表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/123

第115話 冒険者の街コボル

「私は泳ぎの苦手なあなたを、よく助けたと思うんだけど」

「私は木登りの好きな貴方が落ちる度に助けたわね」

「私は貴方によくおしっこをかけられた」

「それは私の子供の頃・・・ここに住んでいた頃・・・いつも一緒にいてくれた・・・精霊!? 」

「思い出したわね」

皆が嬉しそうな顔でガーベラを見る、

『なぜ気づかなかった? 』

目に涙があふれる、思い出が一気に蘇る、

「ウンディーネ? 」

「今はディーネよ」

「今は? 」

「私は、フィード」

「私は、アードよ」

「シルフとドリアードなの? 」

「ええ、さっきまではだけど」

「何、ガーベラ説明して! 」

「まぁ、わかるけど・・・取り敢えず、落ち着こうか、ね」

「ごめん、ちょっと混乱してる」

「お茶が冷めるわよ」

「ええ、いただくわ・・・えっ、この香りは・・・」

また涙が溢れ出す、

「カリスは昔から泣き虫さんね」

「うるさい! 」

「またこの香りを楽しめるなんて・・・もう二度と飲めないと思っていた・・・」

「そうね、これからは何時でも飲めるわよ」

「そうなのね・・・」

カップを手で包むカリスの顔を夕日が染め始める、


夕日が落ち辺りが夜に染まっていく、

満天の星空が皆を照らす、

皆が何も言わず、その空間に浸っている、

『この星空いつぶりだろう』

カリスが我に返る、

「星空・・・夜になった!」

辺りに蒼白い光が溢れる、

「カリス、これでいいかしら」

アードが応える、

「ええ、明るくなった・・・じゃなくて! 」

『魔獣の気配が、囲まれている』

ガーベラが横目でクーマを見る、

『気にもしてない、と言うことは慌てる必要はない』

「ふっ、慣れたわね」

その前でカリスが慌てている、

精霊達は、わかっているようだ誰も動かない、

「ガーベラ、魔法で蹴散らして、その隙に私が・・・」

剣に手をかける、

『ない? 何で? しまった慌てていた、置いてきた』

「武器はある? 」

そう言うカリスを横に皆はまだお茶を楽しんでいる、

「何をしてるの? ガーベラ感じないの」

「あ〜、すぐに慣れるわ」

「何を・・・ガーベラどうしたの? 」

『駄目だ、私が何とかしないと、この辺りにいるのは最低でも"A"ランク以上、クインがいなくなったとはいえ、勝てるのか? 』

「どうした、襲って来ない? 」

「カリス、落ち着いて」

「これが落ち着ける状況!? 」

「言いたいことはわかる、でも落ち着いて」

「でも・・・」

「大丈夫よ」

「・・・わかった、心配はないのね」

「ええ」

精霊を見る、頷いている、

「はぁ~、久し振りに冷や汗をかいたわ」

「ハハハ、直ぐに慣れるわ」

「で、話してくれるんでしょ」

「そうね、クーマどう? 」

「カリスさんを信じますか? 」

「勿論」

「では、どうぞ」

「カリス、良いわね? 」

「わかった」

「どこから聞きたい? 」

「賞金首から」

「いいわ、賞金首の三人を追ったのは知っているわね」

「ええ、でも捕まえたのは四人よね」

「そう、私も気づかなかった、あの四人目には、けどクーマは気付いていた、私がいたことも」

「"ハイド"は? 」

「使ってたわよ」

「あなたの"ハイド"を見抜いた? 」

「そうよ、自信を無くしたわ、それにあの四人目を倒したのもクーマよ、と、言うよりも私が手を貸すこともなかった、そこからは知っている通り」

「あとは此処に来てからの話ね、あの後遅れを取り戻すため全力でここまで走った」

「全力? 」

「そう全力、振り切るつもりで」

「でっ」

「無駄だった、息も上がってなかった」

「それって・・・」頭を振る、

「それで」

「森を抜けるまでは気配を消して戦闘を避けた、崖の上から此処を見た時は諦めようと思った・・・でも、その時いきなり風が吹いて、沼が一望出来た・・・」『風が吹いた? 』

「フィード、あなたもしかして」

「何のことかしら? 」

『やったわね・・・』

「クーマ、依頼書見せて・・・」

『やっぱり、この残穢アードとフィードどうやって・・・? 』

「まぁ、いいか、今更だし」

「ガーベラ、一人で納得しないで教えて」

「ああ、ごめん、これよ」

「これって、例の依頼書? 」

「ええ、やったのは精霊達よ」

「えっ、どうやって? 」

「あなたのところにも届いたでしょ」

「あっ」

「ねっ」

「じゃぁ、ギルドの責任じゃないわね」

「承認したのはギルドよ」

「うっ、まぁ、その話は置いておいて、どうやって倒したのクインを」

「クーマがぶん殴って腹を割いた、そこに魔法をぶち込んだ」

「ちょっと、今、すごい事を聞いたんだけど、ぶん殴った? 」

「そう、ぶん殴った」

「腹を割いた? 」

「そう、しかも短剣で」

「嘘!? 」

「今更、嘘を言っても仕方ないでしょ」

「だって、そんな話、信じるほうが無理よ」

「でも、慣れて! 私もやっと慣れたんだから」

「慣れろって・・・」

「もう一つ、いや二つ、三つ、ええい、面倒臭い、カリス、今から言う事に質問は無し! 説明出来ないから、慣れて! いい、沼を浄化したのはクーマ、精霊達に名を与えたのもクーマ、この地が聖域みたいになっているのもクーマ、魔獣が襲ってこないのもクーマ、多分、以上」

