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第119話 冒険者の街コボル

「さてと、調査隊についてだけど・・・」

「ゴーグ、死の森で死なずに帰ってこれるパーティーは幾つある?」

「二つですね」

「ルイスとドンクレンの所ね」

「そうなりますね」

「それ以外は?」

「境界周辺ならあと数パーティーは行けそうなのがいます、しかし調査となると難しいかと」

「そうね・・・」

「ルイスとドンクレンを呼んで」

「ガーベラ、貴方はクーマを"宿"に案内してあげて」

「えっ!」

「カリスさん、私もいたほうが良いのでは?」

「クーマ、あなたの出番はまだよ」

「出番?」

「ええ、2、3日中にこちらで調査隊を出す」

「あっ、クーマ、ガーベラ、一つお願いがあるの」

「何でしょう?」

「精霊達にお願いして沼の防衛を固めて欲しいの、但し殺すのは無し、出来る?」

「わかりました、では、今から・・・」

「それは駄目」

「何故?」

「今日と明日は休む事」

「しかし・・・」

「冒険者は無理はしない、生き残るために」

「私は大して疲れていませんが」

「あなたはね、相棒はどうなの? パーティーを組むって言うのはそうゆう事よ」

「分かりました・・・ガーベラさん、すみませんでした、今日明日は休みましょう、街を案内して頂けますか?」

「クーマ・・・」

「カリスさん、私が行くまで、冒険者の方には無理をさせないように、お願いします」

「わかっているわ、出発は4日後以降にするわ、行ける?」

「では明後日に行きます、良いですか?」

「良いわ、適当な依頼を選んでおく」

「はい、ではギルドに伺います」

「ええ、お願い・・・ガーベラ聞いてる?」

「へっ、大丈夫、聞いてた」

「ふぅ~、"S"ランクを心配する"F"ランクって、まぁ、いいわ、あなたが行くまで出発はさせない、約束するわ」

「はい」


コボルの大通り

ガーベラとクーマが歩いている、

ガーベラはフードを脱いで、クーマに腕を絡めている、

「ガーベラさんフード良いんですか」

「えっ、と、良いの」

「変な噂が立ちますよ」

「良いのよ、クーマは嫌・・・」

「とんでもない、私は嬉しいですよ」

ガーベラの顔がぱっと明るくなって少し頬を赤らめる、

「なら良いでしょ、より強く腕を絡める」

「所で宿はどちらなんですか?」

「もうすぐ、あそこに見えるのがそうよ」

「えっ、あれは、かなりお高いのでは、」

「そんなことはないわよ、心配しないで」

「はあ」


「着いた、ここよ」

案内された宿は貴族の屋敷ほどではないが宿と言うには立派すぎる、

「いやこれは宿では無くて誰かのお屋敷では」

「そうね、私の家よ」

「はぁ、成る程・・・えっ、ガーベラさんの家ですか?」

「そうよ、三食風呂付き自由に使って」

門が自動で開いていく、

「いや、それはまずいでしょ!」

「良いのよ、私一人には広すぎるから、どうぞ、入って」

「いや、しかし」

「いいから入るの!」

腕を引っ張り引きずっていく、

『思ったより強い』

屋敷の扉が自動で開く、

「さあ、どうぞ」

入った玄関ホールは結構広い、右手に階段がある、

「クーマこっちよ」

呼ばれて後ろをついていく、

「食堂はここ、お茶でいい?」 

「はい」

「座って」

奥のキッチンからいい匂いがする、少しすると、キッチンの方からカップとポット、クッキーの乗ったトレーがやってきた、

『トレー? 誰もいない』

トレーだけがふわふわとやってくる、

「ガーベラさんこれは?」

「ああ、それはゴーストよ」

「ゴースト? 幽霊!?」

「まぁ、そうとも言うけど、少し違っていて、実態の無い者、と理解して頂戴」

「実態の無い者?」

「そうね、ちゃんと意志を持った霊体かな」

『それって幽霊じゃ?』

「気になる?」

「少しソワソワしますね」

「貴方が!?」

「ええ」

「ちょっと待ってね」

「・・・・・・ありがとう」

「どうしました?」

「話しても良いか聞いていたのよ、少し長くなるけど良い?」

「はい」


ガーベラの回想

私がここを手に入れたのは50年程前、有名な呪の屋敷だった、

何人かは住んだみたいだけど、

皆、死ぬか狂うか、

いっそ解体も考え、浄化をしようとしたけど、魔法士がやられた、

死ななかったけど街から逃げ出した、

そのうち此処を管理している者にもおかしな事が起きた・・・

と言うかそれは彼等には関係なかったんだけど、

恐れた管理者は、何とか手放そうとしたけど、手放そうにも貰い手がいない、かと言って放置も出来ない、

困った管理者がギルドに泣きついた、

当時ギルマスになったばかりのカリスの所に、

そして、カリスは私の所に来た、


50年前、

私はあの日冒険者であることをやめた、

私が冒険者になったのは、あの場所を取り戻すため、

あの日の少し前、私とカリス、ゴーグ、ペルシア、ロック、ミース、六人の"S"ランクパーティーはクインの討伐に向かった、


ガーベラ 魔剣士(魔力)

カリス  魔剣士(魔力)

ゴーグ  剣士

ペルシア 魔剣士(神力)

ロック  魔闘士(神力)

