第122話 冒険者の街コボル
ガーベラの屋敷
「ガーベラ! クーマ! 居る!? 入るわよ! 」
ガチャッ、と扉を開けて部屋へ入る、
「何よぉ〜」
「ガーベラ! 起きて!」
「どぉ〜したのぉ〜?」
「クーマは!」
「クーマ・・・? クーマ・・・! カリス!? なっ! なんでいるのぉ!」
「いいから早く起きてっ! クーマは!?」
「えっ!」
『ガーベラの様子が変だ』
「う〜ん、ガーベラさん、おはよう」
「あっ!」
慌てて布団を被せる、
「ちょっ、ちょっと、ガーベラさん」
「じっとして! 」
「どうしたんですか? 」
クーマが布団から顔を出す、
「あっ! 」(ガーベラ)
「あっ」(クーマ)
「えっ!」(カリス)
三人が固まる、
「カリスさん、お早うございます」
「えっ、あっ、おはよう」
ガーベラは真っ赤になって頭を抱えている、
「もう! カリスゥ〜! 何よ!?」
「あっ、そうだった、それどころじゃない、直ぐに起きて!」
「何があったんです?」
「だから・・・!」
「カリス、落ち着いて」
「へっ、あっ、はい」
「ガーベラさん、美味しいお茶が飲みたいですね」
「えっ、うん、淹れてくる」
「ガーベラさん、服」
「あっ」
また真っ赤になって部屋から駆け出す、
カリスがそれを唖然と見送る、
「カリスさん、私も着替えます」
「ええ」
「カリスさん」
「何?」
「着替えますよ」
「どうぞ」
「あの、見ます?」
「へっ! あっ、ごめん! 外にいる!」
少しして、着替えたクーマが部屋から出てくる、
「お待たせしました」
「ええ・・・」少し顔が赤い、
そこにガーベラが戻ってくる、ちゃんと服を着ている、
「クーマ、お茶淹れてきた」
「有難うございます、持ちます、ガーベラさんも着替えをどうぞ」
「うん、着替えてくる・・・カリス、応接へどうぞ」
「あ、ありがとう」
「カリスさん、どうぞ」
クーマが扉を開ける、
ソファに座るとクーマがカップにお茶を注いでくれる、
何度も来たガーベラの屋敷の応接、何故かいつもと雰囲気が違う、
「どうぞ」
「ありがとう・・・クーマ馴染んでるわね」
「アハハハ、ガーベラさんのおかげですよ」
ガチャ、
「ごめん、お待たせ」
「ガーベラさんどうぞ」
カップにお茶を注ぐ、
「クーマ、ありがとう」
クーマが自分のカップにお茶を注ぎ、ソファに座る、
三人が一口飲んで一息つく、
「「「はぁ~」」」
「カリス、何があったの?」
「あっ、そうだった、大変なのよ!」
「大変? あなたが?」
「私じゃないわよ!」
「で、何があったの? 」
「トースのギルドから連絡があった、死の森の討伐村から"S"ランクパーティーが沼地に向かった」
「何で!?」
「ゲイガー達が何処からか情報を手に入れたらしいわ、ギルドの警告を無視して勝手に行った」
「ゲイガー!? あのバカパーティーが」
「ええ、さっき連絡が来たの、それですぐに来た、クーマ、ごめん、約束を守れなかった」
「ギルドの警告を無視したのでしょ、なら仕方ありません」
「でも・・・」
「まぁ、お気になさらず、所でそのパーティーは、良い人達ですか?」
「お世辞にも良いとは言い難い」
「そうですか・・・」
「所でガーベラさん、今日はどこへ行きましょうか?」
「そうね、美味しい食堂があるの、そこはどうかな」
「いいですね」
「ちょっと、今の話聞いてた」
「はい、冒険者は自己責任、でしたよね」
「でも、あいつら"S"ランクパーティーなのよ」
「だから? 言っておきますが、精霊は人とは違います、貴方たちは良い人達だ、だから精霊は優しい姿で優しい顔をする、そしてすごく寛容でもある・・・」
「良い人でなければ・・・」
「・・・」沈黙、
「わかった、もう遅いのね・・・」
「多分・・・」
「ごめんね、二人の時間を邪魔して」
「ぶふっ! ケホッ、ケホッ! カリス! 」
「もう、汚いわね」
「あなたがそんな事言うから」
「だって、幸せそうな顔をしてたから」
「えっ、あっ、あの、え〜と」
「何よ、歯切れの悪い」
「幸せ・・・」
「な、何よ、気色悪い」
「良いのよ、良いの・・・」
「クーマ、ガーベラ、二人にギルドから依頼をしたい」
「依頼ですか・・・? 分かりました、遅いとは思いますが」
「ええ、でもせめて確認だけはしてやりたい、一応奴らも冒険者だから」
「分かりました・・・覚悟は?」
「・・・出来た」
「クーマ着替えてくる」
「私一人で十分ですが」
「私は誰?」
「相棒です」
「そう、分かればよろしい」
そう言って部屋を出て行く、
「クーマ」
「はい」
「ゴーグも連れて行っていいかしら、彼も精霊達の知り合いなのよ」
「ルージュに乗せて頂けますか?」
「余裕よ、ね、ルージュ」
キュワ!
