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騎士団なのにやる気ゼロ!?最年少副総隊長は、今日も未完の物語を封印する  作者: 苺姫 木苺
第1章 東京編

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決着!勝利はどっちだ?!(改稿8/26)



階段を上がり、慎重に廊下を進む。

二階にも微かな血の匂いと、僅かな血痕の跡がある。その血痕をよく見てみると、おかしな血痕の跡が男子トイレに続いている。可笑しな血痕は何か引きずった様な跡だ。

男子トイレに恐る恐る近づくと、血の匂いが濃くハッキリと分かる。

白龍を構え男子トイレに入ると、息も絶え絶えの倉田が個室に寄りかかるようにいた。その倉田は可笑しな事に、先程まで着ていた制服を着ていない。もしかして……。

「倉田!!」

倉田の名前を大声で呼んでいるが、倉田は意識を失っていて返事はない。

返事がない現実に、胸の奥が冷たく締め付けられる。ほんの数分前まで大声で息巻いていたのに、今はただの抜け殻のようだ。命の灯火が消えかけているのを肌で感じた。

倉田の体は先ほどよりも体温が低く冷たい。

「……これはかなりまずいな」



男子トイレの入り口から「キュッ!」と音がしたのでばっと後ろを振り返ると、そこにいたのは佐々木君と三海君だった。ジャック・ザ・リッパーではなく一安心する。

「二人共、何でここに?」

「逃げ遅れた人がいないか見て周ってたんです」

「俺、護りの指輪持ってるんで」

僕は二人をジッと見て「はぁ……」と溜息を吐き目線を下げた。幾ら三海君の護りの指輪が結界を張れるからといって危ない行動だ。イメージをちゃんと練っていないと、結界は崩れるのにこんな危ない所に来るなんて馬場君もだがこの二人も無謀過ぎる。

「お説教は後にします。他の生徒は?」

「視聴覚室に立てこもって貰ってます」

「視聴覚室の中に内側からも鍵掛けられる倉庫あるんで。俺が提案しました」

恐らく三海君のサボり場所だから、そんなことをしているんだろう。

「他にも一階の保健室、校長室、職員室、三階の物置として使っている教室という感じに立てこもっています」

聞く限りは避難は完了しているみたいだな。僕は、ジッと佐々木君を見つめた。

「……佐々木さんの身長は確か163㎝でしたっけ?」

「え?はい」

「お願いがあります。僕の服と佐々木君の今着ている制服を、交換して貰えないでしょうか?」と少し恥ずかしいことだが言った。

「え?」

「切り裂きジャック……ジャック・ザ・リッパーが制服を着て、生徒に紛れているかもしれないんです。囮をするのに、この格好では罠に掛からないかもなので」

佐々木君は少し考えた後、「分かりました!」と了承してくれた。



佐々木君と僕は別々の個室トイレに入り、脱いだ服を上から交換する。

個室の外では、三海君が倉田と男子トイレの入口を見てくれているので急いで着替えた。

個室のドアを開けると、佐々木君も同じタイミングで僕の服を着て出て来た。

「……如月副総隊長、違和感無いですね!」

佐々木君がキラキラとした目で見てくる。

「確かに。これなら、切り裂きジャックも騙さると思う」

「なら、良かったです。倉田を連れて二人は避難を」

僕は背も小さく体系もごつくはないので、女子生徒の制服が着れるのだろう。まあ、こんな事以外で女性の服なんか着たくないがな!

佐々木君と三海君が「はっ!」敬礼し、三海君が倉田を背負った。

「僕がここから出てから、少ししたら行きなさい」

二人をジッと見て、うなずきあい男子トイレを慎重に出る。


廊下に出てみたがやはり誰もいない。

蛍光灯が所々血痕で赤い地面を照らしているのを見ると、何とも言えない気持ちになる。

避難している生徒達の怪我は大丈夫だろうか?亡くなっている生徒がいないか心配だ。

僕は、三年一組の教室前で足を止めた。三年一組の教室のドアに「Do you think you can catch me?《訳:俺を捕まえられるかな?》」と挑戦的なことが血液で書かれていた。

粘ついた血が乾きかけ、ドアの木目に染み込んで黒ずんでいた。廊下全体がその言葉に嘲笑われているようで、背筋が凍る。

きっとこの血液は、ジャック・ザ・リッパーがナイフで斬り付けた生徒の血だろう。

これを書くために、血液を集めたんだとしたら絶対に許せない!