ミース  魔法士(魔力・神力)


私達は当時最強パーティーだった、

何度か討伐にはいったけど、過去最高のパーティーだった、

負けるはずが無かった・・・

死の森の魔獣を蹴散らし、沼地に降りた、襲ってくる魔獣達を蹴散らし、クインの前に立った、でも勝てなかった、魔法も剣も通用しなかった、一昼夜戦った、皆の魔力が切れ体力も限界だった、でもクインにダメージは無く、ポイズンドードが距離を詰めてきた、諦めかけた時ルージュが現れた、

「ルージュ? 確か100年近く一緒に暮らしていたのでは?」

「確かに100年以上一緒に暮らしてはいるけど、色々あってね、まぁ、その話は今度カリスにでも聞いて」

ルージュのおかげで全員無事に街に戻った、それから暫くしてカリスはギルドマスターになりゴーグはサブマスター、私は賞金稼ぎになった、ほかのメンバーは皆、旅に出た、


少し話がそれたわね、

当時、宿暮らしだった私の所にカリスが来て、私に依頼があると、

私は冒険者を辞めたので断ろうと思ったんだけど、これは賞金稼ぎの仕事だと言われた、

今考えたら無茶ぶりもいいとこよ、でも報酬は魅力的だった、

依頼は呪の屋敷を調査し犯人の捕獲もしくは排除、報酬は屋敷と土地の権利、そして屋敷の改修、

賞金稼ぎとしての初仕事だった、

次の日から屋敷に足を運び色々調べた、そしたら出るわ出るわ、前の持ち主の悪事がわんさか、かなり酷い奴だった、殺された事には同情の余地もなかった、

結局前の持ち主は使用人達の怨霊に殺された、

その怨霊が今も残って晴らせぬ恨みを晴らそうとしている、そう判断した、

私は神力は苦手だけど、使えない訳では無いし、怨霊を倒す魔法はいくらでもある、

でも何か引っかかる、そう思いながらも夕暮れを待って討伐に出かけた、元々カリスも捕獲何て考えてなかったでしょうから、

屋敷に入ると思ったよりも荒れてない、

『怨霊が掃除した? まさかね』

突然目の前に一人の男が現れる、

「早速のお出迎えとは」

直ぐに魔法を放とうとすると何か様子が変、その男は深々と頭を下げ、

「お帰りください、ここは危険です」

そう言ってきた、

『へっ、油断させるつもり?』

そう考えた時、新たに四人の女性が現れる、

『やはり罠!』

そう思い魔法を放とうとすると、あとから来た四人が口々に、

「早くお帰りを!」と叫ぶ、

「早くあいつが目覚める」

「どういう事?」


五人が急に苦しみ出す、

「お許しを! グイット様!」

「ごめんなさい! ご主人様!」

「お許しを!」

悶え苦しむ五人の怨霊、

『怨霊が苦しむ? あの首の靄は何? この禍々しい気配尋常じゃない』

その時、地鳴りのような声が響く、

「お前達、そいつを連れてこい」

「それは・・・お許しを」

「もう許して下さい」

「うるさい! わしの言うことを聞け!」

『怨霊たちにはまだ自我がある、この声の主が元凶、確かグイットと言った、ここの家主か!』

ガーベラが靄を切裂く、

「貴方達下がりなさい」

靄が階段を上がっていく、

「お逃げください! 今のうちに! 」

「心配いらない、今日で終わらせる」

ガーベラが階段を駆け上がる、

「お待ちを! 」

廊下を走る、一際大きな気配を感じる、

『奥の部屋』

一気に廊下を駆け抜け奥の部屋の扉に魔法を放つ、

「ギャァァァ」

吹き飛んだ扉の奥から絶叫が聞こえる、ガーベラが飛び込み二発目の魔法を放つ、

部屋の中に風が巻き起こる、

怨霊が襲い掛かる、しかしガーベラには届かない、直前で弾かれる、

「舐めるな怨霊」

ガーベラの目が細くなる、

「この魔法は久し振りよ、怨霊にさえ苦痛を与える魔法"イターナル・トーメント"」

怨霊グイットが逃げ出す、しかし風に阻まれ逃げ出せない、

「愚か者、その風には結界が練り込んである、逃すわけがないだろう」

「貴様ぁぁぁ、お前は誰だ、私を誰だと思っている、必ず殺してやるぞ!」

「うるさい! 永遠に苦しめ!」

「イギャァァ、こんな、苦しみがぁぁぁ!」

"イターナル・トーメント"の闇がグイットを飲み込む・・・

静寂が訪れる、

「ふん、雑魚が!」

ガーベラが一言吐き捨て、部屋を出て行く、

廊下を歩いていると何処からか声が聞こえる、

「まだいるのか?」

身構えたガーベラにはっきりと声が聞こえた、

「ありがとう」

幾重にも重なる感謝の言葉、屋敷のそこかしこから光が立ち昇り空間に消えていく、

『安らかに』心で見送る、

階段まで戻った所で五人に気が付く、

階段を下りると五人が深々と頭を下げる、

「有難うございます」

「良いのよ、貴方達も早く行きなさい」

「せめてお名前をお教え頂けませんか」

「ガーベラよ」

「畏まりました、ガーベラ様」

五人が消えて行く、

「ふぅ~、終わった、これでここは私の家か、掃除しなきゃね」

朝日が眩しい、


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