第101話
「マルガ、東門はどうなっています」
「東門も待機場も被害が少なかったので、今は兵達の宿営地になっています」
「ソルやリュンヌ達、魔獣達の協力は大きかったですね、今後の事も考え一部を改装して、魔獣達が行き来出来るようにしようと思います」
「兵達が宿舎に移動すれば現在の宿営地が空きますので、そこを利用すれば良いかと」
「良いですね、魔獣と共生できるかもしれませんね」
「はい」
三人がクーマに寄り添う、
ギルドの建物、
街の5割は全壊及び全焼、
3割が被害小、残り2割はギルドの建物を含みほぼ無傷、
ギルドの地下にも食料庫を作ったので、ギルドでも食堂を再開している、こちらは人族が中心になっている、
「こんにちは」
「女王様! みんな場所空けろ! 」
アレックスが慌てて皆に声をかける、
アレックス、まちの再建にあたり、アルベルのギルマス代行を街に返した、街の代表から選ばれた、現ギルドマスター、
「いいですよ、気にしないでください」
「すいません」
「いいえ」
「所で如何なされました」
「はい、街の状況を見に来ました」
「そうでしたか、まずはどうぞこちらへ」
「皆さんもどうぞ」
「ありがとう、少しお邪魔します」
2階の執務室
「どうぞ、アリータ、コーヒーを淹れてくれ」
「構いませんか? 」
「ありがとうございます」
「皆も座ってください」
「失礼します」
暫くして皆の前にコーヒーとドーナツが置かれる、
「あら、ドーナツなんて久しぶり」
「こんな物しかなくて申し訳ない」
「いいえ、私は大好きなんですけど、なかなか食べさせてくれなくて、ねぇ、ノラン」
「女王はあったらあっただけ食べるからです」
「うっ、そんな事ないわよ・・・」
「女王様、宜しければ此処には何時でもありますから、何時でも来て下さい」
「本当ですか! また来ます」
「女王様、二つ迄ですよ! 」
「え〜、ケチ」
「え〜、ケチ、じゃありません」
「シフォン、ノラン、街の事を聞くのでは」
「あっ、ごめんなさい」
「ハハハ、女王様のお好きなものが分かってよかったですよ」
「ウフフ、美味しいです」
「さて、街の状況でしたね」
「はい、お願いします」
「ギルドを含む一角は、あまり被害を受けなかったので、一部を改修、それ以外も宿に武器屋、道具屋等を集めました」
「クーマ様のお知恵もあり、補強も抜かりなく」
「ギルドの地下には食料庫を作って頂いたので、緊急時の避難場所にも使えるように、考えています」
「アレックス、いつも通りでいいよ」
クーマが声をかける、
「あ、そうか、なら助かる、慣れなくてな」
「アレックス、私達もそれでいいですよ」
「分かりました、住居の方もクーマのおかげで思ったより早く住めそうです」
「そうですか、良かった」
「ええ、あのマンションのアイデアはすごいですよ、クーマは何処であれを知ったんだ」
「それは内緒です」
「まあいいさ、みんな喜んでいる」
「アレックス、魔獣達については? 」
「魔獣達? 」
「ええ、みんな怖がってなければいいんですが」
「ああ、それなら心配いりません、戦いの中、皆を守ってくれましたし、子供達にはすごく優しいんですよ」
「そうですか、ほっとしました」
「それに、魔獣達のお陰で作業が早く進みましたし、ただ・・・」
「ただ? 」
「子ども達に多いんですが、魔獣と意思疎通ができるみたいで、まあ、そう見えるだけなんですが、言ったことを理解しているみたいで」
「ああ、それなら普通に理解していますよ」
「へっ」
「魔獣達は此方の言葉を理解できますし、会話もできます、ただ念話に近いので、純粋な子供には理解できているのでは」
「俺たち大人には無理と・・・」
「いえ、魔獣達を認め相手の立場を尊重すれば可能かも」
「あっ、そう言えば聞こえた気がする、幻聴だと思って流していたが」
「え〜っと、クーマは話せるのか? 」
「ええ、私を含め夢魔族はほとんど会話できますよ」
「分かった、ちゃんと話してみる」
「所で魔獣達のリーダーと言うか群れのトップはどの魔獣なんだ」
「ご主人様です」
シフォンが答える、
ノランとマルガも頷く、
「いや、だからその御主人は誰なんです」
「クーマ様です」
また、ノランとマルガが頷く、
「え・・・クーマ? 」
クーマが苦笑いしながら答える、
