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第121話 冒険者の街コボル

ガーベラの屋敷、続、食堂

暫くすると、料理がふわふわとやって来て、テーブルに並んで行く、

「お待たせしました」

またメイドさんが現れた、

コップに水を注ぎテーブルへ、

「どうぞ、お召し上がりください」

「頂きます」

厚めのステーキ、サラダにスープ、パンが並ぶ、

水を一口、

「冷たい?」

「はい、この屋敷には深い井戸があります、そこから汲み上げています」

「成る程」

一気に飲み干す、

「く〜、美味い」

ナイフとフォークを持ちステーキを切る柔らかい、

口に頬張る、適度な歯ごたえ噛むほどに肉汁が溢れる、

「美味い!」

「有難うございます」

ガーベラが楽しそうにクーマを見ている、

「どうしました?」

「えっ、クーマって美味しそうに食べるわね」

「実際、美味しいですよ」

「そうね、彼女たちは料理が上手い」

「いいですね、いつもこんな料理が食べれるなんて」

「ええ、でも油断すると太る」

「わかります」

食事を食べ終え、二人してお腹を擦る、顔を見合わせ思わず苦笑い、

「これは気をつけないと本当に太りますね」

「でしょ」

「ガーベラ様、お茶を飲まれますか」

「ええ、お願い・・・あ、ちょっと待って」

ガーベラが空間から袋を取り出す、ふわっと香りが立つ、

「ガーベラさん、コーヒーですか?」

「ええ、アードが持たせてくれたの」

「ルン、これわかる?」

「はい、何度か淹れた事があります」

「じゃぁ、お願い」

「わかりました、少しお待ちを」

少しして辺りにコーヒーの良い香りが漂う、

「お待たせしました、どうぞ」

「ガーベラ様、これはよい豆ですね、とてもいい香りがします」

「でしょ、私も出されてびっくりしたの、少し苦いけど後味が凄くいい、それに、この香り、なぜか落ち着く・・・」

少し遠くを見る、

「クーマには感謝ね」

「アハハハ、何処で飲んだのかも分かりませんが、私の知らない記憶ですね」

「知らない記憶ですか?」ルンが首を傾げる、

「そうね、クーマ言ってもいい?」

「どうぞ」

「みんな来て、先に言っておくわ、クーマには記憶が無い」

「記憶が無い?」

「ええ」

「・・・それで?」

「何?」

「それだけですか?」

「そうよ」

「・・・わかりました」

「ガーベラさん、それでは彼らも困惑しますよ」

「えっ、だって他に言いようがある?」

「無いですね」

「でしょ」

「そうね、クーマは一応"F"ランク冒険者、実力は多分"S"を超える、と言うか底が見えない」

「それはすごい」

「ガーベラさんそれは言い過ぎです」

「そんな事は無い、あんな事出来る冒険者なんか聞いたことが無い」

「あんな事?」

「そうよ、精霊達に名を付け、あの規模の浄化なんて聞いたことがない」

「あの規模とは?」

「毒の沼地は知ってる?」

「はい、話だけは・・・浄化!?」

「だから貴方達も慣れて」

「わかりました」

「それと、クーマは私のパートナーだから」

声が小さくなる、

「パートナー!? おめでとうございます、今日はお祝いですね」

「ちょっと待って、あくまでも冒険者のパーティーとしてだからね、勘違いしないように」

リンがニヤッと笑う、

「ガーベラ様、何を勘違いするんですか?」

「そ、それは私とクーマが、つきあっ・・・」

そこまで言って真っ赤になる、

「リン!」

ランが言う、

「ガーベラ様は、わかりやすいですね」

「なっ! ランまで!」

「ガーベラ様、クーマ様はずっとこちらに?」

「えっ、あっ、それは・・・」

「ロンさん、4週程お世話になります」

「畏まりました、それでは、お部屋をご用意したほうが良いですね」

「いえ、ソファーがあれば十分ですよ」

「駄目! 私の部屋の隣を用意して!」

メイド達がニヤッと笑う、

「何よ!?」

「貴方達、ガーベラ様の指示ですよ」

ロンが言う、

「はぁ〜い」

「じゃあ、ここはレンがお願い」

「わかったわ」

そう言うと三人の姿が消える、

「もう、あの子達ったら」

「ハハハ、皆嬉しいのですよ」

「嬉しい?」

「はい、ガーベラ様がパーティーを組みパートナーを連れてこられた、お世話のしがいがあります」

「もう、ロンまで」

「失礼しました」

「ロン、レン、クーマがここに居る間、不便がないようにしてあげて」

「心得ました」

「ガーベラさん有難うございます」

「ちょっと、やめてよ、パートナーでしょ」

「でしたね」


街の通り

ガーベラがクーマを連れて案内をしている、

あそこの定食が美味しいとか、

この裏路地に良い武具屋があるとか、説明しながら歩いている、

今は少し可愛いワンピースを着ている、出かける時にメイドたちに勧められた、クーマに可愛いと言われ上機嫌だ、

ずっと腕を絡めて離れない、


お約束

夕暮れが近づく頃、通りのあちらこちらに酔っ払いの姿が見え始める、

ガーベラとクーマがそろそろ帰ろうかと思っていたところに男が立ち塞がる、

「おい、ねーちゃん、俺達と付き合えよ〜」

ガーベラは無言、

