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第106話 冒険者の街コボル

今回から冒険者の街コボルが始まります、

『ここは何処だ? 』

真っ暗で何も見えない、遠くの方で音が聞こえる

ザッザザッザッ、

『雑音・・・? 』

まるでラジオの調整をしているようだ、

薄っすら明るくなってくる、急激に音と光が襲いかかる、そして急に静かになる、

光が落ち着くと段々と周りが見えてくる

薄暗い狭い場所、

『路地? 』

周りを見ると少し先が眩しい、少し歩いて通りを見る、

『ここは何処だ? 』

見たこともない風景、

通りを行き交う人の姿に違和感を覚える、思わず自分の姿を見る、

明らかに通りを行き交う人と違う服装

『ここは何処だ? 』

何度目かの自問、

さっぱりわからない、答えは無い、ふっと頭によぎる、

『俺は誰だ? 』

新しい疑問、もう一度自問する、

『俺は誰だ? 名前は、年は、何処にいた? 』

やはり答えは無い、呆然としかけた時、頭に浮かび上がるイメージ?

現状、自分を証明することが出来無い、今の自分の状況がわからない、

第一目標、自分の証明及び地位の確立、現状分析、

『なんの事だ? 自分の証明? 現状分析? 』

もう一度通りを見て観察する、わかった事、

俺は記憶を失っている、服装が明らかに違うことから、この土地の者、もしくはこの国の者ではない、

服のポケットを調べてみる、何も入っていない、自分を証明することが出来無い、

『なるほど・・・』

イメージの意味がわかった、

『どうする? 』

もう一度通りを見る、まだ人通りは少ない、動くなら今だが、ふと目が止まる、

通りの向かいに冒険者ギルドがある、

『ギルド? 何故わかる? 』

俺は頭を振って疑問を振り払う、

『疑問は後で考えよう、今は行動あるのみ』

俺は路地を出て、出来るだけ目立たぬ様に通りを横切り、ギルドの前に立つ、

冒険者になる、何故かはわからない、しかし、現状選べる選択肢はそれしかないような気がする、

『後は、冒険者になれたら考えよう』

扉に手をかけ押し開き、中へ入った、何食わぬ顔で周りを見渡す、

真正面にカウンター、女性が三人、

右手前は幾つか丸テーブルが有り、奥にバーカウンターらしきもの、中にバーテンらしき人影

左奥には低めの広いカウンター、こちらにも手前にテーブルが有る、

俺は真っ直ぐ歩き真正面のカウンターへ向かう、

「お早うございます、登録ですか? 」

「登録? 何故登録だと? 」

「初めて見るお顔でしたので、違いましたか? 」

『受付? かなり強いが』

「いえ,登録に来ました、ただ冒険者の事を、まだよくわかっていないので、どうしたものかと・・・」

「なるほど・・・わかりました少しお待ち下さい」

受付嬢は奥に入っていった、

『まずかったか? 』

「こちらへどうぞ」

先ほどの受付嬢が、奥から出て来てバーカウンター側のテーブルに案内してくれる、

進められたテーブルに座る

「私はカリスと申します、初めてのご登録で間違いないですか? 」

「そうです」

「わかりました、それでは説明をさせて頂きますね、あっ、その前に何かお飲みになりますか? 」

俺は金らしきものを持っていない、

「いえ・・・その」

カリスは何かを察したようで

「気にしないで下さい、ギルドのサービスです」

「有難うございます、それでは水を頂けますか」

「いいんですか? 」

少し首を傾げる、

「はい」

にっこり微笑み、

「わかりました」

カリスはそう言ってバーカウンターへ、

マスターらしき人物に注文をしてくれたようだ、直ぐに両手に持って戻ってきた、

大きなジョッキに水が入っている、氷はないがよく冷えている、カリスの方は小さなジョッキから甘い香りがする、

『ワインか? 』

「それでは、ご説明をしたいと思いますが、宜しいですか? 」

「はい、お願いします」

「まず、冒険者登録について、

登録については老若男女だれでも登録は可能です、特別な制限はありません」

「登録されるとギルドカードが発行されます、ギルドカードはこの大陸以外の大陸に行っても利用可能です、ほぼこの世界全域で利用可能です」

「但しごく一部で利用できない場合がありますので、大陸を移動されるときはご確認ください」

「ギルドカードに記載される内容は、名前・ランク・登録をしたギルドとなります、ここまでは宜しいですか」

「はい」

「次にランクと依頼について、ランクはその方の実績によって変動します」

「実績とは? 」

「依頼達成率や魔獣討伐数等で決まります、初めての登録であればランク"F"と、なります、ただし実力試験を受けて認められればより高いランクから登録も可能ですが、どうされますか? 」

