第111話 冒険者の街コボル
四人が少し離れた場所に移動する、
「カリスどういう事」
「そうね、今回貴方達が捕まえた賞金首、初心者を襲っていただけではないようなのよ」
「カリス殿、そこからは私が話しましょう」
「実はその三人には目を付けていました」
「王国騎士団が? 」
「はい、ガーベラ殿ならお気づきかと」
「宝物庫に賊が入り、護符が盗まれた、か」
「はい、やはり知っておられましたか」
「色々と情報は入る」
「成る程、では、お話しましょう、三人はギグス、ボルグ、ガン、もとシープレニアの盗賊団のリーダーと側近です、そしてもう一人、アルバイン、こいつは王国騎士団の団員です、以前より盗賊団と内通していた様で、盗賊団殲滅のおり、事前に情報を流しリーダーと側近を逃がした」
「その後、自身も騎士団を抜け逃亡、コボルで合流した様です、最近になり、やっと足取りを掴み、こちらに向かっておりました」
「カリス殿にお会いした所、既にガーベラ殿が向かわれたと、任せておけばよいと言われ待機しておりました」
「成る程、じゃぁ、護符を盗んだのは」
「はい、アルバイン、影のマントと共に復活の護符を盗みました」
「やっぱりあれは影のマント、どうりで"サーチ"にかからなかったはず」
「よく見つけられましたね」
「あ〜、それは、クーマのおかげよ、ねぇ」
「へっ! 」
『なんで振る! 』
「とんでもない、たまたまそいつが胡椒に反応しただけで」
「胡椒!? 」
「はい、襲われた時に慌てて投げた袋に胡椒を挽いた物が入ってまして」
「胡椒か・・・」
「はい、たまたまです」
「ハッ、ハハハ、胡椒とはな、影のマントの意外な弱点だな」
「本当ですね」
「アハハハ」
みんなの乾いた笑い声が響く、
「ガーベラ殿、クーマ殿、奴らは国の恥であり、我等騎士団の恥、ありがとう、感謝する」
「いいえ、私は報酬で動く賞金稼ぎ、報酬さえ頂ければそれでいい、感謝はありがたく臨時報酬と思うようにする」
「勿論、報酬は弾んでおく、但し」
「言わなくて良い、信用は大事だ」
「ああ、そうだな、信用は大事だ」
何故かクーマを見る、
「ご心配無く」
「うむ、それでは我等は先に失礼する、早く報告をしないとな」
「お気を付けて」
「積み込んだか! 」
「はい! 何時でも出れます! 」
「では、行こう! 」
マクスレンが立ち止まる、
「ガーベラ殿これを! 」
何かを投げた、布?
「ではまた、いつかお会いしましょう! 」
受け取ったそれは、
「影のマント! ちょっとこれ良いの! 」
マクスレンが手を挙げて応える、
残ったのは、カリス、アレン、ガーベラ、クーマ、
「ちょっと、ガーベラ、どう言う事、説明して」
「あ〜、それは色々とあって」
「ガーベラ様、良いですか」
「何? アレン」
「クーマは本当にパートナーですか? 」
「どういう意味? 」
「クーマは今日、冒険者登録をした、間違い無いか? 」
「はい」
「何時コボルに来た? 」
『不味いな、どうする』
「アレン、クーマは私のパートナー、身元は説明出来ないけど、私が保証する、それじゃ納得出来ない? 」
「ガーベラ様が保証すると? 」
「ええ」
暫くの沈黙、
「分かりました、それならば良いでしょう」
『いい笑顔だ、助かった』
「ガーベラ、今度ゆっくりお茶をしましょうか、クーマも一緒にね」
「いいお茶を用意してね」
「ええ、とっておきを用意するわ」
「所でカリス〜」
「何よ」
「これを見て」
「依頼書? 古い紙ね」
「"F"ランクの依頼書、クーマの受けたやつよね」
「ええ、内容を見て」
蘇生薬の素材採取
北の沼地に自生する
リサーション草の採取
報酬500g金貨1枚
「はぁ、こんな依頼ある訳がない! 」
「よく見て」
「何を? 」
ギルドの承認印が押してある、
「えっ! 嘘! 」
「で、ギルドとしてはどうなの? 」
「どうって、どうしよう? 」
「クーマさん! ごめんなさい! これはギルドのミスです、こんな依頼を"F"ランクに承認するなんて、本当に申し訳ありません」
「いえ、持って行ったのは私ですし、お気になさらず」
「でも何でこんな依頼が、誰が依頼を? 現状を知らないの? 」