「すみません、やめて頂けますか」

クーマが間に立つ、

「ああん、お前は何だ? 文句があるのか」

殴りかかる男をかわす、バランスを崩し男が倒れる、

「やめて下さい、飲み過ぎですよ」

「貴様やりやがったなぁ〜」

「いえいえ、ご自分でコケただけですよ」

「うるせぇ〜!」

また殴りかかる、その手を掴み地面に叩きつける、

「ブギャ!」

「二度注意した、三度目はないぞ」

クーマが殺気を飛ばす、

「クーマ、行きましょ」

ガーベラに引っ張られその場を立ち去ろうとした時、

「まちやがれぇ〜、なめた真似をしやがって、ぶっ殺してやる」

その手には剣が握られていた、

剣を握った腕が地面に落ちる、

「クーマは言った、三度目はないと」

ガーベラが低い声で呟く、

「さぁ、行きましょう」

「ええ」

「ひぃぃぃ、俺の腕がぁぁぁ!」

「おい! どおした、さっさと女を連れてこい!」 

酒場から怒声が聞こえる、

その酒場から二人の男が出てくる、

「何やってんだ! ゲム! オーグラさんが早くしろってお怒りだぞ!」

二人が現状に気づいたようだ、

「ゲム! 誰にやられた!」

「あの女に・・・」

「ああ、呼びに行った女にやられた? 寝ぼけてんのか?」

「おい、女! さっさと来い! オーグラさんを怒らせたら面倒な事になるぞ」

「ふぅ~、折角いい気分だったのに、台無しにしてくれたわね」

ガーベラの目が細くなる、

「ガーベラさん次は私の番ですよ」

「クーマ、でも・・・」

「私はパートナーですから」ニヤッと笑う、

『目が笑ってない』

クーマが居ない、その途端、きいたこともない音が聞こえてくる、

目の前に居た二人が白目を剥いて動かなくなっている、

クーマの姿が見えない、周りを見る、酒場から絶叫が聞こえる、

走り出そうとしたガーベラの足が止まる、

酒場の入り口にクーマの姿、片手に何かを引きずっている、罵声と悲鳴を上げる引き摺られる大男、片足は明後日の方向を向き両手は力なく引きずられている、その男を軽々と襲ってきた男たちのもとに投げる、

ドサッ! と重い音と悲鳴が聞こえる、

また大男が罵声を上げる、

静かに近づいたクーマが、大男の頭を引き上げ、問い掛ける、

「この男達はお前の仲間か?」

「うるせぇ! 貴様ぁ、俺に逆らってただで済むと思うなよぉ!」

「わかった」

そう言うと、大男の顔を地面に叩きつける、

ゴスゥ! 

「うげぁ!」

およそ人とは思えない悲鳴、

「ぎざまぁ!」

「もう一度聞く、3度目はない、この男達はお前の仲間か?」

質問を繰り返す、

「うるぜぇ! 殺してや・・・」

また地面に叩きつる、

「おごぁ!」

顔面血だらけになった大男が、

「やめろぉ〜! そいつらは俺の手下だぁ!」

「よーし、じゃあ次はこっちだ」

そう言うと今度はガーベラに向かって頭を引き上げる、

「女を連れてこい、それはガーベラの事か?」

男の脳裏に何かが浮かぶ

『ガーベラ!? 聞いたことがあるコボルの街の元"S"ランク冒険者、現在は冷酷無比な賞金稼ぎ』男の背筋が凍る、

「もう一度聞く」

「お許しください! すいません、許して下さい! ガーベラ様とは気づきませんでした、何卒命だけはお助けを!」

急に態度が変わる、

地面に頭を擦り付け必死に許しを請う、

ガーベラが低い声で静かに聞く、

「お前、見たことがないな、賞金はかかっていないのか?」

「ひぃ~、賞金首ではありません!」

「そうか、じゃ殺しても金にならないな」

「は、はい、金になりません!」

「でも私の相棒は、お前たちを許したくないみたいだが」

男がそっと振り返る、

冷たい目で見下ろしてくる男、

心臓を鷲掴みにされ、もぎ取られるような感覚、

『死んだ・・・』

「おい」

声をかけられ我に返る、

『生きてる・・・』

「二度と顔を見たくない、わかったか、ガーベラに感謝しろ」

「はい!」

「そいつらも片付けろ良いな」

「はい! お、お前ら起きろ、起きてくれ〜」

片腕をなくした男が自分の腕を持って立ち尽くしている、

クーマが声を掛ける、

「ひぃっ!」声にならない悲鳴を上げる、

目は泳ぎ歯がガタガタ鳴っている、

「腕をかせ、はい!?」

意味が分からなかったようだ、

クーマは腕をひったくり慌てる男の腕につなぐ、

「どうだ? 動くか?」

男の目が見開かれる、口が開いたまま、アワアワ言っている、

「さぁ、さっさと手伝え、は、はい」

「あ、そうだったな」

クーマが手を翳す、大男の傷が見る見る回復する、

男が座り込み放心している、

『腕が動く? 脚も? 治った? 治された? この男何者? いや良い、俺は助けられた、これは恩だ、俺は恩を受けた、これは忘れてはならない』

自然と頭が下がる、

「おい、いや、名前を聞いていいか?」

「クーマだ」

「クーマこの恩必ず返す」

「ああ、期待している」

「ガーベラ行こうか」

そう言って腕を出す、

「う、うん」

出された腕に腕を絡めて寄り添う、顔が赤くなるのがわかる、

「クーマ、かっこいい・・・」


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