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No Title  作者: 神衣舞
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ウタカタノユメ

 彼が求めたのは何だったのか?

 もはや知る者は居ない。

 彼が為したことを知る者はいないし、彼が自ら語ることはありえない。

 ただ、彼が経過として行った事を端的に語るのであれば


 ─────殺戮である


 そしてその始まりは、語らいから始まる。




「ねぇ、ノイズ」


 薄暗い部屋。

 すでに朝の光は遮光の隙間から照らし始めていた。


「……私、知ってるんだ」

「……」

「だから迷ってる」


 細やかな裸身。

 身を起こした少女は自分の衣服を手繰り寄せて抱く。


「まだ、報告してない。

 ……ノイズがもうあそこに行かないなら、私は報告する気はない」


 流した視線の先に、天井を見上げる青年が居る。


「ノイズは血族家だし、それで全部なかった事になるよ。

 だから、もうあそこに行くのはやめて」


 重く澱んだ空気は里の物か、それともこの淫靡な空気の名残か。


「ファム」


 穏やかな微笑みに彼女はあるものを抱いた。


「え……」


 それは、恐怖。

 否、恐怖などない。

 ならば、そう。

 危機感。


「君は勘違いをしている。

 私は別に長の座を狙っているわけじゃない」


 視線は天井。

 揺ぎ無くその先を見詰めている。


「君に命令したのは左の長。

 彼女は猜疑心が強く、そして高慢。

 だから私だけではない。

 全ての候補同士を監視させている」

「……」

「だから、幸いだった。私の監視が君だったから」


 喉の奥で引き攣るようなうめき。


「長は未だ私たちの心が使命という言葉で縛られていると信じている。

 君のように、そんなもの簡単に崩れるというのにね」

「ノイズ……!?」


 それは、宣戦布告だった。

 身の硬直が驚愕だけでない、もっと物理的なものだとそうして始めて少女は気付く。


「そう、私はノイズだ。雑音、静謐なる人の心であれば裏切りは存在しない。

 けれども受け取ってしまった漣はやがて全てを打ち崩す」

「……あなた……一体何を……!」

「私は壊したいのさ」


 ゆっくりと傍らの少女をベッドへと押し倒し、そして口付ける。

 もはや指一本動かせない少女は薄れ掛けた意識の中で最後の言葉を聞く、


「さようなら、ファム。

 私も君を愛していた」




 始まりは穏やかに。

 否────

 それは漣のように、始まった。


「ヒェッ!?」


 ぱっくりと開いた喉から空気が洩れた。


「な!?」


 続く言葉は自らの首が折れる音に掻き消された。


「やれやれ、人材有り余ってるじゃないか」


 廊下をのんびりと歩く彼の後ろにはすでに血臭で満たされていた。

 誰もが一瞬で命を絶たれ、息絶えている。

 ノイズはいずこからか二つの玉を取り出すとそれを死体の中に転がした。


「さて、次に行きますか」




「な、なにご……」


 血の香りに敏い者達がその地獄へと脚を踏み入れる。

 それが最後の光景となると知らずに。


 最後にノイズが残したものは『ルアー』と名付けられた毒薬。

 この製法を知るのは僅かに二人。

 ノイズとファムのみ。

 毒薬製造に通じた彼女が作ったものだが、大量殺戮はアサシンの領分ではない。

 彼女は公表する必要性など感じず、ノイズだけに語ったのだ。

 これが液体に触れると神経ガスを少しずつ噴出し始めるのである。

 気付いた時にはもう手遅れであり、新たな犠牲者をその場に作り、そして次の犠牲者を待つ。

 血の匂いだけが生贄を集め、そして事態は未だ静か。




 朝、という時間は暗殺者の里であっても動き出す時間である。


「よぉ、ノイズ。ファムを見なかったか?」


 黒髪の青年は明らかに知ってて問う、そんな意地の悪い笑みで声をかけてきた。


「まだ寝てるよ」

「……お前はからかい甲斐がないんだよなぁ」


 嘆息一つ。


「やれやれ。今日はあいつも教師役だろうに。

 遅刻しないように起こしてやれよ」

「それくらいの自覚はあるでしょ」

「ま、それもそうだ」


 にやけた笑いを浮かべ、それから声のトーンが落ちた。


「殺していいか?」


 空を裂く鋭い音がかすかにした。


「勘弁したいね」


 例え見ていたとしても、おそらく常人の目では何が起きたか捉える事は出来なかっただろう。

 殺すことではない。

 暗殺することの極意を知った者達の一瞬の攻防は見ても見えないことを前提とする。


「どういうつもりだ?」

「分からないで攻撃したのかい?」


 周囲に人はいない。

 里の往来だが、ここはそう言う場所なのだ。


「俺はお前の事をある程度知ってるつもりだ」

「愛の告白ならお断りするよ?」


 獣が唸るように歯を見せ、そして唾を吐き捨てる。


「お前は血の匂いを残して歩き回るような間抜けじゃねぇ!

