特別だと思っていたのに
彼の視線が向けられるたびに
心が浮かんでいった
僕だけに見せる優しさが
僕だけに囁く言葉が
何よりの証拠だと思っていた
誰にも言えなかった秘密みたいに
彼の温もりを閉じ込めていた
僕だけが知っているはずの笑顔
僕だけのためのものだと
信じていた
でも
違ったんだ
その優しさは誰にでも降り注ぐものだった
あぁ、雨
僕はただ溺れて
特別だと錯覚していただけ
途方もない勘違いだ
彼は僕を選んだわけじゃなかった
彼は誰にでもそうする人だった
それに気づいた時
世界は急に色を失った
愚かに立ち尽くしている僕は
今
彼にはどんな風に見えているだろう