー、ドサッ!
ガルーダが一声鳴いて倒れる、
ガルーダの皮膚が所々ただれて色が変わっていく、
「ヨシュア! 毒だ、ガルーダがやられた」
「任せろ!」ヨシュアが駆け寄る、
「"アンチドート"」
『一回では無理か? もう一度』
「"アンチドート"、"ヒール"、これでどうだ」
ギュアウゥ、
少し頭をもたげそのまま動けなくなる、
「ヨシュア!?」
「大丈夫だ魔法は効いた、ただガルーダはデカいから少し時間がかかる」
「そうか、すまん」
「いいよ」
「シング! ヨシュア! ガルーダを守れ!」
ゲイガーが指示を出す、
「わかった・・・」
ヨシュアの首が落ちる、
ドサッ、
「ヨシュアァァァー!」
ヨシュアの立っていた場所には見たこともない赤黒い魔獣、
魔獣が前足を振る、咄嗟に後ろに飛び退く、巨大なハサミが目の前を通り過ぎる、
「ガルーダ! 逃げるぞ・・・」
振り向いたシングの動きが止まる、
ガルーダに無数の魔獣が群がっている、スワンプリザード・・・ざっと見て10匹以上、
「ガルーダ・・・」一瞬我を忘れる
「シング!」
ピリンが飛び込んで来る、
ガキッ! キンッ!
「シング・・・逃げろ・・・」
ピリンの上半身がズレ落ちる、
ベチャ!
「ピリン・・・ピリィィィン! 」
ギュアァァァァ〜・・・
「ガルーダァ! 」
ドサッ!
ガルーダの首が転がる、シングの動きが完全に止まった、
「シングゥ!」
ゲイガーが走り出そうとした時、背中に悪寒が走る、
赤黒い魔獣が森の中に消える、スワンプリザードの姿が消えた、
『何だ? 何がいる?』
見てはいけない物がいる・・・
『クソッ!』
振り返ったそこに水柱が立ち上がる、
「グワァァァァ」
シングの悲鳴が聞こえた、
『シング!』
振り返った目に飛び込んできたのは体中から真っ赤な花を咲かせたシングがいる、
「シング?」
その横に知らない魔獣?
「ゲイガー! しっかりして!」
ハッとなる、そこに蔦が襲いかかる、
飛び退いたそこにメルスの"ファイヤーボール"が通り過ぎ蔦を焼く、
火の着いた魔獣に水が降りかかる、
ゲイガーが振り向く、水柱が姿を変える、
『ドラゴン!?』
「ゲイガー!」
メルスの叫びで我に返り剣を構える、
「"ファイヤーランス"」
放たれた炎の槍を風が巻き上げる、その風が炎を巻いたままメルスを襲う、
「何! "ファイヤーウォール"!」
炎が立ち上がる、その炎も風が巻き込む、炎の渦がメルスを包み徐々に狭まる、
「嘘! 熱い! いやぁ~! 熱いぃ〜! たすけ・・・」
風が消える、そこには焼け焦げた炭が立っていた、少し前までメルスであったもの、
「メルス・・・うぉぉ!」
ゲイガーが剣を振る、しかし水のドラゴンには効果が無い、
『手応えが無い? 何だ? 何が起きた? 接近禁止、俺が間違った? "S"ランクの俺たちが手も出ない?』
その時声が聞こえた、
「もう、死になさい」
「クソォー! 誰が死ぬかぁー!」
叫んだ口から水が侵入する、
「グワァァァァ、オゴォォォ」
口から大量の水がゲイガーの中に、ドンドン腹が膨らむ、
『駄目だ、間違った、死ぬ! 』
最後の思いは、後悔、
バシュゥゥゥ、ビチャ、ビチャ、
鈍い濡れた雑巾の様な音が尾を引いて消える、
辺りを静寂が包む、隠れていた魔獣が現れ餌となった冒険者達を運んで行く、
ギルド前
「ちょっと待ってね」
カリスがギルドに入っていく、
直ぐにゴーグを連れて戻ってきた、
背中には大きな戦斧を背負っている、
「クーマ、すまないな」
「いえ」
「じゃ、行きましょうか」
「はい」
街の門を出た所で、カリスがルージュを召喚する、カリスの肩から飛び上がった小さなルージュがみるみる大きくなる、
「えっ、えぇ〜」
目の前に降り立ったルージュを見てカリスが声を上げる、
そこに居るのはドラゴンと見紛うばかりのルージュが居た、
「ちょっと、あなたルージュなの?」
ギュアァー、ギュギュ、
ルージュがそっと顔を近付けてくる、
カリスが愛おしそうに頭を抱き締める、目を細めて喉を鳴らすルージュ、
「さぁ、ルージュ、皆を運んで」
ギュアァー、
四人が背中に乗ると直ぐにルージュが飛び立つ、
「ルージュ! 行け!」
ギュアァ、
一気に加速する、
「速い!」
直ぐに死の森を飛び越え沼地の上空へ、沼地の結界が消えている、
皆の目に信じられない光景が映る、3匹の魔獣が今冒険者にとどめを刺したところだった、
「あれは何?」
『見たこともない魔獣、"S"ランク冒険者がなすすべもなく蹂躙された』
3匹の魔獣がこちらに気づいた、魔獣の姿が三人の女性に変わり手を振っている、
『精霊!?』
ルージュが沼地に降り立つ、三人の女性が跪く、
「ご主人様、お帰りなさいませ」
クーマがルージュを降り三人に近づく、
「ディーネ、フィード、アード、客を連れてきた」
「お客様ですか?」
「ゴーグ」
クーマが呼ぶ、
「ゴーグ!? ゴーグなの、立派になったわね、本当に大きくなった、こんなに小さかった泣き虫さんが」
「精霊様達、おやめ下さい、さすがに恥ずかしい、私も、もういい年ですから」
「そうね、今はカリスと一緒なのね」
「はい、共にギルドにおります」
「そう、仲良くやっているのね」
「はい」
周りを見ると、スワンプリザードが死体? 残骸を片付けている、
「カリス」
「はい!」
「ごめんね」
「えっ」
「この者達を助けに来たのでは?」
「ええ、そうね、でも気にしないで、彼らは警告を聞かなかった、冒険者は全て自己責任、私が来たのは確認に来ただけ・・・そう、一人のギルドマスターとして・・・」
「そう」
「さぁ、みんなどうぞ、お茶を用意するわ」
ツリーハウス
ゴーグはテラスから沼を見ている、
『美しい、ここに暮らした日々が懐かしい』
フィードがそっと近づく、
「どうしたの、ゴーグ」
「これはシルフ様、いえ、フィード様」
「そうよ、この名前は大切な名前、間違ってはダメよ」
「はい、気をつけます」
「で、どうしたの?」
「はい、あまりにも懐かしく、今ここにいるのが夢のようです」
「そうね、ガーベラには感謝しないと」
「はい、しかし、それはガーベラの望みでもありましたから、私達とは違いずっと此処を取り戻そうとしていましたから・・・クーマと出会ったのは運命だったのかもしれません」
「そうね・・・所で貴方たちは望んでくれなかったの?」
「えっ、いや、そんな事は・・・」
「冗談よ、フフフ、貴方は変わらないわね」
「お辞めください、居心地が悪くなります」
「ゴーグ、ありがとう」
「いえ、またお会いできてよかった」
「これからはいつでも会えるわよ」
「はい、またお邪魔します」
「ええ、何時でもどうぞ」
「さぁ、みなのところへ」
「はい」




