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騎士団なのにやる気ゼロ!?最年少副総隊長は、今日も未完の物語を封印する  作者: 苺姫 木苺
第1章 東京編

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24/30

出てきたのは、登場人物の切り裂きジャック(改稿8/26)



生徒達の悲鳴が大きくなるにつれて、血の匂いもはっきりと分かるようになった。

腕やお腹を押さえた生徒達が何かに逃げるように、僕達の方に走って来る。

「どうしたんだ?」と馬場君が逃げて来ただろう女子生徒を呼び止め聞いた。

「な、ナイフ持った男の人が急に襲ってきたの!!」

逃げて来た女子生徒は、下駄箱の方を見てガタガタと怯えている。

「君、怪我は?」

「私は、ありません。……私、友達置いて一人で逃げて来ちゃった」

逃げて来た女子生徒は友達を置き去りにしてしまった事を深く後悔しているのか、目には涙が溜まっている。

「分かりました。僕が助けに行きます。馬場君と佐々木君はこの事を先生達に伝えほかの子達と避難を」

「俺達も何か手伝わせて下さい!」

「訓練をして私達強くなっています!!」

馬場君と佐々木君は僕を力強く見て、この場に残りたいと意思表示をしてくる。

「駄目です。モンスターと戦うのと対人戦は全然違うんです」

僕は力強く言い、下駄箱の方に視線を向ける。今こうしている間にも生徒達は、僕達のいるほうに逃げてくる。嫌な予感が頭をよぎる……。

胸の奥がざわついた。訓練で鍛えているとはいえ、所詮はまだ子ども達だ。大人である自分が動かなければ、この場は誰も守れない。足が自然と前へ出ていた。



「俺が倒してやる!」と倉田という学生がふざけた事を言い始めた。

倉田という学生の表情は自信満々で、自分ならなんとか出来ると思っているようだ。

「やめなさい」

「はあ?!てめえの言うことなんか聞くか!!」

倉田という学生は僕の静止も虚しく、下駄箱の方に走って行った。

「あいつ……」と僕は倉田が走って行った方を見ながらイライラして呟いた。

止められなかった自分への苛立ちが喉に引っかかる。彼はただの生徒だ。もしあの先で死んだら……それは自分の責任になる。


「あ、あの如月副総隊長」

馬場君が僕がイライラしたのを見て少し戸惑っている。

「馬場君、佐々木君僕はあいつを追いかけます。指示通りにお願いします」

二人の顔を見て、体を下駄箱の方に向け下駄箱の方にいる子達を助けに走る。

逃げて来る生徒達にぶつからないよう避けながら下駄箱に近づいて行くにつれ、濃い血の匂いと血痕の後が酷くなっている。

壁や窓に血を擦った跡がある……。

鉄の匂いが鼻を刺す。壁には手のひらで塗りつけられたような血の跡があり、必死に逃げようとした爪痕さえ残っている。


下駄箱に着くと女子生徒が倒れていて、倉田がナイフを持った外国人の男に腹を刺されている。

女の子は意識が無いのかピクリとも動かない。

「お前!!何をしている!!」

大声でナイフを持った外国人の男に話しかけると、相手は不思議そうな顔をしている。

「You're a man so there's no use《訳:お前は男だから用は無い》」と言い、相手は僕を一瞬見て倉田に視線を戻した。倉田のお腹からはナイフで刺さっているせいで出血している。遠くからだからよく分からないが、致命傷の可能性が高い。