ジャック・ザ・リッパーをおびき出す為に、足を引き摺って怪我をしている女子生徒になりきる。

白龍はジャック・ザ・リッパーに気づかれないように、ある教室に置いといた。

五分程足を引きずり廊下を歩いているが、ジャック・ザ・リッパーは出てくる気配が無い。

動き回っているからいけないのかと思い、今度は廊下の隅でうずくまって泣いているフリをしてみる。

しばらくしたら、人の足音が聴こえて来た。

「Are you alright?《訳:あの、大丈夫?》」と女子生徒が、心配そうにうずくまっている僕に話しかけてきた。

僕は女性らしい声になるように喋る。

喉が張り付くように乾いているのに、か細い声を絞り出した。バレたら終わりだ。たった一言が命の境目になる。

「Yeah,i'm fine《訳:うん、大丈夫》」

女子生徒は「It's dangerous here.I'll lend you my shoulder《訳:ここは危ない。肩を貸すわ》」と言って、僕に肩を貸してくれた。

「Let's hide there《訳:あそこに隠れよう》」と僕は三年一組の教室を指差す。

「OK!《訳:うん!》」

女子生徒に肩を貸してもらい、三年一組の教室の前に着いた。ドアを開けようとすると、後ろから女子生徒がナイフで襲い掛かってきた。僕は、これを予想していたので、しゃがみ込み避けた。

しゃがんだついでに少し右にずれ、三年一組の廊下側の下窓から白龍を取った。

「How did you know?《訳:何故気づいた?》」とジャック・ザ・リッパーは僕を睨み、イライラとした声で聞いてきた。

「I knew you might be a woman《訳:お前が女性かもしれないと知っていたからな》」

そう、ジャック・ザ・リッパーは男性だという者もいれば、実は男装した女性という者と言っていた人がいるのを知っていた。

騎士(ガーディアン)の資料でも「犯人は男ではなく女だった」という説が残されていた。歴史の闇に埋もれた可能性が、こうして目の前に具現化している。未完や伝説は、現実よりも強烈に形を持つのだ。

わざとらしく引きずった血痕を残す、制服を脱ぎ取られている倉田を置き去りにしたことからジャック・ザ・リッパーが女性と確信した。


白龍は眠っていて能力は使えないが、身体強化はされている。

僕は白龍を抜刀し、ジャック・ザ・リッパーに容赦なく斬りかかる。

「Shit!!《訳:クソッ!!》」

刀はジャック・ザ・リッパーの左肩をかすり、僅かに血が服に滲む。

鋼を通じて肉を裂いた確かな感触が伝わる。温かい飛沫が頬にかかり、血の匂いが一気に濃くなる。だが、かすった程度では殺しきれない……逆に怒りを買っただけだ。


「何だ、この禍々しい気配は?」

なんと眠っていた白龍が目を覚し、嫌々そうに喋った。

白龍が目を覚ましたんなら、能力が使える!これで、楽にジャック・ザ・リッパーを殺す事ができる。

殺人をする登場人物は騎士(ガーディアン)のパートナーにすることは出来ないので、ジャック・ザ・リッパーは殺すしかない。危険因子を物語(ライブラリー)騎士団(ガーディアン)に入れることは許されないのだ。



僕は、龍をイメージして「白龍」と唱えた。

白い光の粒子が渦を巻き、校舎の狭い廊下を昼のように照らした。龍の輪郭が浮かび上がり、空気が震え、窓ガラスがビリビリと軋む。

「What's that monster?!《訳:何だその怪物は?!》」

ジャック・ザ・リッパーは白龍の分身体を見て、口を大きく開け驚いている。このジャック・ザ・リッパーが登場する物語に仮想の生き物がいないのだろう。

白龍の分身体は前足でジャック・ザ・リッパーを握り、ジャック・ザ・リッパーを握り潰した。

潰される際ジャック・ザ・リッパーは、醜いうめき声を上げ息を引き取った。

骨が砕ける鈍い音と、布が裂けるような絶叫が重なった。生温い飛沫が飛び散り、やがて全てが押し潰された。廊下に重苦しい静寂が戻る。


三年一組の教室に入り、窓に掛かっていたカーテンを「ブチブチッ!」と無理矢理はぎ取った。

僕ははぎ取ったカーテンをジャック・ザ・リッパーの亡骸に「ファサッ」と覆いかぶせる。

こいつは人型だから、他の人には刺激が強すぎるからな。

「何だったんだ、そいつは」

目覚めたばかりの白龍が、状況が理解ができないようで僕に聞いてきた。

「敵だ」

こいつも裏切り者が仕組んだことだったのだろうか?





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