表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/81

第12話

作業場を離れ、シフォンが真面目な顔で、

「クーマ様有難うございます、付き合わせてしまって」

「とんでもない、私も皆にお礼を言いたかったので」

「有難うございます、さて、私の用は終わってしまいました、クーマ様は何かしたいことはないですか? 」

「そうですね・・・特には」

『まだ昼にはだいぶ早い、であれば・・・』

「あ、そうだ時間があればアクス様にお会いしたいのですが」

「アクス様にですか」(チョット不満そう)

「はい、再戦のお約束をしておりますので、この機会にと」

「わかりました行きましょう」

「よろしいのですか、私一人でも・・・」

「ダメです! ご一緒します」

「わかりました・・・」

「では、行く前に少しお願いがあるのですが」

「はい、何でもおっしゃってください」

(シフォンがニコニコしている)

「実は少し装備を、お譲り頂きたいのですが」

「装備ですか? 」

「はい、倉庫にあった物をお譲り頂けないかと」

「わかりました、何でも持っていって下さい」


倉庫の中

「何をお探しですか? 」

「胸当てなんですが、確か、このあたりにあったような」

「それでしたら屋敷にもっといいものが」

「いえ、チョット加工したいので・・・」

「あった! これですそれとコイツも、これらをいただいても構いませんか」

「構いませんが・・・」

「屋敷に行けばもっと良い物が・・・」

「いえ、これがいいんですよ」

「クーマ様がそうおっしゃるなら・・・」

「それと作業場をお借りしても? 」

「どうぞ・・・」

「何をなさるのですか? 」

「少し改良したいので」

「改良? 」

俺達は作業場に戻る、ジェルダ達はもう居ない、

俺は装備を一度解体して、使いやすいように改良する、手をかざし望みの形や強度をイメージする、金属が形を変える、出来具合を確認、

『少し弱いか、もう少し強度を・・・』

シフォンは真剣に作業を見ている、

程なく、

「出来た」

装着して体を動かしてみる

『いい感じだ、動きやすい』

「おまたせしました」

「それは・・・」

「自分のスタイルに合った装備です」

にっこり微笑む、

シフォンは不思議そうな顔で見ている、

「さぁ、行きましょうかシフォンさん」

「はい、お供します」


ガゥー!

厩舎の方からポニーの声が聞こえる、

「あの子ったら聞こえているのかしら? 」

「かもしれませんね」

「では、ポニーにお願いしましょうか」

「そうしましょう」

ポニーは既に行く気満々だ、ガウガウと扉を掻いている、

二人で厩舎に戻り、ポニーを厩舎から出して、

鞍を乗せる、ポニーは既に興奮している、今にも走り出しそうだ、

俺はそっと手を頭に乗せ、

落ち着けと念じる、途端に大人しくなり、俺の顔を覗き込む

「シフォンと俺を乗せてくれるか」

グゥーと鳴き、伏せる、

場所を開けシフォンに譲る、

シフォンは首を振り俺に前を勧める

グァッと鳴き、フンフンと俺を鼻面でこつく、

「わかりました飛ばしますよ」

シフォンはイタズラっ子の顔になる、

ポニーは急かすように、また俺をこつく、

ポニーに跨りシフォンに手を伸ばす、

シフォンは何かを期待するように、後ろに乗って俺にしっかりと抱きつく、

「クーマ様、飛ばしてください! 」

俺は念じる、『ポニー行くぞ! 』

グァー!

ポニーの全身に力がみなぎる、

「行け! 」

その瞬間ポニーが猛然とダッシュする、

『速い、前回以上だ』

シフォンが全力でつかまっている、

シフォンが叫ぶ、

「クーマ様、飛ばして! 」

『ポニーまだ行けるか』

グァウ!

ポニーがまた一段加速する、既に街の入り口が見える、

『ヤバイ! 』

ガウ!

まかせろと言わんばかりに一声鳴く、

『わかった任せる』

そのままの速度で街に飛び込む、人も障害物も一瞬で避ける、直ぐに門が見え衛兵がこちらを振り向く、

グァウ! 一声鳴いた、

俺は前身に力を入れシフォンを支える、

ポニーが横滑りでフルブレーキをかけた、

土煙が上がるがすぐには止まらない、

シフォンが背中にしがみついている、

前方ではアグネスが、驚いて固まっている、

『ヤバい!』

グアゥー!