「いえ、結構です」

「わかりました」

「ランクについては"F"〜"D"まで、と"C"〜"A"まで、それとオーバーランクの"S"があります、ごく少数ではありますが"SS"や"SSS"等もあります、これについては明確な基準がありません」

「基準がない? 」

「はい、言葉は悪いのですが、別名"化物"クラスともいいます、常識では判断できない強さ、とお考えください」

「なるほど・・・」

「それと依頼や魔獣にもランクが設定されています、依頼を受ける際は、よく確認してください、あちらの掲示板に各ランク毎の依頼が張り出されますので、よくランクを確認して受付にお持ちください」

『念を押してくるな』

「気づかれたと思いますが、念を押していますよ、決して無茶はしないでください」

「わかりました」『顔に出たか』

「それと冒険者になる方にとって一番重要な事、すべて自己責任である、という事、生きて帰る事、これを忘れないでください」

「わかりました肝に銘じます」

「説明は以上となります何か質問はありますか」

「あの〜報酬は・・・」

「あっ、すいません忘れてました、報酬は基本、依頼書に全て明記されています、但し特別な依頼の場合は別途相談となります、依頼外の採取・討伐についてもあちらの買取受付にお持ち下さい、基本は全て買い取らせていただきます」

「こちらについては、素材の品質や鮮度により変動いたしますのでご注意ください、宜しいですか? 」

「有難うございます」

「では、登録はどうされますか? 」

「登録をお願いします」

「わかりました書類をお持ちします、暫くお待ち下さい」

「お願いします」

カリスは書類を取りに席を立った、

俺は水を飲みながら周りを伺う、

ここに来てから、ずっとこちらの様子を伺っている者が全部で八人、

受付カウンター奥の事務所から一人、

バーのマスター、

買取カウンターから二人、

入り口付近のテーブルから三人と、

奥のテーブルから一人、

『やはりこの格好は目立つのか? まぁ事務所・バー・買取カウンターは気にしなくともいいだろう』

『入り口付近の三人もたかが知れてる、奥の一人、こいつはちょっとヤバそうだ、さっさと退散したいが・・・』

そう考えていると、カリスがテーブルに戻ってきた、手には書類と玉をを持っている、

「では、登録を始めましょう、まずはお名前をお願いします」

『えっ、そう言えば、ここに来てから名乗ってなかった、失礼なことをしたな、最も自分のことは何もわからんのだが、しかし名前が分からないは不味いな』

「あの〜」

不審そうな顔

「あっ、すいません、ぼ〜としてました

名前はクーマです」

『クーマってどっから出た! 』

「クーマ様ですね」

「あっ、はい」『しかたない』

「では、武具は何を使われますか? 」

「武具ですか? 特には使いません」

「えっ! 」

『まずかったか? 』

「あっ、すいません武具を使わない人はあまり見ないので、つい」

「いえ、短剣程度は使いますが」

「そうですね、初めての登録ですものね」

「それではこちらに手を置いていただけますか」

先ほど持ってきた玉を示す、

俺はそっと手を置く、

黒い玉の中心に光がともる、

小さな光が少しずつ大きくなりながら

色を変える、なんとも言えない光が瞬く、カリスがその光に見入っている、

『なんかまずいのか? 』

『これは何? 』

心が溶ける、暖かい光が心を包む、

表現出来ない安らぎが心を包む、

光は急速に小さくなり弱々しく瞬いている、その光は心に残る、

カリスはまだ玉を見つめている、

「あの〜カリスさん」

声を掛ける、

はっ、となったカリスはこちらを見つめ

また玉を見る、そこには弱々しく光る小さな光がある、カリスは目をパチクリしたあと、目をこすり、もう一度玉を見る、

大きく息を吸ったあと俺を見て残念そうな顔で、

「魔力はほとんど無いようですね、その他のステータスは素早さがずば抜けて高いですね"A"ランク並ですよ、これですとクーマ様が選べる職業は、

チェイサー(追跡者)

エスケイピー(逃亡者)

ハイディング(隠れる者)

これらの上位職

シーフ(盗賊)

などの職業が選べます

あとはあまり適正がありません」


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