表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/81

第11話

ノックの音がした、

「どうぞ」

軽く会釈して、ノランが部屋に入ってくる、

「お嬢様は、よくお眠りになっておられます、

素材の処理は終わっておりました」

「そうですか」

「ジェルダさん達には、感謝しなくては、宴会に参加できなかったのは申し訳ない」

「それは構いません、自業自得です」

「そうですか・・・ありがとうございます

ノランさんもコーヒーいかがですか」

「私ですか・・・」

少し悩んで、

「頂きます」

そう言って、戸棚からカップを取り出し、テーブルに置く、

俺はポットを取りコーヒーを・・・

『冷めてるな・・・』ポットに熱が加わる

『うん』ノランのカップにコーヒーを注ぐ、

ノランがこっちを見つめている、

「今のは魔法? 」

「ええ、ほとんど使えませんが、少しだけ、ハハハッ」

「そうなんですか・・・」

「あの・・・いえ、何でもありません」

ノランは一口飲み、

「美味しい・・・」

「美味しいですよね」

「はい」

二人は夜の森と、夜空を見ながら、コーヒーを味わう・・・

無言の時が流れ、飲み終わったカップを眺め、

おもむろに、

「クーマ様・・・」

(真剣な顔だ)

「はい」

「お嬢様をお願いします・・・何があっても・・・」

にっこり笑い席を立つ、

「ご馳走様でした、後は片付けておきます、

クーマ様は、おやすみくださいませ」

「わかりました」

「おやすみなさいませ」

ノランはカップをトレイに乗せ、一礼したあと部屋を出ていく、

『何があっても、か・・・』


翌日の朝、

いつもより、少し遅く目が覚めた俺は、窓辺に座り昨日のことを思い出す、

『色々不味かったな、まぁ、皆が知らぬ顔をしてくれるならそれでいい』そう思いながら外の景色を見ていると、シフォンがいきなり部屋に入ってきた、

「クーマ様! 昨日はすみませんでした! 」

そう言いながら駆け込んできて、その場に座り込む、後にはノランの姿が見える、

何のことか分からず、ノランの顔を見ると、

「昨日、酔って寝てしまったお嬢様を、クーマ様に運んで頂いた事を、お話しましたところ現在に至ります」

『ナンノコッチャ! 』

「シフォン様」

「"さま"」肩がぴくっと動く、

「オホン、シフォンさん、立って下さい」

こちらを見たシフォンは、今にも泣きだしそうだ、

「私は、シフォンさんを抱っこ出来て、良かったですよ」

シフォンの顔が一瞬で真っ赤になり、下を向いてしまった、ボソボソとなにかを言っている、

「せっかくクーマ様に、抱いていただけたのに、

私は・・・私は・・・寝ていたなんて、何で起こしてくれなかったのですか、しかもベットに運んでもらったのに・・・」

「そのまま・・・ウヒヒ・・・」

『そのままどうしたい? 何か怖い・・・』

「お嬢様! 」

ノランがシフォンを現実に引き戻す、

はっと振り向く、

ノランがシフォンの耳元で

「よ・だ・れ」

慌ててすすり、手首で拭いている、

『なにを考えてた』

シフォンはスッと立ち上がり、

「クーマ様、昨夜は大変ご迷惑を、お掛けしました、後ほどお迎えにあがります「

「わかりました、おまちしております」

「では、失礼します! 」

逃げるように飛び出していった、

その後ろをノランが追いかけていく、

『ふっ、困ったお嬢様だ』

少しして、シフォンが一人、部屋に戻ってきた、

「クーマ様、お食事の準備ができました、おまたせしました」

「いえ」今日は青いドレスを着ている、

何故かそわそわ服を直している、

俺は近づきシフォンの手を取る、

「今日も美しい、すごく似合ってます」

(言ってて照れてしまった)

シフォンは一瞬こちらを見て、下を向いてしまった・・・「いじわる」

「さぁ、食事に行きましょう」

「はい」シフォンは腕を絡めて歩き出す

昨日と同じ朝食の食堂、

入るとそこにはマルガリータが居た、

「おはようございます」

「クーマ殿おはよう」

「マルガリータ様どうして? 」

「一応ここは私の家でもある、いるのは不思議かな? 」

「申し訳ありません、他意はありません」

「わかっているよ、冗談だクーマ殿は真面目だな」

「勘弁して下さい・・・」頭をかく

「すまんな、実は父上がな・・・」

「どうかされましたか? 」

「朝まで付き合わせた上に寝てしまった、先程、寝室に放り込んだところだ、今日は起きてくまい」

「脅かさないでください」

「それと一つ、クーマ殿に伝えなければいけないことができてな」

「私に、ですか」

「そうだ」

「何でしょう? 」

「今日は、休んでくれ」

「はっ、えーと、今日は休めとは、採取のことですか? 」

「そうだ」

「宜しければ理由をお伺いしても? 」

「聞けばあとに戻れんぞ」

(真剣な顔、何があった? )