「ルージュ宜く」
キュキュゥ〜、
「お待たせ、行きましょ」
「またその恰好なの?」
「良いのよ、クーマが可愛いって言ったから」
声が小さくなり顔が赤くなる、
「ガーベラさん似合ってますよ」
「うん、ありがと」
「仲がいいわね」『羨まし』
少し前の時間、愚かな冒険者達
討伐村の酒場、
「おい聞いたか?」
ゲイガーが問いかける、
「噂ですか?」
シングが応える、
「ああ、クインが討伐されたらしい」
「ええ、一体どこの冒険者がやったのか」
「コボルのガーベラらしいわよ」
遅れてきた、メルスが答える、
「ガーベラ、あいつは引退したんじゃなかったか? 確か今は賞金稼ぎをしている引きこもりだと聞いたが」
「ええ、相棒を連れて、行ったらしいわ」
「相棒?」
「ええ、それが何と"F"ランクの初心者だと」
「はぁ、"F"ランクの初心者? 冗談だろ」
「ええ、流石にそれはないと思うわ、でも、クインの討伐は事実よ、現在コボルのギルドで調査隊を組んでいるって、暫くは接近禁止だって」
「はぁ!? いや俺達は聞いていない」
「えっ」
「せっかくのチャンスだ無駄にできねえ、冒険者は先に行ったもの勝ちだ・・・直ぐに準備しろ行くぞ」
「ちょっと待って、ギルドから接近禁止が出てるって」
「俺達は聞いていねえよ」
「悪〜い」
「うるせぇ、お前は行かねえのか」
「なわけないでしょ」
「ヨシュアとピリンにも声をかけろ、俺はシングとガルーダの用意をする」
「わかった、」
暫くした討伐村の外、大きなワイバーンの周りに人が集まる、
ゲイガー 戦士
ピリン 戦士
シング 召喚士
ガルーダ シングの召喚獣、
大型のワイバーン
メルス 魔法士(魔力系)
ヨシュア 魔法士(神力系)
「準備は出来たか? 」
「何時でも行ける」
「よし、シング」
「了解、ガルーダ、行け! 」
死の森の上空を高く飛ぶ、低空だと魔獣から襲われるからだ、
暫くすると沼地の辺りに靄が見える、
「ゲイガー、あれ、かなり靄が出てるが」
「ああん・・・メルスどうだ?」
「あれは、結界ね、あれなら解除できる、討伐は本当のようね」
「よし、シング行け」
「了解、ガルーダ行くぞ」
ガルーダが高度を下げる、
「メルスやれ」
「わかった、"ディセーブル"」
靄が晴れ美しい沼地が見える、
「当たりだ!」
「ガルーダ着陸だ」
五人が沼地の広場に降りる、
「何これ? めっちゃ綺麗じゃない、私ここに家を建てようかしら」
「本当だな、周りの魔獣を片付けてからな」
既に周りは魔獣に囲まれている、
ファングの群れが徐々に距離を詰める、「ファングか、シング殺れ、ピリンは左」
「OK!」
「メルスは後続を」
「わかった」
「ヨシュアは待機」
「了解」
「行くぞ!」
戦闘は一瞬で終わった、数十体のファングが蹴散らされた、
「何だ弱えーな」
「ああ、手応えがない」
「まぁ、ファングは所詮獣、獣だ」
「ぎゃぁ!」