『止まった・・・』

アグネスまで数センチ、

ポニーが、ぺろっとアグネスの顔を舐める、

アグネスはそのまま、へたり込んでしまった、

騒ぎを聞きつけ、衛兵が集まってくる、

後ろにアクスの姿が見える、騒ぎの正体が俺たちと知って、腹を抱えて笑っている、


騒ぎの中、俺はポニーから降り、シフォンへ手を伸ばす、その手を取りシフォンが降りる、

皆が姿勢を正す、

その間を、アクスとマルガリータが歩いてくる、

シフォンの前でアクスが跪く、

一瞬マルガリータの動きに違和感を感じる、

マルガリータはそのまま近づき、

「シフォンこれは何の騒ぎだ」

「すいませんお姉様、ポニーがすごく早くて、

びっくりしている間にここに着いてしまいました」少し興奮している、

「皆、持ち場にもどれ、アクス部屋を用意してくれ、それと誰かアグネスを医務室に」

「申し訳ありません、私が前に乗ったのがいけなかったのでしょう、ポニーが興奮してしまって」

ポニーが近づきフンフンと俺をこつく、

「ポニーこっちへおいで」

シフォンに呼ばれ振り向きながら、ついていく「クーマ殿、今日は休暇のはずでは? 」


少し離れた場所で、

「ポニー楽しかったわね、あなた、あんなに早く走れるのね、それに町中での動き、あの方の力なの? 」

フンフンとシフォンをこつく、

「やはりそうなのね、また飛ばしたいわね」

ウガゥ

「フフフそうね、さぁ厩舎で待っててちょうだい」

ガウ

1人の衛兵を呼びポニーを任せる、

「厩舎まで連れて行ってあげてね」

「はっ、わかりました」

一礼してポニーの後を追いかける、

『どっちが連れて行かれるのやら』


シフォンが小走りで戻って来る、

「お姉様すみませんでした、私がクーマ様に勧めてしまって」

「まぁ、いい訓練と言うことにしておこう)

「で、どうしたんだ? 」

「クーマ様が、アクス様とお約束があると」

「約束? 」

「はい、再戦の約束がありまして」

「再戦か・・・」

「私も拝見したいです」

「えっ、わかり、った」

『んっ、何か違和感が』

「では少し準備をするので部屋で待っていてくれるか」

「わかりました」

「すいません、ご面倒をおかけします」

「いや、こちらこそ皆喜ぶ」

「リーン! 」

「はい」

「アクスが部屋を用意しているはずだ、案内してくれ」

「わかりました、お嬢様、クーマ様こちらへ」

「私も後で行く」

「はい、お待ちしております」


衛兵が扉をノックする、

「誰だ」

「アクス様、リーンです」

「お嬢様とクーマ様をお連れいたしました」

「入ってくれ」

「ようこそおいでくださいました、急遽、用意いたしましたので、ご不便をおかけいたします」

「いえ、こちらこそ急に来て申し訳ありません」

「アクス様、申し訳ありません」

「そうですよ、あんな登場をされますと、皆が怯えます・・・」(目が笑っている)

「所で、どうなされたのですか、今日は採取を休まれると聞いておりましたが・・・どうぞお掛けください」

アクスは俺たちにソファを勧める、

「お嬢様はブランデーで宜しいですか? 」

「アクス様っ! 」

「ハハハ冗談ですよ」

シフォンは顔が真っ赤だ、

「お二人ともコーヒーで宜しいですか? 」

「有難うございます」

シフォンは、ふくれっ面でアクスを睨んでいる、

アクスは真面目な顔になって、

「申し訳ありません、悪ふざけがすぎました」

シフォンはプイッと横を向いて、

「知りません! お姉様に訴えます」

「それはご勘弁を」と頭に手をやる、

その時、扉が空いてマルガリータが入ってくる、「何がご勘弁なんだアクス」

「え、あ、いや」

3人は笑い出した、

「お姉様何でもありません」

「何だ3人の秘密か? まあいい、シフォン、あれは本当にポニーか、私は防壁の上から見ていたが、何だあの速さは、今まであんなポニーは見たことがない」

マルガリータも少し興奮している、

「はい、私も驚きました」

「何があったんだ? 」

「なんと説明すればいいのか・・・」

「こちらに来るのに、ポニーに乗せて貰ったのですが、今日はクーマ様に前に乗って頂いたんです、そしたらポニーが急に張り切って、いきなり全速で走り出しました、後は必死でしがみついていました」

「シフォン・・・先日も同じような話をしていたが、クーマ殿が乗るとポニーが張り切ると? 」

「確かに今まで、シフォン以外には懐かなかったポニーが、クーマ殿にはやたら懐いているように感じるが、かと言ってあそこまで変わるのか? 」

「それはわかりません、ポニーに聞いてみないと」

「ポニーに聞く、か」

「そうです」

「シフォン」

「はい」

「聞いておいてくれ・・・」

「わかりました・・・」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