 何をやらかすつもりだ!」


 笑みはそのままだが、ポーズで驚く。


「凄いね、さすが『狼』の二つ名は伊達じゃない」

「殺すぞ?」

「分かった、降参だ」


 両手を挙げたノイズに警戒は解かない。


「さぁ、言え。

 何をするつもりだ?」


 お互いに暗殺者。例え真正面を向き合っていたとしても、互いを瞬殺するだけの技術を持つ。


「なぁ、ニス」

「無駄な事は聞かない」

「わかったよ。訓練棟の連中を皆殺しにした」

「……」

「以上だが?」


 動かない。

 動けない。

 真意を測りかねる。

 ニスの能力でも訓練生の十や二十、一人で殺すことは簡単だ。

 それは目の前の男も同じ。

 しかし、この静けさはなんだ? いくらなんでも、訓練開始の時間になってなお騒ぎにならないはずがない。


「行くところがあるんだけど?」

「ファムはどうした?」

「寝てるさ。起きないけど」


 恐らくニスの欠点を挙げるならばその冷静さがないこと。

 まるでその代償のように彼の戦闘技術は群を抜いていた。

 相手を肉片に変え、どれだけの死体が混ざっているのかすら判別不能にする殺人者。

 すでに殺人鬼とさえ評される男は動く。


「あと、君ももう終わりだよ」


 その凶暴な手が唸りすらも許さず空気を裂き、ノイズの体を三度穿つ。

 そして、それで終わりだった。


「君は確かに強い。でも、君は一番弱い」


 顔面と、喉と心臓。この三点を鉄手が貫いたはずなのに、その声は続く。


「初めから私は君を相手にしてはいない。

 安らかに眠りなさい」


 僅かな痛みを感じた。

 それだけ。

 それだけで、彼の体は急速な眠りへと落ちていく。

 そうして初めて気付く事ができた。

 最初から、相手は自分の後ろに居たのだと。

 ノイズ。

 その意味を最後に知りながら、彼は堕ちた。




 何の事はない手品。

 しかし、その力は絶対だった。

 たった五度しか使えぬその手品の一つは予定通りに消費された。

 この先にある障害は最大4つ。

 そう、五度の手品は充分に足りる。

 一つ、二つ。

 やおら里が騒ぎ出したが問題ない。

 彼はすでに中央塔に入り込んでいる。


「ノイズ! 貴様自分が何をやっているのか分かってるのか!」

「ああ、理解している。

 理解していないのは君の方じゃないか」


 青年は柔らかい笑みを浮かべる。目の前に居る男は門番をやっていた男だ。


「暗殺者は姿を見せてはいけない。

 そうだろ?」

「なにをばケヒッ」


 喉が、裂けた。

 理解を越えた事態から立ち直るためのコンマ数秒すらも与えられず心臓に穴が開く。


「これで三つ。

 さぁ、行こう」


 ゆっくりとした足取りは散歩を楽しむ老人のそれに似ていた。かけらも急いでいない。


「の、ノイズ! これは一体何事です!」


 右の長。彼女はようやく見つけた部下に慌てて駆けより、そしてその背後の死者に気付く。

 そして彼の手にある刃に。

「の、ノイズ!?」

「長、大変です。

 反逆者が現れました」


 その顔は笑みのまま、言葉はまるで戯曲を語る詩人のままに、そして歩みは止まらない。


「ノイズ! 止まりなさい! 一体どういう!」


「報告を聞くくらいしかできないんですから、人の話を聞きましょうよ?

 長、『反逆者』です」


 無造作に振るった刃は正確に頚動脈を切り裂き、絶叫を響かせる。

 その声に開いた扉へ刃を放り投げると、出した顔のど真ん中にそれは突き刺さった。


「彼女を誉めてください。この里一番の毒薬を作った彼女を」


 ニコリと微笑み、歩を進める。

 どさりと、右と左の長は同時に床へ沈んだ。

 彼はガス玉を放り投げるとその足取りを僅かだけ速める。

 追撃する者は死ぬ。

 例え訓練をつんだ暗殺者でさえも、長二人の姿を見て立ち止まらざるを得ないだろう。

 そしてそれが死というスイッチだと最後に知る。


「ファム。君は最高だよ」


 里は俄かに騒ぎ始めている。

 だが、これだけ時間が経過して『俄か』に、里は動乱を内包する。

 窓から里を見下ろし、そして彼は進む。

 そうして、彼が目指した先にあるものは、この里において魔術が禁忌とされた原因の地。

 仮初の聖地を守護するもの。

 あるだけの魔石を集め作り出した虚実の幻影。


「問おう、ノイズ」


 央の長は里の中枢に続く扉の前で姿なく声を響かせる。


「何が目的だ?」


 だが、彼の動きは止まらない。

 悠然と歩き続ける彼の手はめまぐるしく動き、放たれる刃を弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。