「Get away from that child!!《訳:その子から離れろ!!》」

英語で威圧を込めナイフを持った外国人の男に命令をするが、相手は僕の声なんか聞こえていないかのように無視をする。

この場には倒れている女子生徒、倉田、そして僕とあいつしかいない。シンと静まり返っているのに、空気は張り詰めていた。


「う”……い、てぇ」と苦しい表情をしながら倉田が喋った。首を掴まれピクリともしないから、倉田も意識が無いと思ったが朦朧としていただけのようだ。

再度「Gat away from that child!!《訳:その子から離れろ!!》」とあいつに言ったが、聞く耳を持たないので白龍を鞘に入れたまま斬りかかる。

流石に人を傷つける奴でも、一般人なのでそのまま斬りかかる訳にはいかない。


外国人の男は僕の攻撃を邪魔するかのように、倉田を僕の方に投げ飛ばした。

投げ飛ばされた倉田を受け止め、再び外国人の男に視線を向ける。外国人の男はもう一本のナイフを隠し持っていたのか、それで僕に襲い掛かって来る。

「Don't interfere《訳:俺の邪魔をするな》」

倉田を庇いながら外国人の男のナイフの攻撃を白龍で防ぐ。ナイフと白龍がぶつかり「ガキッ!」と鈍い音が鳴る。

火花が散り、一瞬視界が白く弾けた。腕に伝わる衝撃で骨が軋む。こいつの一撃は、ただの人間が放てるものじゃない。

倉田を軽々投げ飛ばす腕力、そしてナイフの斬撃の強さからしてこいつはもしかしたら人間ではないのかもしれない。普通の人間が人を軽々なんて飛ばす事は不可能だ。


答えないだろうが「What's your name?《訳:お前の名は?》」と聞いてみると、外国人の男はニタリと気味の悪い笑みを浮かべ「Jack.Jack the Ripper《訳:ジャック。ジャック・ザ・リッパー》」と返してきた。

ジャック・ザ・リッパーだって?!1888年のロンドンで犯行を繰り返した、正体不明の連続殺人の名じゃないか!

血の気が引く感覚がした。教科書の中でしか知らないはずの怪物が、目の前に立っている――。これが「未完の物語」の脅威なのか、と背筋に冷たいものが走った。

ということは、完結した物語から出て来た可能性が出てきた。完結したはずの物語ですら、こうして具現化するのか……。未完だけではない、物語そのものが現実に干渉してくるのかもしれない。

しかも、最悪の登場人物だ。相手は殺人のプロのなわけだから、心してかからないと僕も危ない。


「幸か不幸か登場人物だから、抜刀ができるな」

倉田を廊下の端に避難させ、白龍を抜刀する。ジャック・ザ・リッパーは標的を、倉田から倒れていた女子生徒に変え襲いに掛かりに行く。

急いで倒れている女子生徒のもとに駆け寄り、ジャック・ザ・リッパーのナイフの攻撃を防ぐ。

早くこいつのなんとかして、倉田と倒れている女子生徒を病院に連れて行かないと。二人の体の下には、血の海ができ始めている。

床板の隙間にまで赤黒い液体が染み込み、湿った匂いが立ち込めている。吐き気を誘うその光景に、思考が一瞬止まりそうになった。


このままでは、倉田と女子生徒は助からない……。倉田は先程まで意識朦朧としていたが、今は意識を無くしたのかうめき声すら聞こえない。

白龍で斬りかかると、ジャック・ザ・リッパーは近くにあったゴミ箱を僕に投げつけてきた。

ゴミ箱が僕に当たり、辺りには紙くずなどのゴミが散乱する。

ゴミ箱が僕の視線を塞がれたせいで、ジャック・ザ・リッパーがいなくなっていた。

「くそ!!どこに行った?!」と辺りを見渡すと倉田までもいなくて、倉田がいた場所に血の海があるだけだった。

近くに人の気配はしないので女子生徒に駆け寄る。女子生徒を上向きにし、どこを怪我しているの確認すると、脇腹をジャック・ザ・リッパーに刺されたようだ。

投げ捨てられていた、誰かのジャージを女子生徒に巻き付け止血をする。

止血をしていると、僕が来た方向から「パタパタ」と走って来る足音が聴こえる。

ジャック・ザ・リッパーだと警戒し振り返ると、走ってきたのは馬場君だった。

「如月副総隊長!無事ですか?!」

「……僕は逃げろと言ったはずですが?」と馬場君をじろりと見て言った。

「は、はい。でも、如月副総隊長を手助けしたくて……」

「はぁ……まあ、いいでしょう。今回ばかりは助かりました」

「え?」と馬場君は怒られないのが不思議なのかキョトンとしている。

脇腹を刺されている女子生徒をお姫様抱っこで抱き上げ、慎重に馬場君に女子生徒を渡した。

「脇腹を刺されているので、気を付けて下さい。この子を門の所まで連れていって下さい」

「動かさないほうがいいじゃないですか?」

「ジャック・ザ・リッパーが校内にいる限り救急隊は入って来れません。なのでここで救急隊が来るまで待っていたら、この子は命が持たないでしょう」

騎士(ガーディアン)の規則では、スタンピードや登場人物の出現区域には一般の救急は立ち入り禁止。だからこそ俺達が動かざるを得ない。

馬場君は女子生徒を一瞬見て、僕に視線を戻し無言で頷いた。

「頼みましたよ」

女子生徒を馬場君に任し、ジャック・ザ・リッパーを探しに行く事に。

馬場君が脇腹を刺された女子生徒をお姫様抱っこで玄関ドアから無事出たの確認し、僕は近くの階段を駆け上がる。




倉田も一刻も早く助け出さないと、命が危ない。



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