「それよ、今、コボルで現状を知らない者はいない、なのに依頼を出した、それに、その紙古すぎる、さっき"プローブ”をかけたけど・・・」
「で」
「その紙50年以上はたっている、それに精霊の残穢がある」
「精霊? 」
「ええ、まぁ、いいわ、その依頼は取消でいいわね」
「勿論、こんな依頼でペナルティは付けない」
「ちょっと待って下さい」
「何? 」
「いや、色々ある様ですが、依頼は存在する、そして私は依頼を受けた、受けた以上はこなして見せる、私は冒険者ですから」
「だから、さっきから言ってるじゃない、その依頼はあってはならない依頼なの、だから・・・」
クーマを見る、
『何故だろう、クーマなら出来る気がする、いえ、何かが変わる気がする』
「クーマさん、ギルドとしてはこのような依頼を承認するわけにはいきません」
「見せて下さい」
「え、ええ」
「既に承認されていますよね」
「いえ、ですからそれは・・・」
「カリス、その依頼受けるわ」
「えっ、何を言っているの? 」
「私の冒険者登録は残っているよね」
「それは残っているけど」
「じゃぁ、私はクーマとパーティーを組んだ、一緒に行っても問題ないわね」
「貴方、何を言っているか分かっているの」
「ええ、多分少しおかしくなってる、でも、何を言っているかはわかってる」
「本当に行くの? 」
「ええ」
「あの、私の意見は? 」
「聞かない」
「えっ」
「どうする、ギルドはこの依頼を取り消すと言ってる、でも私が一緒なら受けれる」
「ガーベラ、私は良いとは言ってない・・・」
「えっ! 何!? バラすわよ」
「わぁー、卑怯者! 」
「さぁ、クーマ、私を連れて行く、行かない」
「分かりました、お世話になります」
「わかった、もう止めない、でも忘れないで、必ず生きて帰る」
「ええ、わかっているわ、必ずクーマを連れて帰る」
「ええ、賞金は預かっておくわ」
「お願いね」
「さぁ、クーマ行くわよ! 」
「はい、では、カリスさん行ってきます」
「必ず帰って」
「はい」
「クーマ! 」
「では」
死の森
「クーマ速いわね」
「そちらこそ」
「私はこれでも"S"ランクだからね」
『"S"ランクと対等に走れる"F"ランクって何なの』
「さて、ここからが本番よ、死の森はランク"A"以上の魔獣がゴロゴロいる、気を引き締めていきましょう」
「対策は? 」
「フッ、ひたすら見つからないようにする」
「ハハハ、わかりやすいですね」
「当然、可能な限り戦闘は避ける、それと、これはクーマにあげるわ」
そう言って、空間収納から影のマントを出す、
「これは、ガーベラさんが頂いたものです、頂けませんよ」
「クーマ、私には"ハイド"がある、だから必要が無い」
「成る程、借りておきます」
「じゃ、行きましょう」
「はい」
ガーベラが魔法を唱える
「"ハイド"」
気配が消える、
クーマがマントを羽織る、
森の中を慎重に進む、ガーベラは知っているのだろう、迷いなく道なき道を進んでいく、途中幾度か魔獣に遭遇するが予定通り戦闘を避ける、
「もうすぐ、森を抜ける、少し休みましょう」
突然ガーベラが声を掛けてくる、
「分かりました」
「クーマ、どう疲れてない? 」
「ええ、これぐらいなら」
「本当に貴方は何者なの? あっ、素性を知りたいとか、そんなんじゃないからね」
「わかってます」
「"ハイド"で気配を消した私を正確に追えるなんて、なかなかいないわよ」
「それは所々で痕跡を残してくれているからですよ」
「知ってたの」
「はい、パートナーですから」
「えっ」
少し照れる、
『私は何を照れてる! それに何で私はここにいる? クーマは"F"ランク、いくら素質があっても無謀にも程がある、でも、ワクワクが止まらない』
「先に言ったように、私には記憶がありません、ですので、クーマという名前も本当の名前かどうか分かりません、分かっているのは、取り敢えず生きる為には冒険者になるしか無かった、と言うことだけです」
「何も記憶がない? 」
「多分」
「そう、分かった、この話はこれで終わり、何か思い出したら教えてくれる」
「ええ、ガーベラさんになら」
顔が赤くなったのがわかる、
『私は何を照れている! 』