 弾く。


「長」


 そうして初めて紡がれた言葉に乗ったその一本の刃が壁に突き刺さったとき。

 央の長は自分が何に向かい刃を投げつづけていたかを知る。

 そして同時に、もう一つの刃が自分の頚椎を貫いていることも。


「所詮あなたにはわからない」


 影から滑り落ちた老爺の遺体を一瞥し、そして彼は扉を押し開く。

 そこには球があった。

 これこそが幻想の名残。

 世界に無理やり穴をこじ開け、引き出した力を持って更にその穴を維持する。

 そして残った魔力を持って結界と偽りの太陽を維持する。

 故に多くの魔力を消費すればこの円環式は破綻し、一度破綻してしまえば、もはや同じ物を作るのは不可能だろう。

 彼は見上げる。

 そして取り出したのは小さなカスタネットだった。

 既知の物質とは色合いの異なる金属のカスタネット。

 これが彼の奇術の元凶。

 幻惑のカスタネット、と名付けられたこれは魔力を注ぎ込む事で己の望む音を出す事が出来る。

 気配を殺す事に長けた暗殺者同士の戦いの場合、ほんの僅かな熱や音を感覚よりも深いところで本能的に察知する性質がある。

 別に暗殺者に限った事でない。

 勘と呼ばれるこれら大抵の理由は気圧の僅かな変化や何かが動く事による風の流れを自覚以上に察知しているとされる。

 なまじ超感覚の戦いに入った場合、そんな僅かな異変よりも、感覚は音や光を優先的に拾う。

 人間が五感として選んだ以上、当然の選択である。

 そして例えば生まれながらに視力を持たない人の場合、他の感覚が強化されることも知られている。

 互いの姿が見えないことを前提とした暗殺者にとって、知らず知らずのうちに音に対する信頼が大きくなっているのだ。

 もちろんただ音を作り出せばいいというものでない。

 彼が選んだのは催眠術という技術。

 そして得た時間のほぼ全てを音の幻惑という研究に費やしてきたからこそ為しえた技である。


「さぁ、終わりです」


 カスタネットを掲げ、それを球へと投げ入れようとした瞬間。

 彼の卓越した聴覚は空を切る短剣を察知した。

 咄嗟に投げたカスタネットと短剣が宙で打ち合い、転がる。


「……ファム、もう眠る時間だよ」


 苦笑。いい大人が悪戯を見つかった、とそんな苦笑を持って扉に立つ少女を見る。


「そうか……そうだったね。

 みんなじゃない。私が一番君を見くびっていた」

「ノイズ……!」

「君は最高の毒使いだ。

 それは解毒剤を作ることに卓越しているということでもある、か」


 参ったねと肩を竦め、微笑みかける。


「君ならガス玉の罠も気付く事ができる。そうか……。

 君をあの時しっかりと殺しておくべきだった」

「答えて! 一体あなたは何をしたいの!?」


 まるで日常会話のように、いつもと変わらない軽口を叩く青年を少女は睨み付ける。


「……よろしい。お客様。

 ではこの喜劇のフィナーレ。

 やはり吟遊詩人として語るしかないようだ」

「ふざけないで!」


 青年は緩い笑みを浮かべ、「本気だよ」と恋人を見る。


「……ねぇ、ファム。

 君は毒を作る事を後悔した事はあったかい?」


 その問いに、少女は訝しげな表情を見せた。

 その表情こそ彼を本当に喜ばせる。


「そうだ。この里の誰が殺人に後悔したことがあろうか。

 例え居たとしよう。

 もうここにはいまい。

 そういう子は花畑で栄養になっているからね」


 迷い、戸惑いが気配を晒し、動きを鈍らせ、結果命を失う。


「この里でまず最初に殺されるのは自分の心だ」


 それが闇に潜む悪夢の宿命。


「私たちはただひたすらに命を奪う刃でなければならない。

 そう、それが理想だった」


 声は響く。

 このホールに、そして里に。

 驚くべき声量、そして美声。


「そんなある日、私は見つけてしまった。

 彼女はこの里の宗主の一人であり、そして私の先祖。

 そして私は一つの物語を聞いた」


 ファムは、身じろぎ一つできない。

 目の前で行われる歌が、彼女を釘付ける。

 圧巻、という言葉を始めて実感する。


「遠い遠い昔の悲劇。

 自由を求め、先へと進み、そして嘆きの内に消えた少女の話。

 数多の命を喰らい、そして進んだ悲劇の歌を」


 まるでホールが呼応するかのように、びりびりとした痺れが体を駆け巡る。


「そして知った。

 この里の意味を。そして湾曲した今を。

 だから私は決めた。