「アレックス、フェンリルとグリフォンの長はソアー・フェンリル、名はソル、ポーキュパインの長はダーケス・ポーキュパインのリュンヌだ、因みにリュンヌは女性だ」
東門
こちらの被害は思ったより少なかったので門も防壁も修復はほぼ終わっている、時折空から、グリフォンが木を運んできている、今は兵達の宿泊場所になっている横の広場が資材置き場になっている、
そこに数頭の魔獣と兵がいる、
アレックスが声をかける、一人の兵が駆け寄って来る、
「ギルマス、どうしました」
「ああ、魔獣達と話がしたくて」
「話ですか? 」
「ああ、リードは話は出来るのか? 」
「私達は皆、出来ますよ」
「そう何だな・・・」
「どうして急に? 」
「子供たちが話しているの見て、なぜなんだろうと思ってな」
「そうですか」
「コツがあるのか? 」
「いいえ特には、ただ、彼等は信じる者であり、私達と同じ護る者ですから」
「信じるもの・・・護るもの・・・」
「まずは信じてみては」
『疑った事は無いつもりなんだが』
「私達と同じ護る者です」
「分かった」
「どうぞ」
アレックスがポーキュパインに近づく、
気づいたポーキュパインが近付いてくる、
『なんて言えばいいんだ』
「どうしました」
はっとなり回りをみる、
「こちらです、話すのは初めてですか? 」
アレックスがポーキュパインを見る、
「あなたの声が聞こえる」
「それは良かった」
『今までなぜ聞こえなかったんだ』
「それは魔獣と人だから、ではないですか、私達は護る者、そして貴方も護る者、お互いを認めれば、種族は関係ないのでは」
『種族は関係ない・・・か』
「ええ、最もこの力はクーマ様から頂いたものですが」
「なぜ、わかる・・・そうか声は必要ないんだな」
「そうですね、ある種の念話のようなものです」
「分かった、やっと分かったよ」
「そのようですね、これからもよろしく」
「ああ、こちらこそ、よろしくお願いする、所でお願いがあるのだが」
「何でしょう」
「君達の長? リーダー? にお会いしたいのだが」
「長に? 何故? 」
「ああ、ちゃんと礼を言っていない」
「それは・・・」
真剣な顔のアレックス、
「分かりました」
目の前のポーキュパインが一際高い声で鳴く、遠くの方からも声が聞こえる、暫くして遠くから近くへ声が帰ってくる、
「長がこちらに来られるようです」
「いや、それは申し訳ない、こちらから行かせてもらう」
「いえ、間もなく到着します」
「開門! 」
「えっ」
門が開く、数頭のポーキュパインに囲まれた、一回り大きな漆黒を纏う魔獣、ダーケス・ポーキュパインがリードに案内されて、アレックスの前に立つ、
『これがポーキュパインの長、美しい』
「ありがとう、褒めてくれて」
「し、失礼しました、まだこの会話の方法に慣れておらず」
思わず跪く、
「おやめ下さい、我々はクーマ様より友と呼んで頂いております、それ以上でも以下でもありません、ですので普段通りに」
「はい、ありがとうございます」
「で、ギルマス殿は我々に何か御用かな」
前を見るといつの間にかソアー・フェンリルが並んで立っていた、
思わずたじろぐ、
「どーした? 」
「ソルあなたが急に現れるからです」
「そうか、すまなかった」
「いえ、とんでもない」
「リュンヌ殿、ソル殿、此度の戦いの中、我らを護って頂いた事、感謝致します、その後も色々なご助力感謝に堪えません、ありがとうございます」
「お名前をお聞きしても? 」
「失礼しました、アレックスと申します」
「アレックスですか」
「ギルマスではないのか? 」
「ギルマスはギルドマスターの略です」
「そうか覚えておこう」
「お願いします」
「アレックス、我々はクーマ様の友です、友を助けるのは当たり前です、そして友の護るものは我々が護る者でもあります、これからも共に助け合いましょう」
「ありがとうございます」
「では、また会おう」
「はい」
「リードさん、クーマ様は居られますか? 」
「はい、確認いたします」
「いえ、構いません、ハクジャ様が来られているようです、構いませんか? 」
「どうぞ」
「アレックス、お二人を西門まで案内してくれ」
「ああ、分かった喜んで」
「どうぞこちらへ」
「ありがとう」
「アレックス、すまんな」
「いえ」




