第118話 冒険者の街コボル
クーマの手が光る、その光がルージュを包む、
「ルージュ! 」
ルージュが光りに包まれ消える、
「クーマ! 何を! 」
カリスが掴み掛かる、その時クーマの肩に赤い生き物が現れる、
キュキィー、
一声鳴いてカリスに飛びつき、頬ずりをする、
キュィー、キュィー、
「何!? ルージュ? 」
キュィー、キュキュ、
「ルージュなの? 」
キュイ、
小さなルージュが頷く、
「クーマこれは? 」
「カリスさんが召喚すれば、いつでも元のサイズに戻れますよ、これからは少し食事代がかかりますが」
「良いわよそれぐらい、いくらでも食べさせてあげる、ルージュゥ〜」
カリスが頬ずりをする、
ルージュがクーマを見る、そしてカリスに頬ずりをする、
アランが走り寄る、
「三人とも心配しました、よくご無事で・・・どうしました? 」
「いえ、何でもないわ、また今度ゆっくり話をしましょう」
「はい、分かりました・・・カリス殿、その魔獣は? 」
「私の友達よ」
キュイ〜、
「さぁ、クーマ、ガーベラ、ギルドに行きましょう」
「えっ、ええ、そうね」
カリスが歩き出す、
『カリスがスキップしてる』
「ガーベラさん、行きましょう」
「そうね」ガーベラが腕を絡める、
「えっ」
「良いでしょ」
「はい」笑顔で応える、
ギルド前、
「クーマ、ガーベラ、取り敢えず私の部屋へ」
ガーベラが慌ててクーマから離れ、フードを深く被る、
「クーマ行きましょ」
「はい」
扉を開くと、気付いたゴーグが走り寄る、
カリスが目で合図する、
「カリス待っていた、部屋に来てくれ」
もう一度、目でガーベラとクーマを指す、
「ガーベラ様、クーマも来てくれ」
ガーベラは無言で頷く、
クーマは返事をする、
三人がゴーグの後に付いて2階に上がる、
部屋に入ると、カリスが指を立て唇に当てる、
「シッ」
ゴーグが奥に行き、お茶を頼んで戻ってくる、
暫くして受付嬢がお茶を運んでくる、
『確か受付してくれた、名前は? リズ』
テーブルに並べた後、一礼して下がって行く、
「座ってくれ」
ゴーグからソファを勧められる、
三人が座ったところで、カリスが部屋に結界を張る、
「お待たせ、もういいわよ、ゴーグも座って」
「はい」
「用心深いのね」
「まあね、私がギルマスなのは公然の秘密だけど、用心に越したことはない」
「そうね」
「ところでクーマ、この子に何をしたの? 」
「ギルマス、その肩のやつは何ですか? 」
「この子はルージュよ」
「ルージュ!? あのワイバーンの? 」
「そうよ」
「えらく可愛くなりましたね」
「でしょ! あっ、コホン、で、何をしたの? 」
「特別、何かをしたわけではないのですが」
「クーマ、普通はこんなに可愛くはならない」
「そうですね、よくわかりません、ただ、貴方がルージュと一緒にいたいと望み、ルージュも望んだ、だからそれに必要な力を与えた、それだけです」
「成る程、それがどういう事か、わかって言ってる」
「いまいち」
「でしょうね」
「ギルマス、ついて行けないのですが」
ゴーグが頭を押さえている、
「ああ、そうね、説明するわ、と言ってもどう説明していいのか」
「まず、今から言う事を信じなさい、質問は無し、説明出来ないから、慣れて」
『"慣れて"、意味がよく分かった』
「ガーベラ、いいわね」
「ええ」
「まず、クーマについて、ゴーグの意見が正しかった、ただ戦いたくない、これは正解、その上で、クーマは現状私達にとっては害のない存在です」
「賞金首の件、これはガーベラの手柄とします」
「それと、あなたもあの映像は見たわね」
「はい」
「精霊達が復活している」
「精霊達が!? 」
「ええ」
「あれは、確か、沼地ですね」
「そう、クインが討伐され、沼地が浄化された」
「浄化ですか・・・」
「やったのはクーマ、但し公的にはガーベラと精霊達がやった、とします」
「沼地は安全になった、但し、限られた者以外、一切の立ち入りを禁じます、徹底しなさい」
「命の保証はしません、たとえ王族であったとしても、です」
「クーマは今後も当ギルドの"F"ランク冒険者として対応します、以上」
「分かりました」
「クーマ、私はゴーグだ、これからよろしく」
「こちらこそよろしく」