 もはやこの里の意味が歪んでいるのなら、この里の存在意義はないと。

 だから私は決めた」


 全ての響きが一瞬で収束。

 完全なる静寂を得て、ノイズは微笑む。


「ならば、継承者としてこの里を利用しようと」

「り……よ…う?」

「そう。

 私は彼女に憧れたんだよ」


 かつん、かつん、と消音性能のあるはずのブーツが大きな音を立てた。


「……ノイズ、お願い……もう、やめて!」

「どうして?」

「長は死んだわ! あなたの思い通りになった!」


 かつん、かつん。ゆっくりと二人の距離は縮まる。


「ファム。君は本当に可愛い。

 そして愚かだ」


 そして、互いに必殺を繰り出せる位置を越え、目前に。


「私は自由など求めていない」

「……じゃあ、何が目的なのよ!」

「後悔、さ」


 笑み。

 暗殺者とは誰も信じないような、暖かく柔らかく、そしてその芯の部分で決定的に『壊れた』笑み。


「こう……かい?」

「ああ、私は過ちを犯したいんだ。

 それも取り返しのないほどの」


 暗殺者としてはあるまじき行為。

 少女は完全に次の行動を失っていた。

 交わされる口付けはいつもと変わらない。

 ただ、深い血臭が漂う。


「だから、ファム」


 ゆっくりと離れ、そして少女は呆然と見下ろす。

 己の胸に咲いた、赤い花を。


「君は死ななければならない。

 だって、今私は君を本気で愛したから」

「っ……ノイズ……」

「ありがとう、ファム。

 ここまで来てくれて。

 そして、今度こそ、さようならだ」


 青年はゆっくりとカスタネットを拾い上げると、無造作に球に放り投げた。

 これで終わりだ。

 マジックアイテムに内包された回路は循環式を乱し、そしてこの里を終わらせる。


「のい……ず」


 全てが終わった尖塔。

 少女は涙を流し、そして光に呑まれた。


 彼は空を見ていた。

 結界の消失は外の世界に何ら影響を与えない。

 すべては過去の通り、全てを飲み込み、そして残ったのは彼だけだった。

 肌が引き攣る、固まった血。

 それが誰の者かを思い出し、彼は自分の目元に触れた。

 涙は、ない。


「おかしいな」


 空を見上げる。

 青い、青い空を見上げる。


「貴族の人形として育てられた少女。

 己の境遇を良しとせず、世界に牙を剥いた者。

 彼女は深い悔恨のまま、誰知らず眠りにつく」


 胸に触れる。

 ペンダントの感触が指先に返った。


「同じ、ではなかったのかな」


 空が青い。

 誰かの嘆きが、悔恨がどこにあろうとも、空は空だ。

 当たり前のように刃を振るい、当たり前のように里を滅ぼした。

 そこにカケラも苦悩を思い出せない。

 指先が固まった血をなぞる。

 最後の最後に現れたイレギュラーを思う。

 悲痛な顔。

 でも刃を突き刺す感覚は余りにも慣れすぎて、それすらも思い出せない。

 ……悲痛な、顔


「なんだ……なんで君が『後悔』しているんだ?」


 問うべき相手はもはや存在していない。

 すべて光の中に消えたのだから。

 その手にない少女を今更求めようとは思えない。

 けれども、ほんの僅かに別の未来を幻視する。


「ああ、そうか」


 取り返せない、未来。

 時は前に進む事しかできず、そして人は想像の中で比較して初めて、悔やむ。


「君は、私がこうならない未来を想い、ありえた過去の行動を想ったのか」


 狂った聖域、死を受諾する村。

 彼が為した計画。

 そしてそれは完遂された。

 そこにいかな悔恨が挟もうか。


「ファム、君には隣に居て欲しかった。

 そうすることで、私は目的に近づけたのかもしれない。

 その考えが悔恨なんだね」


 例えその未来は同じだとしても。

 在ることは可能性であるということ。


「ならば、もう少し私と共にいてくれ。

 君の名を借りよう。

 私がもっと深く、そう深淵の如き悔恨の中で命果てる時まで」

 ゆるり、彼は立ち上がる。




 静謐なる死の心には己の名を。

 表には失われた可能性を。

 微笑を浮かべ、彼は歌う。

 その先の奈落へと堕ち行く鎮魂歌を。


 一振りの刃には死を招く毒を纏い

 音は誰かの思いを乗せる。

 けれども混ざる雑音は

 容易く世界を破壊スル。

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