第117話 冒険者の街コボル
「ガーベラ・・・ガーベラ、起きて」
「あぁ~、クーマもう無理ぃ〜」
そう言ってカリスに抱きつく、
「クーマァ〜、えっ! きゃぁ~! カリスゥ〜! 」
「目が覚めた、クーマでなくて悪かったわね」
「なっ、何で! 」
「記憶が消えたの? 」
「えっ」
周りを見る、「ここは何処? 」
カリスが答える、「あなたは誰? 」
「私? 私はガーベラ」
「そう私はカリス、昨日は沼に泊まった」
「そうだ! 」
飛び起き窓に走る、日の光に照らされた沼が朝日を映す、
「夢じゃない・・・」
「ええ、で、どんな夢を見てたの? 」
とたんに真っ赤になる、
「どんな夢か分かった、いい夢で良かったわね」
「カリス! 」
「さぁ、朝食よ行きましょう」
「う、うん、行く」
部屋を出ると辺りにコーヒーの香りが立ち込める、深く息を吸う、
「はぁ~、良い香りね」
「ええ」
「お早うございます、よく眠れましたか? 」
「おはよう、こんなにスッキリ目覚めたのは何年ぶりかよ」
「それは良かった、ガーベラさん、どうしました? 」
「へっ、あ〜、おはよう」
「おはようございます」
「さぁ、皆座って朝食よ」
テーブルの上には料理が並ぶ、スクランブルエッグにローストビーフ? スープにパン、
「豪勢だな、これは? 」
ローストビーフらしきものを持ち上げて聞く、
「昨日のボアで作りました」
「成る程、ローストポークだな」
そう言って一口、かけられたソースがよく合っている、
「美味い! 」
「有難うございます」
二人を見るとまた無言でパクついてる、
「ご主人様、今日はどうされますか? 」
「ああ、食後に二人と話をしてみよう」
「そうですね」
優しい顔で二人を見る、
「ふぅ~、食べた、ここにいたら絶対太る」
食後のコーヒーを飲みながら、今日の予定を話し合う、
カリスの提案、
「二人共取り敢えず一度街に戻って欲しい、それとクーマ、すまないが今回の件はガーベラを立てて欲しい」
「ちょっとカリス」
「黙って、これはギルマスとしての判断よ、"F"ランクの初心者が、いきなりこれじゃ詮索する者が出てくる、それは不味いでしょ」
「それはそうだけど」
「私は気にしませんよ、報酬が頂けるなら」
「それは心配しないで、当然支払う、思いっきり上乗せしとく」
「ではお任せします」
「クーマ、ありがとう、ガーベラもいい? 」
「クーマがいいなら・・・」
「よし決まり」
「賞金首については、もう情報は伝わっているので、その先、何故ここに来たか、本当は賞金首を捕まえた時点で終わるはずだった、ところが、依頼書に隠されたメッセージにガーベラが気づいた、そこでクーマに同行して此処に来た、そして、力を取り戻した精霊達と力を合わせて、クインを討伐、此処を取り戻した、でどう? 」
「無い・・・」
「何が? 」
「無い・・・クーマの活躍が無い」
「ガーベラ」
「だって! これはほとんどクーマがしたことよ、私なんて付いてきただけ・・・」
「ガーベラさん、私は目立ちたくありません、お願いします」
「クーマ・・・分かった」
「貴女の気持ちは分かる、私も同じ気持ちよ、でも、これは、クーマの為でもある」
「カリス、クーマに報酬」
「ええ、上乗せしとく」
「クーマ、ごめん・・・」
「いいえ、ご面倒をかけます」
「うん」
『ガーベラ、可愛い』
「お話は済みましたか? 」
「ああ」
「ご主人様はどうされますか? 」
「取り敢えず一度街に戻る」
「カリスさん7日ぐらいで良いですか? 」
「うーん、そうね4週ぐらいは居て欲しいかな」
「「「えっ! 4週もっ! 」」」
精霊達が騒ぎ出す、
「ちょ、ちょっと待って」
「静かに」クーマが嗜める、
「「「すみません」」」精霊達がしゅんとなる、
「ちょくちょく戻ってくる」
「本当に? 」
「ああ、大丈夫だ」
「分かりました、お料理の腕を磨いておきます」
