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騎士団なのにやる気ゼロ!?最年少副総隊長は、今日も未完の物語を封印する  作者: 苺姫 木苺
第1章 東京編

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20/30

勝利の果てに残るもの(改稿8/23)



「お前の仲間だったんじゃないのか?」と語尾を強めて睨みつけ聞くと、黒本は「ハッ!」と僕を見て笑ってきた。

「仲間?役立たずが仲間のわけないだろ」

黒本は仲間が死んでも気にしていないのが腹の底から苛立つ。こんなのが、同じく国民を護る者なのか?

「葉桜隊長、予備隊員と正隊員達の避難をお願いします」

僕は何が起こっているか理解のできていない目覚めたばかりの隊員達を一瞬見て、葉桜隊長に視線を移し力強く頷く。他の隊員達は、僕と黒本が戦闘している時に目覚めたばかりだから皆ぼーとしている。

「分かりました。外にいる幼児も連れて避難します」

「よろしくお願いします」

葉桜隊長に木田とさら、隊員達が部屋を出たので、この場には僕と黒本以外いない。この場には、命のやり取りの緊張感漂い肌がピリつく。

これで、心置きなく戦える。物語武器をお互い使用しての戦闘は周りに多大なる影響が出るから危険だ。

相手は何の物語武器を所持しているか分からないから、どう対処するか迷うな。


黒本が拳銃に素早く弾を込め、三発連続で放ってきた。どれも直線的な弾道で、右に身をひねるだけで容易に回避できた。弾の形までハッキリ見えるような……。


いつもより、動体視力が上がっている気がする……これも白龍の力なのか?

数発弾を撃ち終わる度に奴は胸ポケットに手をやっている……そして、手首に何か付けているのか手首の部分のシャツが盛り上がっている。

僕は目を凝らし、注意深く観察する。観察している今も弾を打ってくるので、よく見えない。


「拳銃は普通のか?……ん?あれは……」

ブレスレットだけが物語武器のようだな。武器の形態が分かっても、どんな能力があるのか分からないと対処の仕様がないな。

「いくら副総隊長といっても、避けるだけで手も足も出ないようだな!」

黒本は避けてばかりの僕を見て、ゲラゲラと笑っている。こんな奴が警察官をしていたと思うと、僕は心の底から反吐が出る。

(ぬし)、敵に侮られているぞ」

「分かっている。今どうするか考えている!」

僕の今の戦力は白龍のみ……相手は拳銃に能力不明の物語武器。どう考えても、こちらが不利の状況だ。

遠距離の武器に対して、距離を取っているのは良くないが……。

「どうした?かかって来ないのか?」

黒本はどんどん弾を撃って来る……その弾道は真っ直ぐだったり、弧を描いたものや左右に曲がったものと来る……。


「……もしかしたら……あれ、か?」

「分かったのか?」

「ああ。噓つき射手の名誉挽回というタイトルの物語に出てくる、勇気の補足という名のブレスレット……だと、思う」

白龍がどんな能力なのか聞いてきたので、「想い描いた道筋を的に当てられるものだ」と教えた。

僕と白龍の会話が聞こえていたみたいで、正解だったのか奴は急に焦った表情をし始めた。

「ビンゴだな」

「な、何故分かった!!」

「教える理由はない……が、教えてやる。僕は多くの物語を読み、読んだ全てを記憶している」と黒本を睨みながら教えてやった。

「は、はあ?!物語は何万とあるのにそれを覚えているだと?噓をつくな!!」

僕は軽く笑みを浮かべ、「記憶力はいいほうなんだ」と言いながら敵に突っこんでいく。

「これならどうだ!」

弾道はまっすぐ突き刺さるものもあれば、蛇行する軌道は意志を持つかのように空を舞った。訓練されていない者が、こんなにも物語武器を普通に扱えるのか?


「白龍、いけるか?」

「ああ!」

白龍という名だ。ならば、龍らしい能力そう予測しイメージを練る。特定の言葉を言わなくてもいい物語武器にもイメージをすることは大事だ。

「イメージだ……。白龍が出る……出てくれ!」

僕が日本神話に出てくるような龍を細部までイメージをしている最中にも、奴は「バンッ!バンッ!」と拳銃を撃って来る。

イメージしながら弾を撃って来るので、白龍のイメージをするのが難しい。何発か脚や腕に掠めるが、致命傷では無いので問題は無い。

「死ねええ!!」


やっと細部まで白龍のイメージが出来た。

弾が一発頬を掠めた瞬間、「ズガアアン!!」と雷鳴のような轟音が空間を裂き、日本神話に出てくるような翠色の瞳をした巨大な白い龍が現れた。白銀の鱗は光を反射して煌めき、まるで夜空に浮かぶ星屑のように輝いた。


その巨体が僕を包むように立ちふさがり、放たれた銃弾を全て受け止める。かすり傷一つないその姿は、まさに日本神話の龍だった。



白龍が天に咆哮した瞬間、空気が震えた。白龍は僕を囲み全ての弾を防いでくれた。白銀の鱗はかすり傷すら付いていない。

「あれは、我の分身体だ。本体の我より力は弱いが、大抵の敵には勝てるだろう」

「そうか」

黒本は弾が全て防がれたのがあり得ないと口を大きく開け目を見開いて驚いている。

「な、なんだ……その化け物は……」

黒本は目を見開き、腰が抜けたように後ずさる。

「大人しく拘束されろ」

「まだだ……俺は……あの人に……伝えなきゃ……くそっ……!」

拳銃を胸ポケットからもう一つ取り出し苦し紛れに全弾撃って来た。だが白龍の分身体がするりと動き、またも全て防いでくれた。銃声が部屋に響くたび、白龍の分身体は微動だにせず、全弾を受け止めた。まるで風に揺るがぬ岩壁のように。


「お前、中々凄いな」

「まあな!!」

声ににじむ誇らしげな響きに、白龍の満足げな表情が透けて見えた気がした。


「早く片付けるぞ」と白龍に向け言い、分身体を黒本に向け攻撃するようにイメージする。分身体は僕がイメージした、尻尾で手加減するように攻撃をした。

「グハッ!!」

黒本は尻尾が当たり、壁まで吹っ飛び意識朦朧としている。

「もう、観念したらどうだ?」

「……何、で……あの役立たず、の為、に怒った、んだ?」とはあはあと苦しそうに息を吐き、メアのことを聞いてきた。

「……何でかって?……初対面のはずの僕を、ずっと夢の中で守ってくれていたからだ」とメアを見ながら言った。

「それ、……だけ、か?」

「それだけで十分だ」


もぞもぞと動いているあいつは何を企んでいるんだ?もう何も抵抗はできないだろうに。




「ははっ……なあ、敵が俺だけだと思うか?」

「は……?」

僕が違和感に気づく前に、黒本は素早く地面の拳銃を拾い上げる。

「待て!」

乾いた銃声が、部屋に木霊した。

黒本は、頭から血を流しながらその場に崩れ落ちた。

いくら敵とはいえ、人が目の前で死ぬのは……さすがに堪えるな……。



「……敵が俺だけだと思うか?……か。戦ってる最中に言っていた、あの人とは誰何だ……」




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