「さてと、これでこっちは終わり、次はガーベラとクーマね」
「えっ、私? 」
「そうよ、貴方たちはパーティーを組んだんでしょ」
「カリスさん、パーティーは一次的なものです、ご迷惑になります」
ガーベラがびっくり顔で動揺している、
「ガーベラそうなの? 」
「そ、そうね」
「本当に? 」
「違う! クーマ、私は貴方とパーティーを組む、私は貴方の相棒よ! 」
「いえ、それはご迷惑でしょう」
「いいの! 」
「クーマ、貴方はソロでやりたいのでしょうけど、今件の事も含め、相棒がいたほうがいいわ、あ、誤解しないで、能力のことじゃないわよ、周りの環境の事、噂ってのは勝手に歩き回る、ガーベラの相棒って言うだけでかなりかわせる」
「しかし、ガーベラさんは"S"ランクですよ、"F"ランクを相棒にしたとなれば余計な噂が立つのでは? 」
「ああ、それなら心配ない、そうよねガーベラ」
うんうんと首を縦に振る、
『噂になったところで事実だから問題無い・・・ん、もしかしてクーマは鈍い? 』
「ガーベラが納得してるからクーマは気にしない、良い」
「分かりました、ガーベラさん、お世話になりますね」
「えっ、ええ、任せて! 」
「クーマ、これからの事なんだけど、暫くはギルドで依頼を受けて欲しい」
「勿論そのつもりですが・・・」
「何か問題が? 」
「はい、7日程度なら良かったんですが、4週となると宿代が・・・」
「ああ、それは報酬を渡すから問題ないでしょう」
「いや、4週となると結構かかりますし」
「クーマ、貴方が貰う報酬だけど、今回だけで2年から3年は豪遊して暮らせるわよ」
「えっ、そんなに? 」
「ええ、貴方はそれだけの事をしたのよ」
「ギルマス、それなんですが、王国騎士団から感謝状と謝礼が届いています」
「えっ、もう来たの! 」
「はい、昨晩遅くに」
「いくら? 」
「はい、大金貨60枚」
「奮発したわね」
「はい、賞金額は一人、大金貨3枚、かなり上乗せされています」
「二人共、この額の意味、わかるわね」
「ええ」
「はい、私は居ただけですから」
「それでいいわ、それとクーマ、依頼書持ってる? 」
「はい、此処に」
「ゴーグ、それを見て」
ゴーグがクーマから受け取り確認する、顔を顰める、
「承認したのはリズですね、注意しておきます」
「よく見て」
「これは、精神干渉系の力を感じますね」
「そういう事」
「誰が? はっ、精霊ですか」
ゴーグが立ち上がり帳簿を開く、
指でなぞりながら、
「あった、依頼者はドリア? 」
「それ、アードのことね」
「アード? 」
「ああ、ドライアードの事よ」
「ドライアード様ですか? 」
「そう、今はアード、クーマが名付けた」
「名を付けた!? 」
「ええ、ウィンディーネにも、シルフにも名を付けた」
「そんな事が・・・」
「おーい、ゴーグ、戻ってきて」
「ああ、すいません、少し固まりましたか」
「ええ、あなたが固まるなんて珍しい」
「ハハハ、私には情報が多すぎです」
「よね〜、私も固まったからわかるわ」
「ギルマスが? 」
「ええ、大変だった、けど楽しかったわ」
「カリス」
「ああ、ごめん話がそれたわね、4週って言ったのは、クーマが"S"ランクと共に仕事ができるという実績を作るためよ」
「実績ですか? 」
「ええ、"S"ランクのサポートが出来る"F"ランクがいると噂を流す」
「書き換えると」
「そう、噂を書き換える、そして、噂が定着した頃に、ギルドから依頼を出す」
「依頼? 」
「ええ、沼地の管理をする者を・・・」
「成る程、ギルドの管理下に置くと」
「そうよ、そうしないと死人が出るでしょ」
「さぁ、それは、来訪者次第でしょうか」
「分かった、でも当面はそうする」
「わかりました」
「それで、取り敢えず調査隊を出すわ」
「調査隊? 何で今更でしょ」
「ガーベラ、何でも言い訳が必要なのよ」
「まず、今回の一件の報告を受けた、
私が直接確認に行った、現状は把握した、脅威はなくなった、じゃ、今までいけなかった奴が行こうと考える、よくも悪くもクインがいた事は、あそこが荒らされなかった理由でもある、それがクインが居なくなって脅威がなくなったとなったら」
「みんな行きたがる」
「そう、だからいけない理由を作る、その為に調査に行く」
「わかったわ」