「楽しみにしている」
「はい、頑張ります」
「では、カリスさん戻りましょうか」
「ええ、早いほうがいいわね」
「ガーベラ」
「うん、行く」
「何であなたが落ち込むの? 」
「だって、街に帰ったらクーマと会いづらくなるし」
「はぁ~、貴方達はパーティー何でしょ、別に良いじゃない、普通に会えば」
「でも、私、街では評判悪いし」
「それは、わかってるのね」
「なっ、ちょっとは否定してよ」
「それは仕方無いでしょ、散々やったんだから」
「そうだけど」
カリスがニヤッとガーベラに耳打ちする、
「ガーベラ、貴方の屋敷、部屋が空いてるわね」
「ええ、何で? 」
「クーマに、4週も宿暮らしをさせるの? 」
「あっ! さぁ、帰るわよ! 」
「ええ〜」
「クーマ行くわよ! 」
『なんか急に元気になった』
「じゃぁ、三人共、行ってくる」
「はい、お早いお帰りを」
「ああ」
軽く手を挙げ沼地を後にする、
沼地のはずれ
カリスのワイバーンが休んでいる、
その周りをスワンプリザードが囲んでいる、
「ルージュ! 」
カリスが慌ててワイバーンの名を呼ぶ、ワイバーンが頭を上げて一声鳴く、
「くそっ! 」
走り出そうとするカリスをクーマが止める、
カリスがクーマを見る、
「はぁ~、心臓に悪いわ」
スワンプリザードが道を開ける、
ワイバーンの前にボアの残骸?
カリスがルージュを見る、
「食べたの? 」
ルージュが顔を逸らす、
カリスが頭を撫でながら、ルージュに声を掛ける、
「美味しかった? 」
キュァ、
スワンプリザードを見て、
「ありがとう、守ってくれてたのね」
スワンプリザードが、少し頭を下げて下がる、
「クーマ、ガーベラ、行くわよ」
「ルージュ、私達を街へ」
キュァァァー!
三人が背に乗る、精霊達に見送られ、ルージュは街へ向かう、
沼地から飛び上がると、死の森が一望できる、
広大な森、その向こうにより広大な森が見える、
その先に険しい山々、
その先に壁のような山が立ち塞がる、
「凄いですね」クーマが呟く、
「クーマは知らないのね、この森の切れた先にあるのが絶望の森、行って帰って来た者はいない、
遠い昔には街があったらしいけど、行けないから確かめようも無い、
山脈の向こうに見えるのが壁」
「壁? 」
「ええ、あの向こうにも大陸は繋がっているけど、あの壁は越えれない」
「越えれない? 」
「ええ、あの壁は大陸の真ん中にそびえたつ巨大な山、北の大陸には航路で行くしかない」
カリスが言う、
「伝説に近いけど、あの山は本当に壁で中に楽園があるとも地獄があるとも言われている、まぁ、確かめようもないけど」
「そうなんですね」
『何かを感じるが』
「見えた」
遠くにコボルの街が見える、
「カリスさん、この子は早いですね」
「ええ、この子は特別よ、ワイバーンの亜種ルビーワイバーン、私が卵から育てた、もう100年ぐらいになる」
「100年!? 凄いな・・・普段は何処に」
「うーん、普段は異空間に居る」
「異空間ですか? 」
「ええ、本当は一緒にいたいんだけど、この子大きいから」
「あー、成る程」
話をしている内に街に着いた、
ルージュは静かに高度を下げていく、
門の前にはアランの姿が見える、
その少し手前にルージュが静かに降り立つ、
三人はルージュから降りルージュを労う、
「カリスさん、ルージュが小さくなれたらどうします」
「えっ、それは、ずっと一緒にいるわ、肩に乗せて連れ歩く」
「成る程、少し構いませんか」
クーマがルージュの前に立つ、クーマが手を伸ばす、
「クーマ、危ない・・・」
ルージュがクーマの手に顎を乗せる、
『ルージュが自分から・・・』
「カリスはお前と一緒に暮らしたいそうだ、お前はどうだ」
頭を上げ、カリスを見る、
カリスが見つめている、
ルージュが振り向きクーマに頭を下げる、
「分かった」