「わかっています」

「・・・いいだろう」

(思わず唾を飲み込む)

「昨日の宴会で、父上がダルク家が許可するなどと言ったものだから、皆、はしゃぎすぎてな、使い物にならん、だから今日は、大人しくしていてくれ、頼む」

「は、はい・・・」

「と言うことなので、今日はシフォンの相手を頼む」

「お姉様っ! 」横で吹き出している

「アクスに聞いたぞ・・・」

「ブランデーを一気飲みしたそうだな、しかも、その後クーマ殿に、お姫様抱っこされるなど、羨ましい」

シフォンの顔がみるみる赤くなる、

「お姉様! 」

「ハハハッ、冗談だ」

「だがクーマ殿、休みの話は本当だ、よろしく頼む」

「わかりました、私も昨日のことがありますので、もう少し安全なプランを検討します」

「そうだない、いつも運が良いとは限らない」

「はい」

マルガリータは食後の紅茶を飲み干し、

「それでは私は詰所に戻る、ノランお父様を頼む」

「かしこまりました」

「シフォンからも父上に言っておいてくれ」

「はい、お姉様」

「では、失礼する」


『急遽休みが決まった・・・何をしようか? 』

考えていると、隣のシフォンが、俺の腕を掴み、

「今日は私にお付き合い下さい」

じっ、と上目遣いで見つめる、

(この目には敵わない)

「わかりました」

シフォンの顔がパッと明るくなる、

食後のコーヒーを飲み干し、そわそわするシフォンに連れられ、屋敷を出る、

まず向かったのは厩舎、

ポニーが気付き、ガウッガウッ唸っている、

シフォンが扉を開けると、抱きかかえて顔を舐めまくる、

「ポニー! 待ちなさい」

「ポニーチョット落ち着きなさい! 」

ポニーがキョトンとして座り込む、

まだ、ハァハァ、言ってる、

近くにいたメイドが、慌ててタオルを持ってくる、それを受取、顔を拭く、

「ふー」

また、ポニーが舐めようとするのを止めて、頭を撫でる、

「昨日は私たちを運んでくれたのですね」

グァ!

「ありがとう、ノランがすごく喜んでいたわ、ポニーがすごく優しかったって」

グァー!

「また載せてあげてね」

グウァー

「さぁ、厩舎に戻って、何かあった時は頼りにしてるわね」

ポニーはこちらを見る、

グァ〜グァ〜

シフォンが少し下がる、

ポニーは俺に近づき頭を擦り付ける、頭や喉、顎の下などをしっかり掻いてやる、目を瞑り喉をゴロゴロ鳴らし気持ちよさそうだ、

その姿を優しい目でシフォンが見ている、

「さぁ、ポニー」

そう言うと、ポニーは踵を返し厩舎に戻っていく、名残惜しそうに振り向きながら、

シフォンは扉を閉め、

「クーマ様次です」

また、俺の手を取って歩き始める、今度は作業場、そっと中を覗き込む、

ジェルダと3人のメイドが、昨日の後片付けをしている、素材は全て加工され綺麗に並べられている、

メイドの一人が気づきシフォンに挨拶をする、他の者も直ぐに挨拶をする、

シフォンはジェルダに近づき、

「流石ですねジェルダ」

「はい有難うございます、この程度であれば一人でも余裕ですよ」

シフォンが振り向きニッコリして、

「クーマ様、余裕だそうですので、本格的な採集をすると、どれぐらいになりますか?」

シフォンがニッコリ笑う、

「そうですね、今回の倍ぐらいは問題ないかと」

「えっ」ジェルダの顔色が変わる

「お嬢様すみません・・・」

「許してください大口を叩きました、今回の量でいっぱいいっぱいです、一人では無理です〜」

「素直で宜しい、クーマ様、またジェルダが大口を叩いたら・・・」

「もう言いません、ですから勘弁してください」

「わかりました、あなたの実力は、よく理解しているつもりです、ですが傲慢は許しませんよ」

「はい、じょ・・・」

ジロリ・・・

「お嬢様、以後気をつけます」

「ジェルダさん有難うございます、安心して採取に行けます」

「お手柔らかにお願いします」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