お茶と情(なさけ)は濃いごいと
★お茶と情は濃いごいと
「お茶も、人情をわきまえる心も、共に濃いほうが良い」という意味。薄いお茶をお客様に出すのは失礼になるというならわしから生まれた言葉(鹿児島のことわざらしいです)
「……猫飼いてーなあ」
深夜。
テレビ番組を眺めながら、気だるげな若が物騒な台詞を口にした。
『ワレハイン――』
「保護猫もアリかなー」
『ワレガクワレテ――』
「三階じゃ外出れねーかなー」
『ワレガクワ――』
【カラダガピーン!】
五月蝿い! お前ら黙って喋れっ!(by ガッツ石松)
む。我の中の小宇宙が叫んでしもた。
「家族になったら、めっちゃ大事にするんだけどニャあ」
は?
我(ら)を大事にしてるような言い草だな。
「俺めっちゃ大事にしてるだろ?」
ほう。
ならまずは、そこでピーン! てなってる(仮死状態?)坂崎を蘇生してやってくれろ。
「おお、どーした幸之助」
【サカザ――メリーアン! メリーアン(怒)!】
つられるなメリーアン。
落ち着け。まずは「坂崎」って十回言ってみろ。
【サカザキサカザキ……】
『コウノスケトイエバ?!』
【マツシタ!】
む。
成長したなメリーアン。
おめでとう…………正解だ!
もう、お前に教えることはナンも無いな……。
「ピザピザピザ――」
もういいって。
一所懸命指を折るなよ若。
「……このまま結婚できなくて、子供も授からないとよー……て思ったら、俺の父性愛ちゅうか情愛の行き場がなくなっちまうだろ?」
だから。
それを我らに向けろって。
『お茶と情けは濃いごいと』って……言うじゃな~い?
「生まれて初めて聞いたぜ。さすがギター侍!」※1
しんちゃん家の隣のおばさんが入れる、うっす~いカル●ス並みの情愛を反省しろ。
「維力ぐらいは濃いだろっ!」※2
なんて?
維新力の力水か? ※3
【アシタノタメニそのイチ!】 ※4
「♪打つべし! 打つべし!」
そっちのジョーじゃねんだよなー。
「あ……ごめん。配慮が足りなかったな。家族に迎え入れたら、逆に家族が減っちゃうのか……」
【マミー! ボク、イモウトガホシイ!】
「お? メリーアンは牝の猫なら賛成?!」
おいおい。
手違いで突然姉が増えるかもしれんだろ?
てか家族が減るーはどーした?
【オネーチャンもオーライ!オーライッ!】
「いいね!」
ご陽気に騒いでるが、そうなりゃ喰うか喰われるかだぞ?
我は喰わん毛ど。
「俺もウ●コも坂崎も、家族の情は半端ないって!」
【ウシロムキノボール、メッチャトラップスルモン!】※5
若が思わせ振りに目配せしよる。
メリーアンが円らな赤い眼で、我と若をチラチラ窺う。
――まあ。
なんだかんだ、こうして深夜一緒にテレビを見る家族、今時珍しいかもしれんな。
……そんなんできひんやん、普通(?) ※6
※1 懐かしの波田陽区。→「水谷隼」は引っかけ。単なるトラップ
※2 1986年、ポッカが発売した清涼飲料水。個性的な味(←大人の言い回し)。中国がオリンピック強化選手向けに開発したスポーツドリンクが元らしい(by ウィキ)
※3 元十両筆頭の力士→のち、プロレスラー。
※4 『あしたのジョー』より。丹下段平が矢吹丈に渡した手紙の内容から(その1は「ジャブ」について)
※5,6 言わずと知れた『大●ハンパないって!』。鹿児島と言えば――