カリスがポカンとしている、思考が停止したようだ、

「はぁ~、スッキリした、アード」

「なーに」

「もう一杯頂ける? 」

「ええ、何杯でも」

「有難う」

「ご主人様もおかわりを」

「ああ、すまない・・・」

「どうされました? 」

「いや、ちょっと頭に浮かんだんだが、コーヒーってあるかな? 」

「コーヒーですか? ありますよ、飲まれる方は少ないですが」

「そうなのか? 」

「ご用意しますね」

「出来るの? 」

「はい、直ぐに」

アードが地面に手を翳す、木が一本急激に育ち赤い実をつける、それを集めて種を取り出す、

「精霊達お願い」

そう言うと地面が盛り上がり、変わった形の竈になる、上の窪みに種を入れ、

「ガーベラ、火を起こしてくれる」

「ええ」

ガーベラが指差すと竈の薪に火がついた、

フィードが風を送り火力を上げる、

窪みの中の種を回しながら煎っていく、直ぐに色が変わりいい香りが辺りに立ち込める、

「良い香りね」

「もういいかしら、フィードお願い」

「はーい」

風が焦げた豆を巻き上げる、少しずつ回転が早くなり種が粉々に粉砕されていく、

「こんな感じでいい? 」

「ええ、有難う」

今度は先程の窪みに砕けた種を入れ、

「ディーネ、お願い」

窪みに水を入れる、

「これぐらいかな」

「そうね」

水は直ぐに湯になり黒く変わる、その上澄みを掬ってカップに移し、クーマに差し出す、

「お口に合えばいいのですが」

「有難う、頂きます」

クーマがカップを持ち香りを嗅ぐ、

「いい香りだ」

そのまま口に運ぶ、

「美味い! 」

「有難うございます」

ガーベラが自分のカップとクーマのカップを見比べながら、

「クーマ、美味しいの? 」

「ええ、とても」

「一口貰ってもいい? 」

「どうぞ」

クーマがカップを差し出す、

香りを嗅ぐ、

「良い香りね」

そのまま口に運ぶ、

「苦い」『でも嫌な苦さじゃない、苦味のあとに広がる酸味が口の中をさっぱりさせてくれる、鼻に抜ける香りが心地良い』

「何だろうすごく落ち着く」

「もう一口、はぁ~、落ち着くわね」

「もう一口・・・」

クーマと精霊が顔を見合せる、

「気に入った様ですね」

「みたいだな」

「新しいのを淹れます」

「ああ」

「あっ、ごめん」

「良いですよ、気に入って頂いてよかった」

「美味しいわ」残りを一気に飲み干し、

「おかわり! 」

「はい、ちょっと待ってね」

「はっ」カリスが戻ってきたようだ、

「何、良い香り」鼻をヒクヒクさせる、

「やっと戻ってきたわね」

「ごめんなさい、色々と整理がつかなくて・・・」

「わかるわ〜」

「慣れるしか無いのね・・・」

「ええ、慣れるしか無い」

「それよりも、何を飲んでいるの? 」

「コーヒーよ」

「コーヒー? あの苦い薬みたいなやつ」

「そうなの? すごく美味しいわよ、癖になりそう」

「カリスも飲む? 」

周りを見る、皆が飲んでる、良い香りが鼻をくすぐる、

「貰って良い? 」

「ええ、どうぞ」

香りを嗅ぐ、

『良い香り、何故か落ち着く』

恐る恐る一口、口に広がる苦味、後を追う酸味、鼻に抜ける香り、

「はぁ~、これが、コーヒー? 」

「どう? 」

「美味しい・・・」

「私は初めて飲んだけどこんなに美味しかったなんて知らなかった」

「当然よ、コーヒーなんて貴族でも滅多に飲めない高級品よ」

「そうなの」

「ええ、私も以前貰って、期待して飲んだけど苦いだけで薬を飲んでるみたいだった、だいたいどうやって手に入れたの? 」

「アードが作った」

「えっ」アードが指差す、

そこに赤い実をつけた一本の木、

「これって珈琲の木? 」

「そうよ」

ガサガサ、音のした方を見る、そこにスワンプリザードが一匹、

『油断した! 目の前、殺られる! 』

ドサッ、目の前に大きなフォレストボアの死体、

クーマがスワンプリザードに向かって一言、

「ご苦労さん」

それを聞いた、スワンプリザードが頭を下げて下がって行く、

「ご主人様、夕食をご用意いたします、宜しいですか」

「頼む」

「はい、失礼します」

「皆集まって」

ザワザワと少し周りが騒がしくなり、ボアが運ばれて行く、

カリスが口をパクパクしている、

「カリス、慣れて」

「はぁ~、精霊が食事の準備? 嘘? ガーベラ、貴方は何でそんなに落ち着いてられるの」

「慣れたから」

「慣れたって」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